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「マレー戦記 〜進撃の記録〜」 評価★★★ 山 下兵 団のマレー進撃戦
1942 日本映画社 後援：陸軍省
製作：山下兵団報道班
６７分 モノクロ
日本映画社の製作した戦記物シリーズ。1941年12月のマレー半島進撃から1942年2月のシンガポール占領までを、山下兵団の報道班が撮影したリア ルな記録である。きちんと順を追った丁寧な作りで、物語として面白みがあるわけではないが、銀輪部隊、山下将軍の英軍パーシバル将軍に対する「イエスか ノーか」の降 伏会談名場面も挿入されているなど、貴重な映像も多い。
特に、この映画に彩りを添えているのは、日本軍側の映像だけでなく英軍側の映像も多用されている点である。英軍を撃破して現地接収した英軍ニュースを用 いているのだ。それだけに、日本軍の快進撃の背景にある、英軍の守備体制なども垣間見ることが出来るのは映画として良い結果を生んでいる。
ただ、陸軍の報道班とはいえ、危険な最前線での映像は多くはなく、進軍風景や砲兵隊、後方支援部隊の映像が多いのは否めない。従って、最後のシンガポー ル攻略戦に至るまではやや冗長な感じがする。
登場する兵器としては、英軍側映像ではロッキードハドソン哨戒爆撃機、ドーントレス爆撃機？が見える。ハドソン爆撃機は後方機銃がある爆撃型と、ない輸 送機型の両方が出てくる。地上戦では英軍のブレンガン・キャリアが登場する。映像では突然出てきて、搭乗している英軍兵がびっくりした様子なので、本当に 偶然出くわしたのではないだろうか。
日本軍側では、空爆に参加している９７式重爆撃機、９９式双軽爆撃機が多数登場する。特に、９９双軽の登場頻度が高く、多用されていたことがわかる。戦 車系では、９５式軽戦車、９７式中戦車が多数登場する。また、９７式中戦車チハ車体を用いたと思われる９８式牽引車が幾度も登場する。偽装がなされている ので、わかりにくいが、高射砲を牽引していると思われる。この他、野砲が多数登場する。
興奮度★★★
沈痛度★
爽快度★★★★
感涙度★
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（以下 あらすじ ネタバレ一応注意 反転でご覧下さい）
昭和16年12月8日未明、日本陸軍はマレー半島に進撃を開始する。マレー半島は英軍が占領して おり、日本軍に対する防備を固めるため、オーストラリア 軍も上陸し、シンガポール島を拠点に対日決戦体制を固めていた。シンガポール島には英国東亜侵略の象徴、ラッフルズの銅像が建てられている。
昭和16年12月8日、日本軍はタイ領シンゴラに上陸。続いて９７式重爆撃機、９９式双軽爆撃機などの航空部隊がコタバル、ペナンを空爆する。
進撃する日本軍に対し、英豪軍は橋を爆破しながら撤退していく。川の多いマレーでは２５０以上の橋があり、日本軍は工兵が架橋しながら歩を進めざるを得 ない。
英軍は、本拠地の前面に前進陣地、警戒陣地を据え、日本軍を迎え撃つが、日本軍はそれを物ともせずに撃破する。ジットラ陣地も１日で攻略する。
日本軍は正面攻撃ばかりでなく、迂回戦も試み、厳しいジャングルの中に分け入っていく。また、海上では舟艇による迂回作戦により英豪軍の退路遮断も行わ れた。
12月26日にはアロースターを攻略、ペラク川を渡河する。昭和17年元旦には、クアラルンプール攻略。ゲマスを攻略。さらに、1月末にはジョホールバ ル水道にまで達し、いよいよ英軍最後の砦シンガポール島に対峙する。この５５日間で1,100キロを走破し、９２回の戦闘を行ってきたのだ。
約1週間の準備期間で、砲１門につき1,000発の弾丸を準備し、2月8日シンガポール総攻撃が始まった。重砲による砲撃、９７式重爆、９９式双軽爆の 爆撃を皮切りに、上陸部隊はウビン島、さらに本島へ上陸。ティンガー飛行場占領、マンダイ高地、ブキテマ高地と立て続けに占領を果たす。
ついに、2月15日、英軍パーシバル中将は山下中将とフォード自動車社屋で会談に応じる。山下中将の求める無条件降伏に対し、のらりくらりと即答を避け るパーシバルに、山下中将は「無条件降伏を受け入れるのか否か」と問いつめ、ついにパーシバルは無条件降伏を受け入れるのだった。
この戦闘で戦死した兵士の墓が写される。「陸軍兵長畠山秋義」。そして、捕虜となった英軍兵。しかし、その多くはインド兵、マレー兵であった。
シンガポールの街中を進軍する日本軍。９５式軽戦車、９７式中戦車が轟音とともに走る。一方、シンガポールの日本人商店街は掠奪等でひどく破壊されてい る。在住日本人は英軍によってインドか豪州に拉致されたらしい。牢獄でほんの一部の日本人婦女子が発見され、解放された。
この戦いで、英豪軍の捕虜は９万５０００人、破壊された航空機５５１機、船舶１０１隻に登る（＊映画中の説明による）
シンガポールの地でユニオンジャックは地に落ち、新たに日の丸が輝くのであった。
（2005/03/31)
