戦争映画の一方的評論
 
「マッケンジー脱出作戦 評価★★ 英国収容所から脱走を図るドイツ海軍兵士
THE MCKENZIE BREAK
1970 アメリカ 監督:ラモント・ジョンソン
出演:ブライアン・キース、ヘルムート・グリームほか
106分 カラー


 イギリス本土のマッケンジー捕虜収容所からのドイツ海軍兵士の脱走と、それを阻止しようとする英軍情報部員の駆け引きが主題となっている。企画的には意 表を突いた脱走計画など面白くなる要素も多いのだが、脱走シーンとそれを追跡する最も盛り上がるべきシーンが手を抜かれており、尻すぼみとなっているのが 残念。また、主役の英軍情報部員役(ブライアン・キース)が高齢過ぎるうえ、覇気が全くないためにストーリに勢いが全く感じられないし、主人公への共感は 困難だ。しかも、ストレス満載 のエンディングの仕立てはいかがなものだろうか。確かに、敵味方相通じるものという観点は意表はついているが、はっきり言って面白くない。ということで、 映画的にはかなり中途半端で盛り 上がりに欠けるものとなっている。
 先にも書いたが、主役の英軍情報部員の役どころが中途半端だ。低くて小さい声で話す様は、クレバーで冷静な性格を表しているのかも知れないが、酒好き で、反抗的で、女好きという側面とどうも合致しない。結局この役柄の位置づけがはっきりしないために、映画の焦点が絞り切れていないのが残念。なお、ドイ ツ潜水艦艦長役のヘルムート・グリームの方は適役と言った感じ。このあたりは、実にもったいない。
 登場する兵器類としては、英空軍マークをつけた小型機が登場するが、これはセスナみたいなもの。軍用機ではないと思う。唯一兵器として潜水艦が登場す る。ドイツUボート役として出てくるが、アメリカ海軍のテンチ(Tench)型潜水艦である。この型は第二次大戦末期に多く建造され、戦後多くは他国に売 却されている。アメリカ海軍でも遅いものは1970年代前半まで就役しているので、それを用いたものであろうか。

興奮度★★★
沈痛度★★

爽快度★★
感涙度★


(以下 あらすじ ネタバレ注意)

 第二次世界大戦時、イギリスにあるマッケンジー捕虜収容所に、ドイツ軍兵士が収容されていた。そのリーダーは海軍潜水艦艦長のシュルーター大尉で、事あ るごとに反抗的態度を示し、収容所長ペリー少佐を困らせている。実は、シュルーター大尉は本国からの指令で、潜水艦乗り28名の脱走を企図していたのだ。 ペリー少佐は、ドイツ国内の英国軍捕虜収容所で25名が手錠をかけられたため、マッケンジー収容所でも報復のため手錠をかけようとするが、シュルーター大 尉らは反抗を続ける。
 イギリス軍のコナー大尉は元新聞記者だが、女性問題等で出世に縁遠い。今回も無届け外出の件であげられたが、友人のカー将軍に取りなしにより、情報部員 としてマッケンジー収容所に送り込まれることとなった。
 コナー大尉は、マッケンジー収容所に脱走計画があることを察知する。しかしその証拠は得られていない。コナー大尉がドイツ兵に手錠をかけようとすると、 シュルーター大尉らは再び反抗する。これに対して、コナー大尉は用意していた消防車で放水して退散させる。しかし、その隙にイギリス兵に化けたドイツ兵2 名が脱走に成功する。また、混乱に乗じて、シュルーター大尉に反抗的だったノイシェルという兵士を半殺しにする。
 コナー大尉は瀕死のノイシェル暴行を目撃し、シュルーター大尉の陰謀追求を始める。そのノイシェルも病院内の暴動で殺されてしまう。
 いよいよ、シュルーター大尉の脱走が実行される。味方のドイツ兵らも欺く天井崩落事故を起こし、その隙に28名が脱走する。コナー大尉は、あえてシュ ルーター大尉を見逃して、警察と協力して追跡、海岸で浮上したUボートごと生け捕りする作戦を計画する。
 シュルーター大尉らは一時は航空機から発見されるも、それを振り切って海岸部に到達する。夕刻になり、Uボートが浮上し、シュルーター大尉らはボートで 接近を図る。しかし、執念で命令違反覚悟で海軍を利用して捜索するコナー大尉の小型機に発見される。コナー大尉はすぐさま沿岸哨戒艇を呼ぶが、ぎりぎりの 所でUボートはシュルーター大尉ら3名を置き去りにして潜水を開始し、逃げてしまう。
 海岸の上では、コナー大尉がカー将軍からの出頭要請を受けていた。そして、海上に取り残されたシュルーター大尉を見て「お互いにまずいこととなったな」 とつぶやくのだった。
 
 (2005/06/21)

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