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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「要塞  評価★★★☆ ドイツ軍に抵抗するイタリア少年パルチザンたち
THE HORNET'S NEST
1970  アメリカ 監督: フィル・カールソン
出演者: ロック・ハドソン、シルヴァ・コシナ、セルビオ・ファントーニ、マーク・ユレアノほか
109分 カラー 

 
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 第二次世界大戦のドイツ軍支配下イタリアを舞台に、破壊工作に潜入した米兵と親を殺害されたイタリア孤児たちの、駆け引きと触れあいを描いた、ヒューマン系アクション映画。全般に戦争の悲哀を前面に出した、もの悲しいストーリーで、任務に忠実で冷徹な米兵と、幼い孤児たちの純朴で熱情的な姿が好対照である。戦争映画としてのアクション性も持ってはいるが、それ以上にヒューマニズム的な側面が強い。
 特に、パルチザンとなっていく子供たちの、純粋で一途な感情が、無知さや幼さから来る悲劇と絡み合っていく姿は、余りにもの悲しく、少年兵の悲哀を描いた「橋(1959)」「リトル・ソルジャー(1987米)」とオーバーラップするものがある。

 ストーリーそのものはフィクションであり、設定やアクション(ミッション)自体はリアル感がない。銃を持ったばかりの少年らがドイツ軍正規兵と対等に戦ってしまったり、特殊工作員以上の働きをするのはちょっと・・・。だが、その辺りは百歩譲って、米兵や少年たちの活躍劇として見れば、それなりに楽しめる。
 本作はそれ以上に、やはり子供たちの心の葛藤と変化が見物なのだ。丸腰の両親を目の前で虐殺されたショックや怒りは、今ならば心療カウンセリングが必要となるのだろうが、そんなものがない当時の子供たちの衝撃は察するに余りある。その上、孤児となり洞窟に隠れて自活し、ドイツ兵に激しい憎悪を抱く彼らの心情は、米兵の登場とともに、次第に正常心を失っていくのだ。米兵は任務に忠実な余り、使うべきでない少年たちを戦争に利用し、巻き込んでしまう。そこには、少年たちと米兵の葛藤や駆け引きがめまぐるしく動いている。さらに、ドイツ軍女性医師が母親的存在として現れ、父、母、子供といった歪んだ家族的関係が生まれる。戦場で生まれたアンバランスな関係が、一抹の不安を醸し出しながらも、どこかでお互いを信用しようとする姿に安堵するのだ。
 このように、本作の凄いところは、映画中で人間愛、家族愛を変則的ながらも、実に強烈に描いている所なのである。肉親ではない、アカの他人だからこそ、一層強烈に感じる絆なのである。アクション、映像的にはB級と言っても良い程度なのだが、本作がB級映画ではない大きな理由でもある。

 登場する兵器や兵隊の数は少なめ。トラック、キューベルワーゲンといったソフトスキン類は多少出るが、戦車や航空機といったものは登場しない。銃器類はそれなりに登場するが、発射音は単一的で今ひとつ。製作年代からすればやむを得ないのか。ダム破壊ミッションシーンはミニチュアを使用しているが、迫力は今ひとつ。
 登場する米兵は大尉。ドイツ軍側では国防軍大尉が主役級で、このほか国防軍大将、SS大佐、少佐の姿が見える。SSは当然悪玉なのだが、国防軍大尉が心ある人物に描かれているのも面白い。
 ドイツ軍女医役のシルヴァ・コシナはきつめな感じはするが、なかなかの美女。

 子供を題材にする映画はある意味反則(笑)で、幼い子供たちが戦場をよちよちと歩いているのを見れば、もう居ても立ってもいられない(爆)し、精神的にも成熟しきっていない少年らが無為に死んでいくのも切なすぎる。そういう意味でも、本作は実に心に染みる作品に仕上がっている。映画全体の完成度はちょっと微妙だが、心にズシンと来るものが欲しいならば必見の作品である。 
 

