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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
鉄路の闘い」 評価★★★ フランス国有鉄道レジスタンスの地道な闘い
LA BATAILLE DU RAIL / THE BATTLE OF THE RAILS
1945 フランス  監督:ルネ・クルマン
出演者:トニ・ローラン、リュシアン・ドゥザニョオ、ロバール・ルレ
ほ か
86分 モノクロ 

 
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  ドイツ降伏後まもなくに製作された、フランス国有鉄道員らによるレジスタンス活動を描いたルネ・クルマンの長編処女作。レジスタンス国民会議とフランス国 有鉄道の協力により、ドイツ降伏のその年に製作されたというのも驚きだが、出演者のほとんどが当事者や素人というのも凄い。映画の舞台は1944年6月か ら1945年5月頃のフランスで、史実では連合軍によるノルマンディー上陸作戦に呼応して、フランス国内のレジスタンスが破壊工作など、ドイツ軍の軍事行 動妨害を行っている。フランス国有鉄道も例外でなく、ドイツ軍の物資・兵員輸送の遅延妨害を試みるため、サボタージュや破壊工作などで活躍したことが知ら れ、本作はその国有鉄道員の命がけの抵抗活動を讃えるものとなっている。映画冒頭でも「フランス国有鉄道は対独関係を維持しつつ、敵のバリケードを人間と郵便で突破した。フランス解放に果たした役割は大きい」と述べられている。
 そもそも、フランスはドイツ電撃戦で早々とドイツの占領下となり、第二次世界大戦においては、華々しい軍事的活躍がない。対独戦勝に沸く国民にとって、勝利の美酒はレジスタンスに求める以外ない、というある意味屈折した喜びなのであろう。

 製作年代が古く、映像が暗く荒れているのは残念だが、本作の高い評価は登場する列車や兵器類、人物が本物であるという点にあ る。史実をもとに構成されたストーリーは、物語調ではあるが、むしろドキュメンタリー的な雰囲気が強い。当事者が本物の列車や兵器を用いて、事件を再現し て見せている、といった感覚なのである。
 ストーリー自体は、Dデイに呼応して破壊工作や抵抗を続ける国鉄職員やレジスタンスの活動と、抵抗に業を煮やしつつ対抗措置を執るドイツ軍との駆け引きで構成される。表現されているエピソード自体はなかなか面白いのだが、あ えて登場人物に個性を持たせないようにしているのだろうか、説明不足で分かりづらい場面が多いのは残念。登場人物の名前や階級もよくわからないし、裏で動 いているレジスタンスの組織的な策略が今ひとつわかりにくかった。ドキュメンタリー的に、レジスタンスの活躍さえわかればいいのだ、ということなのだろう か。
 興味深かったのは、国鉄職員らのドイツ軍妨害活動の様子。列車ダイヤが大幅に遅れるように工作するのは当然だが、機械に小石を挟む、行き先表示板を入れ 替える、ブレーキホースを切る、燃料を抜く、磁器爆弾を取り付ける、脅迫ビラをまくなど実に様々だ。もちろん、ドイツ軍は犯人捜しも行っており、銃殺に処 される場合もある。この辺りの様子は「大列車作戦(1964)」という同じフランス鉄道レジスタンスを描いた名作に詳しい。
 
 本作に登場する兵器類の花形はなんといっても、ドイツ軍のBP42型装甲列車。本物の装甲列車を走らせての映像はなかなかレア。さらに、ドイツ軍戦車な どの兵器を搭載したまま貨物列車を転覆させるシーンはまさに圧巻。崖の上から機関車をはじめ貨物、戦車が惜しげもなくバラバラと転落していく。転落シーン に搭載されていたのはルノーR35戦車、II号戦車、7.5cm対戦車自走砲マルダーI、Sdkfz.251装甲車など。このほか、転落したかどうかは未 確認だが、貨車に搭載されたIV号戦車パンター、カルロ・ベローチェL3豆戦車、スタイヤーRSO角形キャビン、ワーゲンなどの車両も映っている。これら は、ドイツ軍が遺棄した兵器と思われるが、ルノーR35戦車は装甲列車にも搭載され、実際にレジスタンス掃討シーンで走行もしている。ちなみに、ルノー R35はフランス、ベローチェL3はイタリア製だが、いずれもドイツ軍が接収して使用していたようだ。

