戦争映画の一方的評論
 
「鮮血の情報 評価★★ Dデイの裏に隠された諜報活動 
13 RUE MADELEINE
1947 アメリカ 監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:ジェームズ・ギャグニー、アナベラ、ロチャード・コンテほか
約95分 モノクロ


 第二次世界大戦の戦闘の陰に、諜報部隊の活躍があった。本作は、Dデイ(ノルマンディー上陸作戦)を成功に導いた、米軍秘密情報活動グループO−77 (オペレーション77)の隠れた活躍を描いたものである。と、いいつつこれが実際の話に基づいたものなのかどうかはさっぱりわからない。製作年代、冒頭の 記録映画調のフリと言い、いかにもドキュメンタリーぽいのだが・・・。
 内容は、O−77に集められた22人の中に一人のドイツスパイが紛れ込んでおり、彼に偽の情報を流して、Dデイ作戦の成功を導くというものである。誰が スパイなのか、どうやって騙していくのか、というサスペンス的要素を期待したのだが、展開は極めて単調、単純。では、アクションに期待するかというと、こ ちらも全くどうってことなし。この後に登場してくる多々のスパイ映画の基本形といった感じなのだろうか。
 興味を感じたのは、スパイ養成の訓練のシーン。柔道の受け身をはじめ、映像記憶訓練、無線打電訓練、音響テスト、荷物を濡らさず渡河訓練、飛行機誘導訓 練、嘘つき訓練、潜入調査訓練など実に多彩だ。
 登場する兵器類は、当然の事ながら少ないが、オランダ降下に用いる航空機にB−24リベレーター、捕虜輸送に強行着陸する航空機がB−26マローダーと 思われる。映画のための撮影ではなく、記録映像のような気がする。まあ、お手軽映画と言えばそれまでなのだが。

興奮度★★★
沈痛度★★

爽快度★
感涙度★


(以下 あらすじ ネタバレ注意)

 1942年の真珠湾攻撃で打撃を受けたアメリカは、日本やドイツを見習って情報戦略の重要性を見直した。1944年に至るまでに76組の諜報員が巣立っ ていったが、77組目のO−77には22人が応募してきた。その中に、大学研究者のパピー・シンプソン、フランス人女性のスザンヌ・ド・ボーモン、オック スフォード大卒の士官候補生ジェフ・ラスター、銀行マンのビル・オコネルがいた。指揮官兼教官はボブ・シャーキーである。
 22人は3ヶ月間のスパイ活動訓練と2週間の実地活動を受けるが、ボブは情報局長から22人の中に一人のドイツスパイが紛れ込んでいる事を知らされ、そ の特定を命じられる。ラスターとオコネルは同室であり、実地潜入訓練で友情を深める。しかし、ボブはスパイがオコネルである事を突き止める。彼がミスのな い超一流の実績を誇っていたからだ。彼の本名はクンツェルと言った。
 近いうちに連合軍は大規模な上陸作戦Dデイを控えていたが、その成否はドイツ軍の裏をかくことだった。情報局はドイツに偽の作戦情報を掴ませておくこと を計画。そのためにクンツェルに偽情報を持たせてオランダ国内へ潜入させる事とした。
 同時に連合軍はドイツ軍の秘密兵器V2ロケットに悩まされていた。そのため、ロケット基地を徹底破壊するため、フランス国内に隠れている兵站部設計者 デュクロワの生け捕り作戦も計画された。こちらはラスターと通信員のスザンヌが降下する事となったが、ボブはクンツェルとともに降下させ、クンツェルが偽 情報に気づいたら抹殺するようラスターに命じた。
 いよいよオランダ降下が決行されるが、降下の際にクンツェルはラスターの命綱を切り、ラスターは墜落死する。クンツェルはすでにラスターの密命を察知し ていたのだ。
 ラスターの代わりにボブがフランス行きを志願する。降下したボブはヴィシー政府の強制労働局を名乗って町長の所へ行き、デュクロワの行方を探る。しか し、レジスタンスの町長はボブを信用せず拉致してしまう。味方である事を証明するため、通信員のスザンヌにラジオで暗号を放送するように指示する。首尾良 くラジオで暗号が流され、身の潔白を証明したボブはホテルに隠れているデュクロワの生け捕り作戦を開始する。しかし、クンツェルはボブがやってきたことを 察知し、ボブの逮捕をねらう。
 レジスタンスの暴動を隠れ蓑にホテルの警備を手薄にして、ボブはホテルに潜入。デュクロワの生け捕りに成功。しかし、クンツェルはデュクロワの輸送のた めに強行着陸する飛行機を発見。ボブは、クンツェルに対して妨害を図るが、ついに逮捕されてしまう。通信員スザンヌもボブが逮捕された事を本国に打電する が、ドイツ兵に見つかって射殺されてしまう。
 ボブからDデイの情報を聞き出そうと、クンツェルは拷問にかける。イギリスの情報局ではナチ秘密警察本部への爆撃計画を立てていた。ボブが口を割る前 に、本部ごと爆破してしまおうというのだ。そして、爆撃機が飛び立ち、ボブごと秘密警察本部が爆撃される。
 
 (2005/06/08)

DVD検索「鮮血の情報」を探す(楽天)