戦争映画の一方的評論
 
「無防備都市 評価★★★ イタリアレジスタンスの末路 
Roma Citta Aperta
1945 イタリア 監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:マルセル・パリエロほか  
103分 モノクロ

 イタリアのネオレアリズムのきっかけとなった作品で、ネオレアリズムの巨匠ロベルト・ロッセリーニ監督3部作の最初の作品。イタリア解放間もない 1945年製作で、ドイツ軍支配の傷跡も生々しい雰囲気が伝わってくる。ちなみに、ネオレアリズムとは、ありのままの姿を写実的に描こうとするリアリズム であり、一般市民の起用やロケーションの多用が特徴だそうだ。今では多様な作品が製作されているので、本作を見てどこが顕著なリアリズムかというと、 ちょっとわかりづらいが、当時としては戦争の悲惨さを隠すことなく顕すといった点でも画期的なリアリズムであったと思われる。ロッセリーニ監督の3部作は このほかに「戦火のかなた」「ドイツ零年」と続く。

 映画の舞台は第二次大戦末期のローマ。イタリア人レジスタンスのマンフレーディはゲシュタポに追われ、同志のランチェスコのもとに潜む。ランチェスコの 婚約者ピーナがそれを助ける。また、表だった活動ができないため、資金の運搬役としてドン・ピエトロ神父も協力する。
 ランチェスコとピーナの結婚式の日、子ども達が仕掛けたテロの追求でランチェスコが捕らえられる。それを追いかけたピーナは射殺される。護送途中のレジ スタンスの襲撃でランチェスコは解放され、マンフレーディと共にマンフレーディの恋人マリーナの元に隠れる。しかし、マリーナは麻薬中毒になっており、ゲ シュタポのスパイに買収されてマンフレーディらの情報を密告してしまう。マンフレーディらは捕らえられ厳しい拷問を受ける・・・・

 イタリアレジスタンスは決して華々しい活躍はない。それに関わった人々はゲシュタポの手に堕ちていく。暗く、重苦しく、それでいて、自由の希望を求めて 力強く生きようとする民衆の姿を描いている。また、異質なのが子ども達の姿だ。まだ、6.7歳とも思しき子ども達が手製爆弾でテロを行っている。日本での 戦後闇市等で暗躍する子ども達ともオーバーラップする彼らの強い生命力を感じさせる。ピーナの生命力も戦乱期の女の強さを彷彿とさせる。パン屋の襲撃や子 ども達に対しての言動などは気丈なイタリア女そのものだ。見ていて安心感すら感じさせる。
 さらに、最後に神父が銃殺されるシーンで、銃を撃つイタリア警察の隊員はことごとく的をはずす。最後はゲシュタポ将校が頭を撃ち抜くのだが、イタリア人 同志の殺し合いという占領下ならではの縮図もここに垣間見ることが出来る。


(2004/08/25)


興奮度★★
沈痛度★★★★★
爽快度★
感涙度★★

 
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