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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「革命戦士ゲバラ!  評価★★ チェ・ゲバラの革命人生半生記
CHE!
1969
  アメリカ 監督:リチャード・フライシャー
出演者:オマー・シャリフ、ジャック・パランス、チェザーレ・ダノーバほか
97分 カラー 

 
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 カリスマ的な革命家チェ・ゲバラの革命半生を描いたヒューマンドラマ。役者による関係者の証言を交えた、一風変わったドキュメンタリー風の仕立てだが、 証言そのものが本人ではないので、半生を描いたドラマとしての位置づけになるだろう。1959年1月1日のキューバ革命成功、1967年のゲバラの死から さほど年月を経ずして制作された意欲作ではあるが、何せゲバラとは対立軸であるアメリカが制作した作品だけに、事実を含めてアメリカ寄りである ことは否めない。とは言え、カストロを含めてゲバラの描き方は決して完全批判的ではない。当時の国際情勢を考えるに、なかなか思い切った作品であることは 間違いない。私の印象としては、キューバやゲバラを云々というよりは、キューバの背後にある旧ソヴィエトの関与を白日の下に曝そうという意図があるように も感じた。冷戦時ならではの作品とも言える。

 チェ・ゲバラは言うまでもないが、アルゼンチン人の医者でありながらキューバ人の反乱軍カストロに協力する。革命成功後にはナンバー2の地位を得ながら も、再びアフリカやボリビアでの革命運動を先導し、39歳の若さで死んでいる。地位や金などにとらわれず、その実直で一本気な行動力と理想から、最も革命 家らしい革命家と言われ、カリスマ的な存在として今なお慕われている。日本でも人気が博され、Tシャツのモチーフやサッ カーのサポーター段幕にも用いられるなど、政治的・思想的な垣根を越えて、熱意・情熱をあらわす象徴となっているようだ。
 ただし、彼の革命闘争はボリビアの地で失墜したのも事実である。共産主義武力革命の限界性と非現実性を抜きにして、神格化するのはいささか不快感も感じ る。武力革命とは日本赤軍がその理想を継承したように、人間の闘争本能をくすぐる甘い蜜のようなものであり、国民や農民のためなどという理想はいつしか自 己の陶酔にすり替わってしまうものだからだ。

 本作はさすがにアメリカ制作だけあって、その辺りの非現実性を、次第にゲバラが共同闘争者であるべき農民から乖離していく様子として描いている。むしろ カストロに肩入れするかのように、カストロの現実的路線に不満を抱き決別していく姿が強調される。ただ、残念なのはカストロしかり、ゲバラの革命理論や理 想についての描写がほとんどなく、ゲバラの心情の葛藤というものはほとんど伝わってこない。カストロに組みするまでの過程は省かれ、いきなりキューバ上陸 から始まるので、何故農民を救うための革命闘争に身を投じたのかという、ゲバラの人格を理解するための手段がないのだ。アメリカという対極からゲバラの革 命行動そのものを冷ややかに見つめたものだと言えよう。

 ゲバラはオマー・シャリフが演じる。帽子に付けられた一つ星(少佐)がよく似合う。カストロはジャック・パランスが演じ、若き日のカストロと言えば見え なくもない。
 登場する兵器類は小銃類とトラックがほとんど。唯一航空機でセスナが出るのみ。もともとゲリラ戦なので期待はできないのだが、銃撃戦などの戦闘シーン自 体もかなり少なめ。

 単なる革命家を描いたドラマとすれば、まあまあ楽しめる。チェ・ゲバラに変に肩入れせずにキューバ革命を知る上では入門編か(笑)。ただ、やはり革命家 ゲバラを描いたものとしては及第点には及ばない。
 

