戦争映画の一方的評論
 
「砂漠の戦場 エル・アラメン 評価★★★ 真面目系マカロニコンバット 
BATTLE OF EL ALAMEIN
1968 イタリア・フランス 監督:ジョルジオ・フェローニ
出演:ロベール・オッセン、マイケル・レニーほか  
106分 カラー

 音楽、会話ともにいかにも「マカロニ・コンバット」なのだが、その中でもかなりの硬派路線の映画。というのも、イタリア映画には付きものの「女性」が登 場しないこと。そして、きちんとしたストーリー(史実)に沿って作られていることだ。戦闘シーンなどには「ありえない」超人的なアクションも多分にある が、登場する兵器類の数から言っても、そんじょそこらの安普請のマカロニコンバットとは違うのだ。
 この映画は実在のイタリア軍「ファルゴーレ空挺師団」の壮絶な死闘を題材にしていながらも、ドイツ軍のロンメル、イギリス軍のモントゴメリーまでもが登 場し、両者の駆け引きに翻弄されるイタリア軍の悲しさを際だたせている。なんとドイツ側にはカナリス提督までもが登場するのだ。
 登場する兵器は、実車系ではM41ウォーカーブルドッグがメインだが、何と稼動するM13カール・アルマートやM40セモベンテまでもが登場する。この ほか、動きはほとんどないがM4シャーマン、ファイアフライらしきものも見える。装甲車ではM113装甲兵員輸送車が登場する。砂漠での戦闘シーンはなか なかの迫力がある。
 ただ、ドイツ軍もイギリス軍も全部イタリア語なので、かなり違和感あり。やっぱりイタリア語って独特の雰囲気があって、軟派で優柔不断なイメージがある のだが、これだとドイツ兵までもがそう見えてしまうのが難点。
 イタリア兵は頑張っていることはいるのだが、やっぱり軟弱。いつも愚痴をこぼしてばかり。上官に対しても常に反抗的。こんな映画でさえもそいういう風に しか捉えられないイタリア軍って。あと、イタリア兵の独特のヘルメットとそれについた鳥の羽(ブラック・バード)が印象的だ。

興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★
感涙度★


(以下ネタバレ注意)
  1942年の6月、北アフリカのエル・アラメン(アラメイン)はロンメル将軍率いるドイツ・イタリア枢軸軍とモントゴメリー率いる英軍が対峙していた。ロ ンメルは原油を確保するため機動部隊で急進するが、次第に英軍の巻き返しによって膠着状態となる。折しも、副官のスツンメ将軍の策謀でロンメルは内地休養 を命じられ、内地に戻ることに。
 この機にモントゴメリーら英軍は一気に攻勢に出る。エル・アラメンの枢軸軍前線を守るのはイタリア空挺師団であり、その第4中隊には戦意あふれる堅物の ジョルジオ中尉がいた。度重なる英軍の攻撃で中隊長は戦死し、ジョルジオ中尉が指揮官になる。部下に対する厳しい態度で、部下の顰蹙を買っている。そこへ ジョルジオの実兄で人情的な性格のクラウディオ准尉が砲兵隊として赴任してくる。二人は意見の対立もあるものの、共同して英軍に対抗するが、あるドイツ軍 との共同作戦でジョルジオ中尉が英軍の捕虜になってしまう。
 英軍のグラハム中尉は紳士的な態度で捕虜のジョルジオ中尉を扱うが、ジョルジオは一瞬の隙を狙って脱走する。無事に陣地へ戻ったジョルジオ中尉だが、敵 襲で英軍兵を殺害する。それはあのグラハム中尉だった。この一件を境にジョルジオ中尉の中に人情が芽生え始める。
 グラハム中尉の任務は偽の作戦地図を敵に渡すことだった。グラハム中尉の死によって、まんまと罠にはまった枢軸軍は、虎の子の戦車部隊を一気に失ってし まう。
 本国から戻ったロンメルは、ヒトラーの命令を無視して、北アフリカからの撤退を決意。本隊の撤退支援のために、あの第4中隊が最前線の徹底抗戦の砦とし て残されることになった。このことを知らない第4中隊は英軍の猛攻を受けることに。
 もはや弾も切れ、物量に勝る英軍に対抗するため、ジョルジオ中尉は地雷を胸に抱いて戦車に突入するのであった。

(2004/12/28)

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