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戦争映画の一方的評論
 
「眼下の敵」 評価★★★★ 戦闘シーンは物足りない が、海戦ものとして必見
The Enemy Below
 1957 アメリカ・西ドイツ 監督:ディック・パウエル   主演:ロバート・ミッチャム,クルト・ユルゲンス 
98分 カラー 
(2002/12 スカパー CSN1で録画したものを視聴)

 スカパーの雑誌で井筒監督が絶賛していたので見ることにした。
 第二次世界大戦中の南大西洋を舞台に、アメリカ駆逐艦とドイツ潜水艦が激しいバトルを繰り広げる物語。ただ、戦闘するのではなく、互いに老練の術を駆使 し、心理戦や耐久戦などシビアでシュールな戦いが繰り広げられる。古い映画ではあるが、映像もきれいだし、何よりも中ダレすることがなく見ることが出来 た。また、米独共同製作と言うことで、悪者を作ることなく、友好的な結末を迎える。
 アメリカ駆逐艦の艦長マレルは、着鑑したばかりで自室に閉じこもったままのため、部下から能力を疑われている。しかし、いざドイツUボートを発見してか らは、的確な指示と作戦ですっかり威信を取り戻す。一方、Uボートの艦長フォン・ストルバーグは老練の手練れで、友人の副官とともにイギリスの暗号を持ち 帰る任務のため、駆逐艦から逃れようと冷静な判断と忍耐力を発揮する。
 面白いのは、アメリカ艦長マレルは民間人出身で妻をUボートで殺されてはいるものの過激な性格ではない。ドイツ艦長のストルバーグも年を取っていまや総 統の姿勢に疑念を抱き厭戦的な状態にある。いずれも、好戦的な性格ではないが、敵を認めた時から互いに敬意を抱きつつ、任務に忠実に容赦なく敵艦を攻撃す るのだ。
 駆逐艦は爆雷で、潜水艦は魚雷で互いを攻撃し合う。そして、ソナーでの探知合戦。沈黙。進路のさぐり合い。事態は、海底に停止したUボートへの爆雷攻撃 から急展開する。爆雷攻撃により浮上せざるをえなくなったUボートはついに駆逐艦へ捨て身の魚雷攻撃を図る。魚雷のうち1本が命中し、駆逐艦は大破する。 浮上し、退避のため撃沈まであと5分待つと信号を送ったUボートに駆逐艦は主砲で反撃し、Uボートを撃破する。最後は、互いの救命ボートで助け合う。
 戦死者は少ない。明確にはUボートの副官だけしか映らない。ある程度息詰まる攻防戦で、最後にあるいみ友好的な終わりかたなので、映画としてはすっきり している。
 ただ、温情のため5分という時を与えたドイツ軍に反撃するアメリカ軍はいかがなものかと思った。もともと、浮上したところを撃破する計画だったとはい え、一種のだましうち。一応両鑑沈没という引き分けぽいのだが、やはりアメリカ軍の卑怯分けといった感はぬぐえない。
 いずれにしても、秒単位での判断を要求される両艦長のスリリングな心理戦は手に汗握る。また、艦長だけでなく、それをとりまく部下の心理もうまく描かれ ており、ひとりのヒーローを作り出すようなものにはなっていないのが嬉しい。ストーリー的にも是非見ておきたい作品といえるだろう。

(2002/12/18)

 興奮度★★★★
 沈痛度★★
 爽快度★★★★
 感涙度★

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