戦争映画の一方的評論
 
「日本の悲劇 評価☆  反動のアカ映画の典型例
1946 日本映画社 編集:亀井文夫 
42分 モノクロ
 
 戦後1年目に早くも製作された、支那事変から終戦までを描いた戦争批判映画で、公開後1週間で上映禁止となった作品だとか。内容は、戦前の共産党賛美 と、戦前の日本軍部・政界・天皇批判に終始する。もちろん、戦争を推進した軍部や回避できなかった政界への批判は的を射ている部分もあるが、戦前の共産主 義者が平和主義者であったとか、戦時事象の一つ一つの解釈は、完全に戦勝国及び共産主義史観に基づいたものである。特に、今では中国による偽造と確定され ている「田 中上奏文」を映画の根底に据えているのだ。戦後60年を経過した現在ならば、笑っ てしまうような、極端な自虐・捏造史観がここに始まったのだと実感することが出来る。左まきの人なら泣いて喜ぶような内容だが、ノンフィクション戦記とし ては余 りに価値に乏しい。都合のいい映像の組み替えや、事実の捏造が多々見られるのは、この後に激化していく労働運動の闘争手法を彷彿とさせるものである。さす がにここまでアカ色が強いと、GHQに没収されるのも頷ける。
 映像と解説はあまり一致しておらず、また、自虐的固定観念が強すぎて、史実の掘り下げはほとんど見られないので、ストーリー的には面白みはない。全般 に、軍部・政財界を支配階級とし、一般国民を労働階級と位置づけて対立させている。中でも、「共産党は勇敢に戦った」などという共産党賛美あたりは、某共 産主義国家の映画かと思わせる雰囲気がある。
 また、「南京2万人の大虐殺(映画ママ)」を早くも取り上げているが、結局映像、文献資料等は一切提示されず、音声で悲鳴を再現して見せているのが笑え る。
 戦記記録映画としてはほとんど価値はないが、どうやって日本の自虐史観ができあがったか、日本人がどのように手のひらを返していったのかという歴史を知 る上で、貴重な映画であるとは言えよう。亀井文夫の戦中作「戦ふ兵隊」「支那事変後方記録上海」から比べれば、豹変したかのよう な作風だが、これを先見の明があったとするのか、アカ手法の典型例とするのか、視聴者の判断にお任せしたい。私個人としては、この映画は記録映画ではな く、堰が切れた共産主義プロパガンダ映画なのだと思っている。

興奮度★
沈痛度★
爽快度★
感涙度★


(以下 あらすじ ネタバレ一応注意)

なし

(2005/05/02)

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