戦争映画の一方的評論
 
「パリは燃えているか」PARIS BRULE-T-IL?( IS PARIS BURNING?)
            評価★★★ フランスレジスタンスの権力闘争
1966 フランス・アメリカ 監督:ルネ・クルマン 脚本:フランシス・フォード・コッポラ 
出演:アラン・ドロン 、イブ・モンタン、ゲルト・フレーベ  ほか  
173分 モノクロ

 1994年のパリ。ドイツ軍に占領されている状況下であり、パリの占領総司令官はコルティッツ将軍である。コルティッツ将軍はヒトラーか ら「(連合軍の反撃により)パリの占領が無理となった場合にはパリ市街を完全に爆破し廃虚にせよ」との密命を受けていた。しかしコルティッツ将軍はヒト ラーに忠実ではあったが、世界に誇る文化の都パリを廃墟にするのは気がひけていた。
 一方、パリ市内ではドゴール将軍派(イギリスに亡命した臨時政府)と共産レジスタンスがそれぞれ地下活動を行っており、連合軍の反撃を待っている状態で ある。そんななか、中立国スウェーデンの領事の仲介によってレジスタンス側とドイツ軍側との休戦が成立する。しかし、共産レジスタンス側は一気に攻勢に出 て共産レジスタンスでパリの解放をもくろむ。一方ドゴール派は、先に共産レジスタンスにおいしい所を持って行かれてはと、郊外にとどまり一向にパリへの侵 攻をしない連合軍に使者を送り、侵攻を進言する。そして、連合軍はフランス軍の戦車隊を先頭にパリ市内へ侵攻する。

 よく歴史書等ではパリの解放はレジスタンスのおかげだとか成果だとか書いてあるが、実際のところ、フランスレジスタンスと言っても共産系 とドゴール派系があり、互いに対立しあっていたのが事実のようで、彼らの戦いぶりにしても直接解放したわけではない(フランス人はそう思っているが)。パ リに最初に侵攻したのもフランス軍(ドゴール将軍)ではあるが、これも連合軍(アメリカ軍)のお情けによって先陣を切らせてもらっただけで、ドイツ軍はフ ランス軍に恐れをなしたわけでもなく、米英軍に破れたというのが的を得た見解ではないだろうか。ということで、この映画はフランスレジスタンスの活躍とフ ランス軍戦車隊の活躍を描いているようでいて、逆にフランスレジスタンスの内紛といやらしさをクローズアップしている。現代のフランス人気質もさほど変 わってはいないが、気位ばかり高く、内実の伴わないフランス物語として見ると面白い。

(2003/05/23) 

興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★★★
感涙度★★

 DVD
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 ビデオ
 (VHS (1995/07/21)ビクターエンタテインメント/CIC・ビクタービデオ \3,864)
 
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