興奮度★★★
沈痛度★★★

爽快度★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 キューバの反乱軍カストロとともに、アルゼンチン人の軍医チェ・ゲバラは82名の戦 士と共に小舟でキューバに上陸する。内陸に進軍する反乱軍の中にあって、ゲバラは持病の喘息に苦しみながらも、治療にあたっていた。しかし、キューバ政府 バティスタ軍はカストロの上陸を察知し、待ち伏せ攻撃を仕掛け、カストロ、ゲバラなど17名のみがなんとか生き残る。
 カストロは意気消沈するどころか、山岳ゲリラ戦を駆使して政府軍を攻撃していく。ラプラタの陸軍武器庫襲撃作戦では、ゲバラの火炎瓶投擲の活躍により多 量の武器弾薬を確保することが出来た。カストロの解放区も増え、反乱軍はトゥルキーノ山に陣を構える。
 そんな活躍に以前は見向きもしなかったルイス前首相の特使がやってきて、反乱軍に資金援助を申し入れる。虫歯の治療にいらだつカストロは憤慨するも、ゲ バラの先見によりそれをとりなす。そして、カストロはゲバラの軍医を解任し、第二部隊の司令官(少佐)に任命する。それほどゲバラへの信任は厚かったの だ。
 ゲバラは医師の活動を止めることに後悔はなく、むしろこれまで見てきた中南米の貧民を解放するため、反乱軍の指揮を執ることに執着する。貧しい農民を説 得し、反乱軍に加えさせようとする。農民は花、革命家はミツバチだ、力を合わせろ、と。
 だが、一方軍の規律にも厳しかった。スパイ容疑の身内を容赦なく殺害し、規律を乱す者も容赦なく処刑する。ゲバラは反乱軍の規律そのものだった。また、 法律を学んだこともあるゲバラは宣伝活動も卓越しており、カストロの演説の草稿も作った。情報を重視した軍事作戦にも卓越し、しばしばカストロに意見し、 次第にカストロの右腕となっていく。ハバナを孤立するためにサンタクララ占領作戦にはカミロと並んで指揮官に任命される。
 ついに1959年の1月1日にバティスタが亡命し、カストロは革命を成功させる。国民の圧倒的支持を受けるカストロに反し、ゲバラは建物にこもって政府 軍関係者の処刑を続ける。処刑をやめるよう進言されるが、熱狂的な国民の中に放り出すよりはましだとゲバラは言うのだった。
 カストロは新内閣の組閣にあたり、ゲバラを人民軍司令官に任命する。最初は断ったゲバラだったが、軍内部からのクーデターを防ぐためだと説得され、優秀 な軍を作るために就任する。また、国家銀行総裁、工業大臣も兼務し、国のナンバー2としての地位を得る。
 だが、ゲバラは現実路線の国造りをするカストロの方針に不満を抱き始め、独自に南米の共産党指導者と密会を始める。さらに、アメリカに対抗するため、ソ ヴィエトの核ミサイル基地をキューバに建設させる。しかし、これは米ソの核戦争危機を招く結果となり、ソヴィエトは撤退していく。なお強硬論を具申するゲ バラに、ソヴィエトは不快感を抱く。
 ゲバラはついに世界に革命を広げたいとして、カストロと決別を決意する。カストロもついにゲバラを懐柔することはできなかった。

 その後、ゲバラはボリビアに入国し、アメリカCIAに支援される政府軍と戦い、武力革命を試みる。キューバからの義勇軍を率いて戦い始めるが、かつての ようにうまくはいかなかった。ボリビア人はボリビア人による革命を望み、ボリビア共産党指導者と決裂してしまう。ゲバラは一層厳格に規律を守らせるが、武 器も食料にも困る革命軍からは脱走者が後を絶たない。ゲバラはカストロに支援を頼むが、それも次第に途絶えていく。村々で農民を説得するが、ゲバラの意志 が通じることはなかった。ついに、ゲバラは自分の記したゲリラ戦の掟に反し、村々での掠奪を始める。
 CIAに訓練されたボリビア軍の攻撃で、ホアキン隊が全滅。助手のタニア(女性)も死ぬ。腹心らもゲバラに絶望感を抱き始め、ついにチェロ渓谷で政府軍 に捕らえられてしまう。生け捕られたゲバラは命令により処刑されることに。その直前にゲバラの居場所を通報した老農民がやってくる。ゲバラが来てから山羊 が乳を出さなくなったのだという。農民を救おうとするゲバラの気持ちは何一つ農民のためにはなっていなかったのだ。そして、ゲバラは射殺される。


(2009/01/05)