オンラインDVDレンタル ぽすれん

 
作品の貸し出し中がないレンタルビデオ屋はコチラ!GEO

戦争映画の一方的評論
 
「上海 支那事変後方記録 評価★★ 事変後の上海市街を克明に記録  
1938 東宝(日本映画社) 監督:亀井文夫
出演:記録映画  
77分 モノクロ


 日本軍の軍務局の指導で製作された、プロパガンダ「戦記映画」。製作は東宝映画社で、完全なる「記録映画」であり、イン タビューやナレーションで構成されている。従って、映画としてはなんら面白みはないが、当時の映像としては非常に貴重な物であり、随所に知られざる日本の 姿が映し出されている。この映画監督(編集)亀井文夫は厭戦主義者であり、戦後は極端な反戦映画を撮るのだが、本作は当局の指摘を受けない程度に、うまく 厭戦的な映像を随所に織り込んでいる。
 
  第二次上海事変(支那事変)は、昭和12年8月9日に上海で海軍中尉が殺害されたことに始まる。折から廬溝橋事件で緊張の高まっていた日中間は上海を舞台 に激突する。日本艦隊の中国軍陣地への砲撃から始まり、中国空軍は空襲で対抗する。日本陸軍もまた上海の中国軍を攻撃を始め、上海を支配、続いて南京攻略 など日中戦争へと突入していく。
 当時、上海は日本の他にフランス、ロシア、イギリスなどが租界と称した植民地化支配により、国際都市の様相を呈している。各国の租界は治外法権を有して おり、共同租界との境界には「ガーデンブリッジ」と呼ばれる橋がある。
 
 映画は上海のガーデンブリッジとその周辺の映像から入っていく。各国の租界は戦火の対象となっておらず、近代的な建物が並んでいる様は昭和初期とは思え ない繁栄ぶりである。しかし、一方戦火となった日本人街、支那人街及び郊外は砲撃、爆撃の跡で散々たる惨状を呈している。映画は激しい戦闘の跡を映像で 追っていく。戦闘に参加した隊長のインタビューと日本兵の墓なども盛り込まれている。さらに、プロパガンダ映画であるため、随所に日本人の子どもたち、支 那人捕虜や支那人民間人が登場し、日本兵との交流が描かれている。支那人の映像は多分にやらせ的なところもあるのだろうが、日本兵の行進を見守る支那人の 表情は冷たくリアルである。このあたりが、亀井文夫がねらったカットであろう。
 一方、日本の子ども達の映像は心温まる物がある。日本人学校に登校する小学生は学校と警備兵に対して深々とお辞儀をして通過する。さすが、戦前の子ども 達だと感心する。だが、支那空軍の爆撃に際しての感想を先生から問われた小学生が「パパもおっかさんも一緒に(アパートに)いたので嬉しかった」と言い、 先生に「何故かね」と聞かれて、「わからん」と答える当たりは、今の子どもと全く変わらずホッとさせられた。また、支那の飛行機は怖くなかったかと聞か れ、「こわくないよ。おもしろいよ。」と答える当たりも子どもらしい。
 支那軍が最後に立てこもった建物の映像では、建物背後のイギリス租界への抜け道や英国製食料が映し出され、イギリスが暗に支那を支援している様子を批判 している。また、戦火を逃れフランス租界に逃れた支那人らが食料を配給されずに苦しんでいる様子も写しだし、英仏といった国々が支那を植民地としてしか見 ていない様子も垣間見ることが出来る。
 後半には、上海の復興が描かれている。水道の給水や食料の配布がなされ、日本軍の行進で冷たい顔をしていた支那人らの笑い顔が印象的である。日本軍はこ んなにやさしいのだというプロパガンダも多分に入っているのだろうが、明らかに映像内での活気は自然なものと見受けられる。
 亀井の見た真実は、日本軍の非道な行いなのか。イデオロギーによる偏見があれ、ドキュメンタリーの映像は、逆に嘘を付かないのだ。そういう意味で、真実 に最も近いドキュメンタリーになっているのではないだろうか。 

(2004/09/13)

興奮度★★
沈痛度★★
爽快度★★
感涙度★

映画見るなら ⇒スカパー!初期費用無料
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!
古本市場】激安古本・CD・DVD・ゲームソフト販売買取
新刊書籍・雑誌・DVDジェイブック
新品DVD・家電
い〜でじ!! 

DVD検索「上海 支那事変後方記録」を探す(楽天)