戦争映画の一方的評論
 
「死刑執行人もまた死す 評価★★★★ ナチスに対抗するプラハ市民 
Hangman also die
1943 アメリカ 監督:フリッツ・ラング
出演:ブライアン・ドンレヴィほか  
135分 モノクロ

 1942年にドイツの元国家保安本部長官ラインハルト・ハイドリッヒがチェコのプラハで暗殺された事件を題材にした映画。暗殺翌年にアメリカで製作と言 うことで、多分にプロパンガンダ的要素もあるのだろうが、事件の重要性を看取した試みと勢いに驚かされる。プラハで起こっている実態がすぐに連合国側に伝 わっていたということでありる(まあ、暗殺計画を裏で仕切ったのは連合軍側なので当たり前でしょうが)。ただ、この映画は史実を描いたものではなく、プラ ハ市民の勇気を推理小説風にアレンジしたものである。

 悪名高いハイドリッヒはプラハの総督として赴任していたが、チェコ人活動家の医師スヴォボダにより暗殺された。プラハに住んでいるノヴォトニー教授の娘 マーシャは、スヴォボダを追跡するゲシュタポに異なった方向を教えてスヴォボダを助けたことから騒ぎに巻き込まれる。偶然、スヴォボダはノヴォトニー教授 宅に隠れることとなり、マーシャと再会する。
 ゲシュタポは、執拗に犯人捜しを行うが犯人は見つからない。業を煮やしたゲシュタポは片っ端から市民を捕らえて処刑していく。ノヴォトニー教授も捕らえ られてしまう。そんな中、ゲシュタポに取り入っているチャカの密告でチェコ人活動家達がゲシュタポに殺害される事件が起きる。一方、ノヴォトニー宅に匿わ れているスヴォボダのもとにもゲシュタポの手が伸びる。寸でのところでマーシャの機転で情事中を装って難を逃れるが、その場をマーシャの恋人に目撃されて しまう。本当のことを知らされていない恋人は絶望と怒りでやけになり、ゲシュタポの尋問にひっかかりそうになる。
 いよいよ、ゲシュタポの魔の手がスヴォボダ、マーシャに忍び寄る。ノヴォトニー教授の処刑も迫っている。そこでマーシャらはゲシュタポに密告者チャカが 暗殺の真犯人だと告発する行動に出る。チャカは事件当時レストランで食事をしていたと証言するが・・・・・
 
 この後の話は伏せておきますが、びっくりするような、胸のすくような展開が起きます。1943年の戦時中とは思えないような洒落たストーリーは魅力十 分。また、登場人物のそれぞれの個性や人間性もしっかりと描かれているうえ、名もないプラハ市民の恐怖、裏切り、団結などの意志や表情が実にうまく描かれ ている。プロパガンダ要素が強いとはいえ、それを感じさせない魅力たっぷりの映画なのである。あんまり先入観を持たずに見て欲しい映画です。

このほかラインハルト・ハイトリッヒ(ハイドリヒ)暗殺事件を扱ったものに「暁の7人」がある。

(2004/08/16)

興奮度★★★★
沈痛度★★★
爽快度★★★★★
感涙度★

 

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