地図の解説
左の地図はバルジ作戦（アルデンヌ攻勢）= 1944.12.16〜1945.2 が行われた地域のもので、オレンジ色のラインは1944年12月25日段階の連合軍とドイツ軍の前線をあらわしてい ます。赤字、紫字、青字はそれぞれ連合軍の軍集団、軍、師団名を示しています。
　平穏と思われていたアルデンヌの連合軍と独軍の対峙線（国境線（ジークフリート線））には当初、連合軍（第1,2,99,28,106師団）が布陣して いました。特に、ここから独軍の反撃はないと踏んで、この任務が初めてとなる新米師団の第99,106師団を配置したうえ、アーヘン攻略で疲弊した第１, 28師団を能力以上に間延びした防御線で配置しています。
　12.16日早朝に、第１,２,99,106,28師団に対して独軍の砲撃と戦車師団の進撃が開始され、中央部の第99,106,28師団は突破されま す。独軍は機動力と電撃戦を生かして、混乱の米軍を追い抜いて奥部へと侵入し、12.25日頃には最大の進出となったのがこの地図です。
　第99師団の２連隊は孤立し、第106師団と第７機甲師団の一部は取り残さ れ包囲されます。また、急遽援軍に駆けつけた第101空挺師団、第10機甲師団もバストーニュで孤立しています。第28師団は散り散りに退却しました。
　これに対し、連合軍は北側からは英国モントゴメリーの第21軍集団を再編して反撃に当たらせ、南からはパットン率いる第12軍集団第３軍の機甲師団及び 歩兵師団が反撃に転じます。

右の地図はバルジ作戦に先だってドイツ軍の集結を阻止するために行われた「アーヘン攻略(1944.9.13〜1944.10.21)」 「ヒュルトゲンの 森の戦い(1944.9.13.〜1945.2)」の地図です。左のアルデンヌの地図の右上部の拡大図となります。ヒュルトゲンの 森は都市アーヘンの南に位置する複数の森林「ロートゲン、ヴェーナウ、ヒュ ルトゲン」の総称であり、ダムを多く有した地帯でした。連合軍は第１、４、９、２８、８３歩兵師団など６個歩兵師団と第３機甲師団の計１２万人の兵を投入 し、３万３千名が戦死傷し、ヒュルトゲンの森は「挽肉器」とも形容されました。

---

映画の中
「バンド・オブ・ブラザーズ」：第１０１空挺師団がバストゥーニュ （Bastogne)の森での激戦として描かれています。上記地図ではちょうどドイツ軍勢力範囲に取り込まれた状態で第１０機甲師団とともに孤立していま す。
「バルジ大作戦」：バルジ作戦開始直前から　までを描いたものです。史実の 客観性には欠けています。
「プライベート・ソルジャー」：ヒュルトゲンの森の戦いを描いたものです。 主に第28歩兵師団の激戦を描いています。
「真夜中の戦場/クリスマスを贈ります」：米軍と独軍の小隊同士の交流と悲 劇を描いたものでＷ・ワートンの小説の映画化。第90歩兵師団の偵察小隊が主人公のようです。
「極寒激戦地アルデンヌ〜西部戦線１９４４〜」：マルメディ事件からの脱出 劇を描いたもの。101空挺師団の兵士が登場。
「戦場」：第101空挺師団のバストゥーニュ包囲戦を描いたものです。 1949年製作といち早くバルジ大作戦を取り上げています。戦記としてのデータ性には乏しいが、史実に忠実な作りです。

---