興奮度★★★
沈痛度★★★★★

爽快度★★
感涙度★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 
  1941年、イタリアのレアノート村。ドイツ軍のSS部隊がイタリアパルチザンを追って村にやって来て、匿った罪として丸腰の住民を皆殺しにしてしまう。陰に隠れていた子供たちは助かったが、目の前で両親が殺されてしまった。10歳から3歳ほどの子供たち10数名は、洞窟で自活するようになる。
 連合軍はドイツ軍が保持するデラ・ノルテダムの爆破工作を計画。アメリカ軍が夜間に降下するが、一パルチザンの密告により、ドイツ軍の待ち伏せでターナー大尉を除いて全滅する。ターナー大尉は洞窟に運ばれるが、重傷ですぐに医者の手当てが必要だった。パルチザンのスカルピは街の医者を呼びに向かうが、ドイツ軍に医者ともども射殺されてしまう。子供たちは、仕方なくドイツ軍の女医ビアンカをうまく誘導して洞窟に連れてくる。騙されたと怒るビアンカだったが、幼い子供もいることを知り、やむなく洞窟に留まることにする。
 傷の癒えたターナー大尉は、ダム破壊ミッションに子供パルチザンを利用しようとする。しかし、子供たちのリーダーのアルドはレアノート村のドイツ軍への報復が先だと言い、銃の撃ち方を大尉に教えるよう迫る。ターナー大尉は協力することを承諾し、まず村の指揮官フォン・ヘヒト大尉のもとにアルドを送り込む。アルドは靴磨きとして潜入し、ジェニングス大佐に偽情報を教える。ターナー大尉らはドイツ軍が出撃した隙に宿舎に潜入し、無線機やダイナマイトを盗み出す。ターナー大尉は連合軍に全滅したことを送信。ドイツ軍はそれを傍受する。
 ターナー大尉は子供らに銃の撃ち方を教え、ダム潜入のために水泳訓練を施す。また、ターナー大尉は遭遇したドイツ兵を殺害する。子供たちは、ターナー大尉がレアノート村への報復約束を違えるではないかと思い、ダイナマイトの信管を隠してしまう。困った大尉は仕方なくレアノート村襲撃を先に行うことにする。
 ドイツ軍司令部では、他の戦線に2個師団移すという命令が出る。フォン・ヘヒト大尉は、連合軍(パルチザン)の目的はダムにあるとジェニングス大佐に進言するが、聞き入れられず、さらに指揮権をタウシュッヒSS少佐に移管される。
 ターナー大尉と子供たちはレアノート村の襲撃に成功。ドイツ兵を全滅させ、弾薬庫も爆破する。初戦果に興奮し、大喜びする子供たちにターナー大尉は困惑を隠せない。村に戻ってきたタウシュッヒ少佐とフォン・ヘヒト大尉だったが、未だダム警備に人員を割かない少佐を大尉が撃ち殺してしまう。その足で、ダムに向かったヘヒト大尉だったが、ダム警備隊に逮捕されてしまう。
 いよいよ、ダム破壊ミッションとなり、ターナー大尉と4人の少年がドイツ軍機銃陣地からダム堰堤下へ潜入を開始する。ダイナマイトの装着が終わろうとしたとき、発見されて銃撃戦が始まる。なんとか泳いで逃げるが、追ってきたドイツ兵によって少年一人が死亡する。近くにいた女医ビアンカは幼い子供を助けるため、思わずドイツ兵を射殺する。
 ダム堰堤上ではアルドら数名の子供たちが重機銃陣地を奪取して、応戦。両親を殺された怒りから、ドイツ兵を殺すことに快感を覚えたアルドは、目の前で邪魔になった幼い少年カルロを射殺してしまう。それでも、アルドは興奮冷めやらない。
 アメリカ軍が進軍してくる。気勢をあげるアルドを横目に、ターナー大尉は子供たちの銃を取り上げて破壊し、アメリカ軍の方向へ進む。途中でアルドが逃げてきたフォン・ヘヒト大尉と遭遇し殺そうとする。ターナー大尉がそれを阻止するが、アルドは裏切り者だと言ってわめく。
 アメリカ軍のトラックに搭乗した子供たちだが、アルドは乗ろうとしない。ターナー大尉を裏切り者だと言って泣き叫ぶアルドだったが、次第に落ち着きを取り戻し、カルロを殺すつもりなんてなかったんだと泣き始めるのだった。



(2008/02/28)