かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「花の特攻隊 あゝ戦友よ 評価★☆ 特攻機桜花での突入 
1970 日活 監督:森永健太郎
出演:杉良太郎、渡哲也、和泉雅子ほか  
95分 カラー


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 川内康範の原作「花の特攻隊」の映画化。数ある特攻隊ものとしては特攻専用機「桜花」を題材にした珍しい作品。桜花とは6m足らずの小型機で、車輪など の着陸装置はついていない。機内に1.2トンの炸薬を詰め込み、一式陸上攻撃機を母機として腹に抱かれて出撃、敵艦発見とともに切り離されてパイロットが ロケット推進装置で操縦して敵艦に体当たりする必死の兵器である。神雷桜花特別攻撃隊 として出撃し、55機あまりの桜花が散華している。
 
原作を読んだことがないので、主題が何な のかわからないが、全体にのっぺりとした作りで、切れの悪いだらけた出来となっている。主人公は学徒志願したパイロットだが、恋人への思いを断ち切って出 撃するというお決まりのパターンながら、感情の盛り上がりに欠ける。それも主演が杉良太郎だからなのか。杉良太郎は顔の表情が今ひとつ出にくい役者のよう だ。なお、恋人役は若き和泉雅子。今からは想像できない美人である。
 印象的なシーンは俳句(川柳に近い)を作りながら特攻に向かう飛行兵の姿。うまく出来ずに「まあいいか、敵艦に向かう間に考えるさ」とあっけらかんと搭 乗する姿は、無理に明るく努めようとする、当時の特攻隊員にもあったであろう面影で涙を誘う。
   また、恋人への思いを断ち切って、戦友への責任感で出撃した主人公の姿は感動を呼ぶものではあるが、たった一人の弟への肉親としての情が感じられない演 出は残念。まあ、それでも最後に、独りぼっちになった弟が主人公の恋人と一緒にいるシーンがあったので、ほっとはしたが。
 登場する戦闘機は日の丸をつけたテキサン。一式陸攻に化けているのは、なんと海自の哨戒機P-2Vのようだ。両翼の突起物 と尾部のレーダー?が特徴。桜花を抱いている地上機はハリボテのようだ。飛行中の一式陸攻はもちろんミニチュア。
 全体として、特攻隊員の心情を推し量る心理描写もイマイチで、ちょっと中途半端な特攻映画であった。

興奮度★★
沈痛度★★
爽快度★
感涙度★★


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(以下あらすじ ネタバレ注意)
 昭和18年、日本の戦局が悪くなってきた頃。医者の息子浜村真吉(杉)は父親の戦死の報にも関わらず、土浦海軍航空隊に志願する。分隊士の厳しい指導の もと徐々に一人前のパイロットとして育っていく。真吉の恋人三保(和泉)の弟昭夫もまた少年飛行学校に入隊している。
 一方、海軍の兵器廠ではドイツ軍のV1ロケットに模した無人の誘導ロケットを開発中だが、戦局悪化のおり、ついにこれを有人特攻機として転用することに なった。これが特攻機桜花である。
 真吉は少尉に任官され、土浦から鹿屋基地に配属を命じられるが、鹿屋に配置される新米パイロットは特攻要員でしかなくなっていた。それでも真吉らは単葉 機(ゼロ戦をイ メージしたテキサン)の特攻要員であり、日々出撃を待っていた。最後の休暇で母親との別れを済ませた真吉のもとに恋人三保が訪ねてくる。しかし、今更思い を残すことが出来ない真吉は冷たくする。
 いよいよ真吉が出撃する日が来た。しかし、真吉の搭乗機は脚が折れて離陸失敗。真吉は負傷して入院する羽目になる。戦友達は次々に特攻隊員として空に散 華していく。三保の看病で傷が癒えた真吉だが、既に練習機の白菊や複葉機の赤トンボまで特攻機となる有様で、真吉に割り当てられる機はなかった。意地でも 死なねば済まぬと言う真吉に、司令はついに秋山隊への編入を認める。秋山隊とは桜花特攻隊であった。そこには三保の弟昭夫の姿もあった。操縦技量の足らな い少年飛行兵達が桜花要員になっていたのだった。
 東京では空襲がひどくなり、真吉の母親が死亡する。真吉は田舎に疎開している残された弟のもとを訪ねる。しかし、母親の死亡のことを告げられない。別れ 際の弟の泣きべそ顔が印象的だ。
 8/13、ついに、インディアナポリス級巡洋艦が発見され、真吉は一式陸攻にくくりつけられた桜花に搭乗して出撃する。三保の弟昭夫は空襲で怪我をして いて出撃を見送られた。
 間もなく終戦となる。後には、恋人の三保、昭夫、そして真吉の弟が残された。


(2004/10/20、2005/08/28修正)