その他映画の一方的評論
 
「およう」(2002/06) 総評90点!
 2002年4月。懸賞でおよう映画鑑賞券2枚が当選しました。なんじゃこりゃ、という感じで全く興味がな かったが、せっかく当たったので行ってみるかと妻に見せてみると「竹久夢二はエロおやじだから見たくない。どうせ下品に決まっている」とのことであえなく 却下。じゃあ一人で行くかと思ったが、新聞の映画欄を見てもいっこうに上映する気配がない。インターネットで調べてみると、東京で5月下旬頃にひっそりと 上映するらしい。が出張もうまくあわず、流れた。まあ、無駄になったが仕方がないと諦めていた頃、富山の新聞に目を向けるとやっているではないか!1月以 上遅れての上映である。
 6月になって高岡ピカデリーに単身潜入。実は、団鬼六先生原作とあってかなりのあらぬ期待をしていたので ありました。でも18禁になっていないので??とは思っていましたが。
 劇場内には客は6名でありました。何故、こんなのを見に来たのだという、後ろめたさを感じながらの上映と なったのです。
 お話は、かの有名な画家竹久夢二と責め絵の伊藤晴雨に愛された「およう」という女の物語なんであります が、およう役の新人女優 渋谷亜希ちゃんの妖艶な姿はかなり雰囲気がありました。エロエロ軟弱男の竹久夢二にはバレエの熊川哲也でまさにはまり役。エロエ ロ軟弱男そのものでありました(笑)。責め絵師伊藤晴雨には竹中直人でこれまた適役。
 おようはヌードモデルをしていたのですが、変態画家伊藤晴雨に見初められ愛人兼モデルとなります。竹中直 人の変態画家ぶりと溺愛ぶりは素晴らしい演技です。そこにすかした竹久(熊川)が現れて奪い去っていくのですが、伊藤(竹中)の苦悩ぶりは見ている方も苦 しくなります。竹久(熊川)は小心エロ野郎なので、おようをほったらかしにし、生まれた子供を見捨てます。家出したおようを伊藤(竹中)は竹久(熊川)に 頼まれて、苦しい心中で家に帰るよう説得します。おようの「あなた(伊藤晴雨)のもとに戻ってもいいのよ」などという言葉に心揺らされながらも「ばかや ろー。竹久のもとに戻れ」という伊藤(竹中)の心中を察すると忘れかけていたときめきを思い出すのでありました(爆)。
 ただ、それだけのストーリーなのでありますが、ちょっとおバカで尻軽のいい女およう(渋谷)、変態責め絵 師の伊藤(竹中)、気取りやでエロ軟弱男の竹久(熊川)の三者が見事にマッチしたまとまりのいい作品でした。竹中が出るだけで画面がぱっと明るくなるので すが、彼のアドリブがきっと入っているだろう、やりすぎとも言える演技は素晴らしいです。
 久しぶりに日本映画で、まとまりのいい作品でした。心情の動きがなんとも爽やかに艶やかに描かれていま す。はっきりいって、期待していなかっただけに映画の完成度には驚きです。
 ちなみに、渋谷亜季さんのヌードは背後からのみです。他の人もほとんどヌードや濡れ場はありません。た だ、縛りのシーンはなかなかのものです。さすが団鬼六映画ですな。

およう公式HP