戦争映画の一方的評論
 
「バターンを奪回せよ 評価★☆ 米軍大佐とフィリピンゲリラのバターン収容所奪取
BACK TO BATAAN
1944 アメリカ 監督:エドワード・ドミトリク
出演:ジョン・ウエイン、アンソニー・クイン、ポーラ・ボンディほか
95分 カラー


 日本軍のバターン州にあったカバナトゥアン捕虜収容所を、米 軍と米軍大佐が指揮するフィリピンゲリラが協力して奪還する話。このカバナトゥアン捕虜収容所急襲作戦は実際にあった話らしく、500名の米軍捕虜が保護 されたという。日本では、内容が内容のため製作後22年後に公開された。ただ、本作はカバナトゥアン収容所強襲作戦ではなく、そこに至るまでのフィリピン 人ゲリラの結成と活動をメインに据えている。
 ちょっと不思議なのは、作品中でカバナトゥアン作戦が1945年1月30日と出てくるが、本作は1944年制作となっている。これでは未来の話になって しまう。制作年が異なっているのだろうか。
 題材が日本人にとっては、「バターン死の行進」など面白くないのもあるが、それを差し置いてもストーリー、映像共にかなりの駄作。ただ、ジョン・ウエイ ンが登場する米軍マンセー的映画でしかない。登場する日本兵が英語で話しているのはいいとして、その他のシーンでは「あうっ」とか「いやっ」とか雄叫びだ け。なめてるのか・・・。また、格好が南方装備ではなく、中国兵か北朝鮮兵のようで最高に変。本間中将役なんかちょび髭、細目の中国人コメディアンのよう だ。フィリピンゲリラの頭は、フィリピン革命の父
アンドレス・ボニファシオの孫という設定。スペイン、アメリカの植民地化から独立を戦った 英雄の子孫を利用して、日本軍と戦うということだが、アメリカはフィリピンに自由を与えたなどと、過去の強圧支配を棚に上げての暴論は、傲慢で鼻持ちなら ないアメリカンスピリッツ爆裂。(詳しくはこちらのフィ リピン国民的英雄のページを参考に)
 戦闘シーンは銃撃戦、射殺シーンともにお粗末。スケール感がなんとも小さい。撃たれてもないのに倒れる日本兵はいと悲し。フィリピンゲリラ間の伝達は太 鼓のリズム。おまけに日本軍待ち伏せシーンは、なんと水田で水遁の術を使っている。いや、どうでもいいけどフィリピン人を馬鹿にしてるよねこの映画。
 登場する兵器としては、日本軍戦車は日の丸付きM4A2シャーマン。悲しいかな、結構強そうに見える。対する米軍側はM10対戦車自走砲。たった1回し か出てこないが。とにかく金はかかっていない、内容はいい加減。かなりふざけた映画だ。

興奮度★
沈痛度★★
爽快度★★
感涙度★


(以下 あらすじ ネタバレ注意)

 1945年1月30日、米軍兵によって日本軍のフィリピンバターン州のカバナトゥアン捕虜収容所が解放される。
 これから遡る事3年。フィリピンのバターン半島の米軍は、進軍する日本軍に追いやられ、マッカーサーはオーストラリアに逃げる始末だ。米軍も順次撤退 し、米軍のマッデン大佐はフィリピン人アンドレス大尉らと戦っていたが、司令部からフィリピンに残ってフィリピンゲリラの結成と指揮をとるよう命令され る。アンドレス大尉は恋人の芸能人ダリセイが日本軍の手先として働いている事が気がかりだった。しかし、実はダリセイは米軍のスパイだった。
 マッデン大佐がフィリピンゲリラを集めている時、ついにコレヒドールが陥落し、多くの英米兵が捕虜となった。いわゆるバターン死の行進が始まる。その行 進の列からマッデン大佐はアンドレス大尉を救い出す。フィリピンの英雄アンドレス・ボニファシオの子孫という事を利用しようとしてのことだ。そのことにア ンドレスは不快感を示し、自由を餌に民衆を危険にさらすのかと詰め寄る。しかし、恋人ダリセイの安全を確保するまでは協力することを約束する。
 日本軍の本間中将は民衆をおさえるため、フィリピン独立宣言の式典を開催する。そこにダリセイの密告で襲撃をかける。しかし、子供のマキシモが日本軍に 捕らえられ拷問のうえゲリラのアジトへを吐かされる。アジトに近づくとマキシモは命を張って車を谷底に転落させるのだった。
 いよいよ、米軍の上陸戦の時期が近づいてきた。フィリピンゲリラは米軍上陸の6時間の間日本軍戦車を食い止めるため、道路を封鎖する。迫り来る日本軍戦 車の前に奮戦するも、もはや突破かと思われた時、援軍の米軍戦車がやってくるのだった。

 (2005/08/02)

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