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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「長い灰色の線 評価★★★★ ウエストポイントの主(ぬし)の生涯 
THELONGGRAYLINE
1954 アメリカ 監督:ジョン・フォード
出演:タイロン・パワー、モーリーン・オハラほか  
131分 カラー
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 アメリカ陸軍の中で最も輝かしい「ウエストポイント陸軍士官学校」の物語で、ウエストポイントで50年間教官として努めたマーティ・マーの自伝を映画化 したヒューマンドラマ。監督は叙情的な戦争映画「ミスタア・ロバーツ(1955)」「肉弾鬼中隊(1934)」「コレヒドール戦記(1945)」など撮ったジョン・フォードで、古い 映画にもかかわらず、今でも十分に感動を与える名作である。

 ウエスト・ポイントとはアメリカ合衆国の最も古い陸軍士官学校で、ここを卒業すると士官(少尉)として軍に赴任することとなる。いわゆる軍のエリート学 校であり、現在の日本で言えば防衛大学校に相当する。現在はどうか知らぬが、かつては本映画のような名物教官が長く在籍することも多かったようで、厳しく も家族的なコミュニティとして長く愛されている。また、ウエスト・ポイント卒業の著名人も非常に多く、本映画中でもドットスン、マッカーサー、ブラッド レー、ヴァンフリート、アイゼンハワーの名前が出てくる。
 ちなみに、主人公のマーティ・マーは最終階級で一等軍曹という下士官であり、彼の教え子は卒業すると彼よりも位の高い少尉(士官)になる。

 内容は、マーティ・マー一等軍曹のウエスト・ポイントでの50年間を描いたもので、叙情的な脚色で実に心温まるホットな映画となっている。特に 素晴らしいのは、役者の役作りと演技で、主演の タイロン・パワーを始め、若年時から壮年までを違和感なく演じ分けている点だ。マーティ・マーの若いときの怖いもの知らずで無知な姿から、次第にプライド と威厳を身につけて 行き、最後は衰えながらもウエスト・ポイントに愛情を注ぐ姿まで、一人の役者とは思えない演技力である。マーティー・マー自身の紆余曲折の人生もさること ながら、多くの士官候補生を送り出し、その死を見てきたかの歴史は重みがある。その重みが彼の人間性をも変えていくのだ。
 ただ、さすがに50年間ともなると、登場人物が世代を超えて登 場するので、人間関係がやや複雑にはなってくるので、しっかりと覚えていないとわからなくなる箇所もある。
 また、米陸軍やウエスト・ポイントの仕組みを多 少は知っていないとわかりにくいかもしれない。例えば、かつての教え子レッドの子供が一等軍曹で復員してきた時に、大尉のバッジを取り出してマーティにつけて欲しいと いうシーンがあるが、これは多分、戦地の特別任官による辞令によるものだと思われる。前線で士官級が戦死すると、下位の者が代わりに小隊長や中隊長の 指揮を取るが、その際に臨時で任官させるシステムがある。つまり、レッドの子供は軍曹ながら中隊長の指揮をとったということだろう。
 軍隊は厳しい階級社会でもある。上官の命令は絶対なわけだが、ウエスト・ポイントの教官と生徒の間にはやはり血が通っているのが何だか嬉しい。軍曹の マーティー・マーが時の大統領アイゼンハワーに直訴してしまうのも、士官となった教え子がいつまでも彼に敬意を示すのも、ちょっとホットな一場面なのだ。

 全般に、落ち着いた感じのヒューマンドラマで、完成度はかなり高いと言える。ただし、舞台がアメリカの士官学校なので、ちょっと鼻につくシーンもある し、理解しにくい設定もある。ある程度そこに思い入れ出来ないと冷めてしまうかも。日本人には馴染みの薄い軍隊ものだけれども、是非感情移入してみてもら いたいものだ。
 ちなみに、表題の「長い灰色の線」は、ウエスト・ポイントの制服(灰色)から来たもので、歴代の士官候補生という意味である。

<参考>
ウエスト・ポイントHP 

興奮度★★
沈痛度★★

爽快度★★★★
感涙度★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 ウエスト・ポイントの闘技助教として50年間努めたマーティ・マー一等軍曹(タイロン)は、年齢により学校長から退職の辞令を受けたことに不服で、大統 領の所に抗弁に行ったシーンから始まる。大統領はアイゼンハワーで彼の教え子でもある。マーティは大統領に彼のウエスト・ポイントでの歴史を回想し始め る。
 マーティーは1903年にアイルランドから渡米し、ウエスト・ポイントの食堂の給仕として働く。しかし、失敗ばかりを重ね、弁償金を払わなくて良い兵士 に志願することにする。ウエスト・ポイント勤務の二等兵として士官候補生の世話と歩哨などの任務につく。ある時、闘技主任のケーラー大尉(最後は大佐)に 見いだされ、闘技助手となり、ボクシングや水泳、フットボールの指導を行うこととなる。始めは士官候補生にも負ける有様だが、次第に士官候補生との信頼関 係ができあがってくる。また、ケーラーの策略もあって、ケーラー家のアイルランド人女中メアリー(オハラ)と結婚する。間もなく男の子が出来、ウエスト・ ポイントへの入学を夢見るがすぐに死んでしまう。成績不良でマーティに助けられてきた士官候補生レッドらは、彼を失意から救うのだった。レッドは、マー ティの仲介で学校教員のキティと結婚するが、間もなく第一次世界大戦の勃発とともに少尉として戦地に赴いていく。
 三等軍曹に昇進したマーティだが、次々に教え子が戦死し、ついにレッドも戦死してしまう。嫌気が差したマーティは退役することを決めるが、レッドの遺児 を見て再びウエスト・ポイントに戻ることにする。
 レッドの子も大きくなり、ウエスト・ポイントに入学し優秀な成績を収めるが、卒業間際に規律違反を犯し、自ら退学して兵卒として前線に赴く。妻のメア リーも死んでしまう。マーティは士官候補生達を我が子のように接し、士官学校での闘技教官として邁進する。その間に、ドットスン、マッカーサー、ブラッド レー、ヴァンフリート、アイゼンハワーなどの名将を送り出した。 
 あるクリスマス、歳をとったマーティーの元に彼を慕った士官候補生達がやってくる。そこに、レッドの子が一等軍曹として復員してきた。再会を祝い、祝福 を受け、マーティは至福の時を過ごす。彼にとって教え子が全てなのだ。

 彼の回想は終わった。話を聞いていた大統領は、ドットスン中将に善処を依頼する。ウエスト・ポイントに戻ったマーティに待っていたのは、ウエスト・ポイ ント士官候補生全員の分隊行進だった。マーティに対する全員の敬意だった。

(2004/06/24 2009/3/2修正)