「サハラ戦車隊」 評価★★★★ リアルな戦車の理由は？
SAHARA
1943 アメリカ 監督：ゾルタン・コルダ
出演：ハンフリー・ボガードほか
９７分 モノクロ
第二次世界大戦の北アフリカ戦線に投入されたアメリカ軍戦車分遣隊の話。戦車がとてもリアルなのは、なんと制作年が1943年。つまり、戦争まっただ中
であり、しかもまだノルマンディーに連合軍が上陸していない時期と言うことにある。本物が使われていて当たり前なのだ。士気の高揚のためか、アメリカの参
戦意義を問うためか、どういう理由で作られたのだろうか。
主演はハンフリー・ボガードで、米軍戦車の車長（軍曹）役である。この人は「ケイン号の叛乱」で気のおかしい艦長役をやった人でもあります。米軍の３人
の戦車兵は退却を命じられて退却中に、６名の英軍兵（１名はフランス兵、南ア出身もいる）を拾う。さらにイタリア兵捕虜を連れたスーダン兵（イギリス統治
下）を拾い、ついでに攻撃してきたドイツ軍戦闘機パイロットを撃ち落として捕虜にする。あたりは一面砂漠で、水が不足するため井戸を探してある集落に入る
が、そこに同じく水を求めてドイツ軍の機械化歩兵大隊が近づいてきたため、わずか９人で５００名のドイツ軍と戦うことにするが。。。。
とにかく、多彩な人種と所属の兵士が入り乱れる。多分、連合軍の士気高揚のため、連合軍側兵士総動員といったところであろうか。しかし、ストーリーはな
かなかシビアで派手なアクションがあるわけではないが、頑張ってドイツ軍を打ち負かそうという士気鼓舞的な感じがあり、命を投げ打ってでも戦う意思表示が
強い。この点は、イギリスの「最後の突撃」という士気高揚のための国策映画と雰囲気が似ている。献身的な姿勢で兵役拒否をなくそうという国策のあらわれ
か。
登場する戦車はＭ３リー中戦車で、リベット留め、側面ハッチがあることから初期型と思われる。これは75mmの固定砲塔の使い勝手の悪い戦車だが、Ｍ４
シャーマンが登場するまでの間活躍したらしい。ただ、全部で５台くらいしか登場せず、映画の撮影ごときに多くは避けなかったのか。とはいえ、冒頭に第４機
甲師団の全面協力とあるので、本物であることは間違いない。戦車内部の映像もあるし、走行シーンもリアルだ。
ただ、多くの兵士を乗せた上、補助の燃料補給もないのに300kmほど走破しているのだが、確かＭ３は行動距離190km位のはずでは。燃料は降って湧
いてくるのか？
なお、1995年に「新サハラ戦車隊」という映画が製作されているがこちらはリメイク版だとか。劇場未公開で見ていないので比較はできません。ビデオに
はなっているらしい。
(2004/03/25)
興奮度★★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★★★
感涙度★★
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