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戦争映画の一方的評論
 
一億前進 評価★☆ 国民の貯蓄を促す戦時広報
1941
12月 制作:加治商会 後援:大蔵省 脚本:鈴木悠一郎 演出:村上潤 撮影:藤沢俊夫
8分 モノクロ

 
 加治商会とはあまり聞き慣れないが、戦時映画を手がけた制作会 社である。タイトルからは何の映画か判断つかないが、何の事はない、国民貯蓄励行広報なのである。同内容のものとして「國策短編シリーズ 八拾億圓(1938)」という映画があるが、目的は一緒である。ただ、八拾億圓の方が政 治的にストレートであるのに対して、本作は歴史的解釈や子供を利用したりと婉曲的な表現である。制作年代を考えると、逆でもいいような気がする。
 
 国民に戦時国債を買わせる手法にもいろいろあるだろうが、本作ほど姑息でこじつけなのも面白い。冒頭にいきなり何を言い出すかと思えば、「遡って遠く太 古の貯蓄の歴史を調べてみよう」ときた。初め耳を疑ったが、やはり貯蓄であった。映像には霧 島連峰をはじめ、
「原始貯蓄の共同性」を示すために北九州地区の「古代竪穴」と「弥生式土器」を提示する。食料を蓄えていたとする古代 竪穴はどうみても横穴で、貯蔵穴ではなく横穴墓に見えるのだがどうだろう。弥生土器にしても「民族の貯えであって一個人のものという考えは入っていなかっ た」としているが、確かに弥生時代はまだ原始共同体の範疇に入れて考える事も出来るけど、ちょっと言い過ぎではないかな。それにしても、まるでマルクス主 義のようなノリだ。
 続いて戦国時代の絵巻映像に移る。「貯蓄がほとんど行われていなかった戦国時代には・・・凶作になると飢え死にした者が道に横たわる有様」と来る。おい おい、それはどういう根拠から来ているのか。
 織田・豊臣時代は小判や竹流し分銅金の映像をバックに、「貯蓄が奨励され国内が安定し、上は質素に民が富む」ようになったとする。うーん、確かに商人が 力をつけるようになっては来たけれど・・・。
 徳川時代は浮世絵をバックに「平和に慣れた町人達は貯めた金でもっぱら自分一人の奢りにふける者も出てきた」と批判する。
ここまで来るとこじつけだな、こりゃ。
 そこで、我々国民は「全ての経済が高度国防をもとにして統制されていく今日では、貯蓄の道も民族擁護のために行われた昔の貯蓄の心に帰って、国家を護る ための国民共同の務めとなったのである」と締めくくる。ある意味、見事だ。

 ここで、「お国のために国債を買ひませう」のスローガン懸垂幕を手始めに、中国戦線と思われる記録映像が入る。機関銃の掃射、山砲をかついだ山中行軍、 歩哨。さらには満州の重工業シーンを示して「貯蓄をすれば一発の弾丸を余計に送ることができるのです」と説く。
 画面は一転して、中国戦線の野戦郵便局に変わる。俸給を軍事郵便貯金通帳に預ける兵隊の姿とともに、内地からの手紙に読みふける兵隊の姿がある。そのう ちの一人が遠くを見つめる姿が何やら演技臭いと思っていると、突然少年の声で「兄さん、山国にはまた夏が来ました。作物の出来は良く豚もたくさん子供を産 みました。うちのことは少しも心配ありません。」と泣かせるのだ。
 さらに、少年は自分の竹筒製の貯金箱からお金を取り出して、「兄さんが送ってくだすったお金は私が貯めた貯金にあわせて、峠を越えた村の郵便局で国債を 買ひました。」というのだ。そして買った国債を眺めながら馬車に乗って帰宅路につく少年の姿で映画は終わる。さすがに、最後の少年が国債買うのはやりすぎ じゃあないかな。猫も杓子も・・・と言った感じなのだろうか。

 戦時広報だから面白いわけもないのだが、ストーリーに臭さが爆裂していて、逆に微笑ましい映画であった。クラシック音楽をバックに、結構テンポ良く流れ る映像は意外に好印象だった。

興奮度★
沈痛度★★

爽快度★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意)

 なし

(2006/09/11)

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