戦争映画の一方的評論
 
「トリポリ魂 海兵隊よ永遠なれ」 評価★★ 戦意高揚する海兵隊魂
TO THE SHORES OF TRIPOLI
1942 アメリカ 監督:H・ブルース・ハンバーストン
出演:
ジョン・ペイン、モーリ ン・オハラほか  
86分 カラー

 
  アメリカの対日戦意高揚映画。跳ねっ返りでお高くとまった青年が海兵隊員として戦場に向かう気に改心していくまでの課程を描いている。まだ、日本に対する 憎悪心というものを顕著に表現してはおらず、国の若者が戦場に赴かなくてはならない気にさせるようにし向けているのがミエミエ。従って、ストーリー的には お手盛りの部分が多いし、日本人にとっては共鳴しずらい箇所も多い。
 主人公はこんなに生意気で反社会的でいいんだろうか、と思わせるほど過剰に描かれているが、それも改心したときのインパクト狙いなのだろう。とはいえ、 この時代にしてすでにアメリカ映画特有の無駄なラブシーンが盛り込まれており、女がいなけりゃ話は始まらないといった展開。
 戦場に赴くまでの映画のため、戦闘シーンは全くないが、冒頭に記録映像と思われるM3スチュアート軽戦車が登場する。緒戦のウェーキ島あたりの映像であ ろうか。
 戦意高揚映画に特有の爽快感はあるものの、相手が日本だけに今ひとつ感情移入はできかねる映画であった。

興奮度★★
沈痛度★★
爽快度★★★
感涙度★


(以下ネタバレ注意)
 
  日米開戦前のカリフォルニア、トリポリ海兵隊訓練施設。ディクシー・スミス軍曹は海兵隊新兵の訓練教官を務めている。そこに、軍曹のかつての上官大尉の息 子ウインタースが、父からの手紙を携えて入隊してくる。手紙には「跳ね返りの息子で私には手に負えない。鍛え直してやってくれ」と書いてある。
 ウインタースは予想以上の曲者で、上官への敬意も何もないに等しい。加えて士官学校で大尉をしていたということもあり、訓練成績も抜群にいい。
 ウインタースは訓練地でカーターという美女と出会うが、彼女は看護隊の中尉であった。士官と兵の交際が禁じられているにもかかわらず、ウインタースは事 故を装って病院に入るなど、強引にカーターへの求愛を続ける。当初は困惑するカーター中尉であったが次第にウインタースに惹かれていく。
 スミス軍曹は一向に性格が治らないウインタースに手を焼くが、ある時、海兵学校へ進級する試験にウインタースの同室テッドが不合格となったことをウイン タースが逆恨みし、スミス軍曹を殴りつけてしまう。本来ならばウインタースが懲罰なのだが、スミス軍曹が自ら責任を取って降格となる。なぜ、スミス軍曹が 嘘をついたのか理解できないウインタースだったが、戦艦の射撃訓練の際に標的に取り残されたスミス軍曹を危険を冒して単身助けに行く。感謝するスミス軍曹 にウインタースは「ただ借りを返しただけだ」と返す。ウインタースは未だ何もわかってはいないのだった。
 海兵隊に嫌気がさしたウインタースは、海兵隊を除隊し、元彼女(父が大将)のコネでワシントンの高級官僚への転身を決める。カーターにプロポーズする も、ワシントンへはついていけないと断られる。
 海兵隊を除隊し、ワシントンへ移動する最中、車中から日本軍真珠湾攻撃のニュースが流れる。そして、車外には戦場に赴くため、スミス軍曹以下自分のいた 部隊が行進している。いてもたってもいられなくなったウインタースは、背広を脱ぎ捨てて行進に加わるのであった。

(2005/03/11)

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