戦争映画の一方的評論
 
「帝国海軍勝利の記録 評価★☆  帝国海軍緒戦の記録
1942 日本映画社 監修:大本営海軍報道班 
撮影:海軍航空隊、海軍特設写真班、海軍報道班、日本映画社
 
45分 モノクロ

 
 帝国海軍の緒戦における快進撃を記録映像を元に再録編集した映画。元ソースは映画館等で上映した「日本ニュース」で、1941年12月から1942年5 月までの記録となっている。映像的、音声的に劣化が著しく、ぶつ切り状態になっているのが残念。
 日本ニュースの再録のため、一応時系列にはなってはいるものの、全体構成としてはまとまりに欠ける。また、一般向けのために戦果の誇張や極秘事項の隠蔽 等も多く、記録映画としてもさほどの貴重性はないものと判断される。
 登場する兵器類としては戦艦、空母などの艦船類がそれなりに登場するほか、航空機では艦上発射の1本フロートの零式小型水上偵察機(だと思う)、2本フ ロートの零式水上偵察機、空爆に向かう一式陸上攻撃機(乗員の救命具に「鹿空五」という文字が見えるので鹿屋空だと思われる)、元山空の九六式陸上攻撃 機、空母から発艦する零式艦上戦闘機(尾翼がAI番号なので空母赤城機だと思われる)、九七式艦上攻撃機、九九式艦上爆撃機(尾翼が赤塗り)が出てくる。
 敵国では、日本海軍の砲撃、空爆にさらされる艦船類が出てくるが、映像が小さすぎて何か判別ができない。また、オランダ軍が廃棄した爆撃機も見えるが、 今ひとつ機種が判断できなかった。

興奮度★★
沈痛度★
爽快度★★
感涙度★


(以下 あらすじ ネタバレ一応注意)

全て映像のママ記載であり、史実とは異なる場合もあります。
(1) 第1編 (海軍省検閲第190号)
 12/8の宣戦の大詔からハワイ大空戦の映像。空母から発艦する九七式艦攻の姿と、ハワイ島空襲シーン映像。
(2) 租界の接収
 海軍陸戦隊が敵前上陸。装甲車が少々登場。
(3) 特別攻撃隊
 ハワイ奇襲の陰に特別攻撃隊の功績有りとして、特殊潜航艇搭乗員の岩佐中佐以下の名前が連なる。
(4) 支那香港攻略
 陸戦隊が上陸し、英国軍を捕虜にする。海軍は新美最高指揮官のもと、香港に入城し、12/5英国が正式に降伏した。洋上では一本フロートの零式小型水上 偵察機、二本フロートの零式水上偵察機が見える。
(5) ジャバ沖海戦(ジャワ)
 2/14、オランダ海軍の艦船3隻撃沈(実際は甚大な損傷を与えつつも撃沈はなし)。攻撃は鹿屋空の一式陸攻の姿が見える。(搭乗員の救命具に「鹿空 五」の文字)
(6) 大スンダ列島制圧
 2/18、元山空の九六式陸攻(尾翼にG-313の文字)、零戦が空爆。陸軍の落下傘部隊がパレンバンに降下し、オランダ軍降伏。廃棄されたオランダ軍 爆撃機の映像有り。
(7) チモール島奇襲
 2/20、海軍航空機の爆撃の後、海軍落下傘部隊が降下、奇襲攻撃。
(8) スラバヤ沖海戦
 3/1、英米豪蘭の連合艦隊を殲滅。海戦砲撃シーンあり。(史実は
英重巡エクゼ ター、蘭軽巡デ・ロイテル、蘭軽巡ジャバ、ほか駆逐艦四隻を撃沈)
(9) 豪州方面 ビスマルク群島裁定
 1/23、ビスマルク群島のニューブリテン島の奇襲上陸作戦を敢行。ラバウルを手中に収める。
(10) 印度洋方面 アンダマン諸島占領
 アンダマン諸島に上陸作戦を敢行し、無血占領する。
(11) 凱歌高し印度洋(セイロン沖海戦)
 4/5、南雲中将率いる日本海軍機動部隊は印度洋の英国武装商船を21隻(14万トン)撃沈。さらに、トリンコマリー港に待避中のサマヴィル中将率いる 英国空母ハーミスを撃沈する。空母赤城から出撃する零戦、九七式艦攻、九九式艦爆映像有り。零戦は尾翼にAI-108、AI-158記号、九九式艦爆は尾 翼が赤色に塗られている。
(史実では英軽空母ハーミス、重巡二隻、駆逐艦二隻を撃沈。日本海軍は空母赤城、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴、戦艦金剛、比叡、榛名、霧島らが出撃。)
(12) 昭和17年5月20日までの戦果
 敵戦艦8隻撃沈、大破5隻、敵空母6隻撃沈など艦船1,061隻、航空機2,274機撃破。
(13) 建設すすむグアム島
 日本軍が占領したグアム島の再構築が進んでいる。現地民の日本語教育映像も。
(14) 守り固し大鳥島(ウエーキ島)
 米軍が守りの要としたウエーキ島を占領し、守備につく日本軍。

(2005/04/04)

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