 戦争映画としては、レジスタンスの破壊活動なわけで、あまり華々しさはないが、フランス人にとってはまさに英雄そのものなのだろう。申し訳ないが、私個 人的には姑息なテロ行為に困っているドイツ軍の方に心情が傾いてしまうが(笑)、こうした色々な視点での映画があるということに感謝したい。

興奮度★★★
沈痛度★★★

爽快度★★★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 フランス国有鉄道は、ドイツ軍検問の目を盗んで、人間や郵便を送り続けた。また、ドイツ軍の軍事車両の運行を少しでも邪魔するため、機械に小石を入れたり、行き先表示を変える、ブレーキホースを切る、燃料を抜く、磁器爆弾を取り付ける、脅迫ビラをまくなど様々な妨害を行った。 ドイツ兵が殺害されたり、橋が爆破されるなど著しい妨害があると、ドイツ軍は国鉄職員を連行し射殺することもあった。機関士らは一斉に汽笛を鳴らして抵抗の意志を示す。
 1944年6月、ノルマンディに連合軍が上陸すると、フランス国有鉄道のレジスタンスには、西部戦線へのドイツ軍輸送の遅延妨害が指令された。ドイツ軍 は12列車で兵と武器を輸送する「アプフェルケーン隊」を西部に送ろうと試みるが、フランスレジスタンスによりコルバン橋、ロルム駅が破壊され、サンタン ドレ駅に迂回を余儀なくされる。
 サンタンドレ駅にはレジスタンスが先回りし、燃料不足で動かない機関車を退役した機関士ジュール、ビクトールの協力で動かして転覆させる。ドイツ軍は転 覆した機関車の撤去のため、30トンクレーン機関車を送るが、そこでもクレーン車のアンカーを工作して、クレーン車自体が転覆してしまう。ドイツ軍はさら に50トンクレーンを現場に送り、なんとか復旧に成功するが、数日間のロスを負ってしまう。
 レジスタンスは、戻っていく50トンクレーン機関車を停止させ、乗っていたドイツ兵を捕虜にしたうえで、線路を逆送させる。慌てたドイツ軍は列車を転覆させようと試みるが、国有鉄道職員の機転で逆送を続けてしまう。
 すっかり邪魔されたドイツ軍は、ついに装甲列車の投入を決意し、輸送列車の前に装甲列車を走らせて破壊されたレールの修理をしながら進む作戦に出る。レジスタンスは装甲列車を阻止しようと、果敢な攻撃に出るが、返り討ちにあってしまう。
 修理を追えて、進み出した装甲列車に対し、レジスタンスは大がかりな暴力に訴えた作戦に出ることを決意する。装甲列車の次に走る輸送列車を脱線させよう というのだ。運行される列車の間隔が狭く、危険な任務だった。その危険な輸送列車S1504の機関士にはランパンが搭乗することに。間一髪のところでラン パンは脱出に成功し、兵や戦車などを満載した輸送列車S1504は脱線して谷間に転落していく。
 さらに、鉄道司令部では残りの11台の列車を止めるべく、電化列車の電源を切ったり、機関車の燃料を放棄したりと妨害工作に出る。ついに10台の列車が立ち往生となる。さらに、立ち往生した列車には連合軍の空襲が襲う。
 ドイツ軍は敗走し、サンタンドレは連合軍に解放される。サンタンドレの解放1番列車がフランス国旗を掲げて出発する。そして、脱線して散乱する輸送列車S1504の脇を走り抜けていく。

(2007/06/25)