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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「未 知への飛行 評価★★★★ 究極の戦争のもつ緊迫感と絶望感 
FAIL-SAFE
1964 アメリカ 監督:シドニー・ルメット
出演: ヘンリー・フォンダ、ダン・オハーリヒー、 ウォルター・マッソーほか 
101分 モノクロ

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 米ソ冷戦期における核兵器戦争危機を扱ったフィクション作品で、1962年10月15日に勃発し た米ソ間の核戦争危機「キューバ危機」の影響を多分に受けた作品である。最新コンピューターの誤動作により、ソヴィエト攻撃に向かってしまった核兵器搭載 の米軍爆撃機5機をいかに阻止するかという緊迫の状況を描いたもので、「博士の異常な愛情(1964)」と双璧をなす核サスペンス作品である。
 オープニングのフラッシュバック的な闘牛シーン といい、最初はUFOものかと思った(笑)。また、本作は 登場人物の会話からなる心理描写がメインの映画のため、初めはダラダラした感じで、駄作だったか!という疑念も感じた。ところがである。ストーリーが展開 するに連れてぐいぐいと引き込まれていき、最後には完全に呼吸が上がった。数あるシリアスサスペンスのうち、最高級の傑作といってもいいだろう。

 原作はユージン・バーデックの小説で、先にも書いたキューバ危機の直後であり、内容は当時としてはかなり新鮮でかつ過激なものであったろう。当時の米国 内では赤狩り(レッドパージ)が盛行 しており、対共産主義圏に対する風当たりは強いとは言え、核の恐怖を身をもって体感するアメリカ人にとって、核の先制攻撃はタブーの一つでもあったはず だ。そう言う意味で、たとえフィクションの茶番劇であったとしても、非常にデリケートな題材だったらしく、撮影にあたり米国政府や米軍の協力は得られな かったのだそうだ。そのため、戦争ものとしては軍用機等のシーンがやや寂しくなってはいるものの、それは それで、目に見えないものと戦うという心理戦を描くにはちょうど良かったのかも知れない。もちろん、ソヴィエトを悪者に仕立て上げるのではなく、協力者 (同調者)としての位置づけに置くことによって、過激さをうまく押さえ込んでいるようだが。

 この緊迫した映画のほとんどは米軍作戦司令室、大統領執務室及び国防省会議室、そして爆撃機コックピットでの映像である。そいう意味で金はかかっていな いのだが、役者の会話、表情の みで全てを表現する演技力と構成力は素晴らしい。時間との戦いで、刻々と刻む時に息を飲む展開、そして、絶望的な結末に終始唖然とさせられる。制限時間あ りのリアルタイム映画は沢山あるが、本作はそれらの中でもかなり秀逸な部類にはいるだろう。
 また、核問題を扱った映画も多いが、ここまで危機感をあおるサスペンス映画は少ない。「博士の異常な愛情(1964)」はもちろんのこと、数年後に制作 される「駆 逐艦ベッドフォード(1965)」と並ぶ良作だ。なお、エンディングで米国防総省はこういう事態は発生しないと明言している旨のテロップが流れ る。それだけ影響力を心配したのかも知れない。

 原題の「FAIL-SAFE」とは進行制限地点と訳されており、冷戦が戦争に突入しない限界点=安全装置の限界点を表している。先制攻撃こそが戦争の勝 利を収めるという、核戦争の究極のシステムがそこにはあり、示威行為を相手側に知らせるために、常に進行制限地点に核搭載機が駐在しているという構図があ る。実際に当時のアメリカ軍、ソヴィエト軍ともにこれに近い常時作戦を実行していたわけで、こ れは機械のミスで取り返しのできない事態に発展する危険性を併せ持っているのだ。
 また、ストーリーの途中で機械の故障は、ソ連側が妨害電波を出したことが原 因であることも判明する。何故、妨害電波を出したのか。そこには人的な判断ミスも介在していることを示している。起こってしまったミスに、アメリカもソ ヴィエトも共同して阻止に当たろうとするが、もはや取り返しのつかない事態へと発展していくのだ。

 映画に登場する航空機は、政府の協力が得られなかったためにレンタル業者からの借用だそうで、爆撃機の離陸シーンは無許可の撮影だそうだ。爆撃機はコン ベアB- 58Aハスラー(1956〜1970就役)、戦闘機はコンベアF-106Aデルタダート(1956〜1966就役)と思われる。ほんの一瞬しか出てこない が、ミサイル発射シーンはなかなかリアルだ。 

 モノクロ映像の古くさい映画ではあるけれど、今でも十分に堪能できるサスペンスであることは間違いない。なお、名作が故に、2000年にはジョージ・ク ルーニらがTVで製作したリメイク版もあるのだとか。

興奮度★★★★★
沈痛度★★★★★

爽快度★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意)

 冷戦下でソ連に対して日常的に接近飛行を続けてい る米軍が、最新式のコンピューターの誤動作によってモスクワ水爆攻撃命令が 出てしま うことから始まる。命令発令から5分以内ならば、大統領から命令撤収が可能だが、それを過ぎると敵国の偽命令かもしれないという危険性からどんな命令も拒 否することとなっている。5分が過ぎ、5機の水爆を積んだ爆撃機がモスクワに向かっていく。
 大統領は軍最高司令部、民間オブザーバーなどの意見を聞きながら、残された道は爆撃機の撃墜しかないと判断する。友軍の撃墜に難色を示す軍人。この際に 一気にソ連に攻め入るべきとする学者。様々な意見が飛び交う中、大統領の決心が固まる。付近を飛行していた戦闘機部隊に燃料不足で海上に墜落しすることを わかりつつアフターバーナー点火で撃墜を命じる。しかし戦闘機部隊は爆撃機に届かず、全機墜落する。
 残された道はソ連による爆撃機撃墜だ。ソ連書記長とオンラインを結び、事故であり敵意のないことを示す。しかし、ソ連はにわかに信じず、報復の準備を進 めている。ソ連の信頼を売るために、まず大統領が取った行動は、在モスクワ大使をモスクワから待避させないことだった。書記長は言う、「500万人と1人 か」。大統領は続けて言う、「水爆搭載の爆撃機をもう1機飛ばした。目標は・・・」。ここに両国の信頼ができた。
 しかし、米軍の爆撃機は最新式情報機器を搭載しており、多くのダミー機をレーダー上に作ることが出来る上、
高性能ミサイルでソ連軍の戦闘機や対空ミサイルは歯が立たない。ついに、米軍の最高機密である軍事情報をソ連側に流し、爆撃機は4機までが撃墜された。だ が、最後の1機は残った。
 モスクワの書記長とのオンラインが切れたとき、モスクワの壊滅である。ほどなくして、受話器から「ピー」という高音が響く・・・・・・・・

(2004/06/14 2009/2/16修正)