戦争映画の一方的評論
 
「地上最大の脱出作戦 評価★★★ 米軍とイタリア軍が意気投合?コメディタッチのシシリー島攻略作戦 
WHAT DID YOU DO IN THE WAR, DADDY?
1966  アメリカ 監督:ブレイク・エドワーズ
出演:ジェームズ・コバーン、ディック・ショーン、セルジオ・ファントーニ、ジョヴァンナ・ラッリほか 
115分 カラー

  タイトルだけ見るといかにも激しそうな戦争アクションと思えるが、全編完全なるコメディ仕立て。すっかりはぐらかされた感じだが、戦争を文字ったり、小馬 鹿にしたようなコメディではなく、きちんとストーリーというか仕掛けのある展開なので、最期まで思い切り笑えた。悲壮感を感じるシーンは全くなく、素直に コメディとして楽しむのがいいだろう。戦闘シーンはあまりないのだが、使用している火薬類の量は決して少なくなく、アクション性も十分ある。登場する兵器 は結構きちんとしており、シャーマン戦車も出るし、なんと言っても兵士の持っている銃の類も考証がなされているようだ。
 舞台は1943年のイタリア、シシリー島攻略作戦。米陸軍がイタリア軍守備隊を攻撃するのだが、イタリア兵は戦う意志がない。村の祭りを通じて意気投合 するのだが、泥酔の余りに数々の失態を重ね、イタリア軍共々ドイツ軍の捕虜に。多数の兵士が登場するのに、死者は一人も出ないのがミソだ。また、主演のコ バーンはこの映画から10年後に戦争マニアを唸らせる「戦争のはらわた」で鬼軍曹役を張るのだが、その印象とは全く異なるおとぼけぶり。とはいえ、あの苦 虫を噛みつぶしたような渋みは健在だ。また、イタリア軍将校役にセルジオ・ファントーニが登場。「脱走特急」に代表される二枚目のイタリ ア将校役のはまり役だが、ここでは脳天気なイタリア人ぶりを披露。

(以下ネタバレ注意)

 1943年イタリア、シシリー島。激戦が続き疲弊した米軍の師団長ボルト少将は、疲れ果てた「C中隊」をヴォレルノ村攻略戦に用いること を決める。中隊指揮官は皆戦死したため、堅物でマニュアル通りの副官キャッシュ大尉(ショーン)を隊長に据える。
 キャッシュ大尉は大いに張り切るが、部下のクリスチャン少尉(コバーン)、リゾー軍曹らは士気が低く、しらけムードだ。マニュアル通りにヴァレルノ村へ 突撃するC中隊だが、イタリア軍守備隊の反撃はない。球技場へ入ったとき、そこにはサッカーに興じるイタリア軍と村人達がいた。
 イタリア軍の指揮官オポ大尉は、すぐさま投降する意志を示すが、根っから脳天気で陽気な彼らは今晩の村祭りを楽しむまでは移動しないと言い張る。堅物の キャッシュ大尉はこれを受け入れるはずもないのだが、すかさずクリスチャン少尉の計らいでとりあえず、祭りを開催することに。
 祭りは、脳天気なイタリア兵と村人、若い女性らで大騒ぎ。次第に、米兵の間にも祭りに興じる者が出てくる。キャッシュ大尉も始めはこれを諫めているが、 超美人の娘ジーナ(ラッリ)の誘惑に負けて泥酔状態に。 
 翌日、村全体が泥酔状態の中、米軍情報部のポット少佐がやってくる。あわてたクリスチャン少尉らは工作を重ねるが、泥酔状態のキャッシュ大尉の失態で、 結局ポット少佐をイタリア軍の捕虜にするはめに。加えて、イタリア軍と交戦中との偽情報を信じたボルト少将は偵察機を飛ばす。そのため、村内では米軍とイ タリア軍が空砲での銃撃戦の演技をを繰り広げることになる。
 その光景をドイツ軍偵察機も目撃。頑張っているイタリア軍を支援しようとヴァレルノ村にドイツ軍戦車がやってくる。イタリア兵が演技だったことがバレ、 米兵とイタリア兵はともにドイツ軍捕虜になってしまう。
 絶体絶命のピンチだが、収容所の真ん中でひょんなことから村の地下を巡る地下墓地を発見。兵士らは少しずつ脱出を計り、代わりに捕まえて気絶させたドイ ツ兵を捕虜に見立てて置くことに。朝になり、全員がドイツ兵と入れ替わったところで、ドイツ軍を逆に捕虜にしたのだった。そこに、ボルト少将がやってく る。そして、再び村の祭りが始まるのだった。

(2004/11/26)


興奮度★★★
沈痛度★
爽快度★★★★★
感涙度★

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