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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
愛の手紙は幾歳月評価★★★ 戦中戦後の男女愛を骨太でスト レートな演出で描く 
1966 大映 監督:富本荘吉
出演:山崎努、高田美和、下条正巳ほか  
90分 モノクロ 
 
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 第二次世界大戦前後の混乱の中、中国に出兵する一兵士と、偶然に出会った少女が辿る、その後の数奇な運命を描いたヒューマンドラマ。川島正巳、さと子の 実話原作をもとに製作された映画で、木下恵介が脚色している。木下恵介の「幾歳月」シリーズの一つでもある。
 骨太でストレートな演出は、日 本映画の真骨頂とも言えるだろう。近年の日本映画にはろくなのがない、と批判ぎみだったのだが、この1950年代から70年代の日本映画には、日本独自の 映画理 論というものがあるような気がしてきて、再評価すべきだなという思いを持った。

 本作は実話に基づき、第二次世界大戦という戦争によって出会い、離され、再会するという、今では考えられないような数奇な運命をたどった川島夫妻を描い たもので、ほとんど無駄な脚色はないに等しい。実に淡々と出来事を羅列するだけなのだが、その事実の積み重ねだけで見ている側に様々な想像をかきたてさせ るのだ。近年の映画のような過度な脚色や演出がなくても、音楽やCG映像がなくても、役者の演技からにじみ出る心情表現だけで十分すぎるほど訴えかけてく るものがあるのだと実感できた。
 比較的登場人物も少なく、一人一人の考え方や心の動きがとてもリアルで、いわゆるホームドラマ調といった印象。そのため、とても見やすく、偶然の出会い の際にはなかった愛情が、手紙のやり取りを経ているうちに、遠くシナの地にいる正巳や日本にいるさと子に次第に芽生えて来る過程、お互いを想う気持ち、そ して戦後の混乱でひたすら正巳を待ち続ける気持ちが痛いように伝わってくる。

 スケールが大きいとか、もの凄い感動を呼ぶか、というとそんなことはないのだが、ジワジワと心に染みてくるタイプの映画だ。単純ながらもストレートで骨 太の映画というものは、ボディブローのように効いてくるものなのだろう。確かに、今の興行成績重視の映画界では受けないかもしれないけど、こういう映画は 大事にしたいものだと感じる作品だ。

 なお、主役は若き山崎努。今では押しも押されぬ名優になったが、若き山崎努もなかなか良い味を出している。

興奮度★★★
沈痛度★★★

爽快度★★★★
感涙度★★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

  昭和10年、当時21歳だった陸軍 伍長川島正巳は出征列車で移動中、銃後の婦人会の見送りに参加していた当時8歳の岡村さとこと、京都綾部駅の止まったホームが目の前だったという偶然だけ で知り合う。
川島は満州に派兵され、二人は手紙のやりとり を始める。はじめはたどたどしい手紙から始まったが、日華事変、太平洋戦争と戦火が長引くにつれ、二人の書簡 は150通を越えるまでになり、川島は准尉に、聡子も16歳になっていた。
 いつしか、二人の間には兄弟以上の親しみと 信頼が芽生えて行った。聡子の父が応集され病死してしまったところへ、川島は士官学校の試験に合格して帰国。 川島は聡子の母に結婚を申し込んだ。聡子の母は承諾したが、農家の川島家の母が反対し士官学校を卒業した川島は聡子に会うことなく再び満州へ。同じ満州に いた川島の妹から「聡子以外と結婚する気はないと言っている」との手紙に勇気づけられるものの、川島は南方テニアン島に転進していってしまう。折しも、米 軍の攻勢で南方の玉砕が続く。間もなく、テニアン島玉砕の報が入る。
 戦争が終わり川島の戦死公報はないが、生き ている補償もない。川島家では母親が死に、妹も死に、末弟以外の兄弟は皆戦死してしまい、父と末弟の二人きり となった。その実情を知った聡子は、結婚もしていない川島家に住み込むことを決心、聡子の母と弟とともに移り住んだ。
 昭和二十一年六月、苦しい野良仕事に慣れた さと子の元に川島からの手紙が来る。テニアン玉砕の前にロタ島へ転属し、捕虜収容所にいたのだった。聡子は晴 れて川島と一緒になることができたのだった。

(2004/06/08 2009/2/7修正)