オンラインDVDレンタル ぽすれん

 
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!

かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「海軍特別年少兵 評価★★ 硫黄島玉砕の少年兵たち 
1972 東宝 監督:今井正
出演:地井武男、佐々木勝彦、中村まなぶほか  
127分 カラー
DVD検索「海軍特別年少兵」を探す(楽天) 

 第二次世界大戦時の終盤に、兵員不足から発足した海軍特別年少兵制度に応募し、鍛えられ第一線の硫黄島に赴いていく少年たちを描いたヒューマンドラマ。
 監督は反戦家の今井正で、随所に反戦的設定を混ぜ込み、年少兵の悲劇を際だたせる手法を用いている。

 海軍特別年少兵制度は、手薄になりつつある中堅幹部の養成を目的に、14、5歳を対象に昭和16年に創設されたもので、昭和17年に第一期生が募集さ れ、終戦までに17,200名が採用され、佐 世保、呉、舞鶴、横須賀の各鎮守府において教育がなされた。主に通信科、機関科、航空科で、本来は三年ほどの教育を経て実戦に参加する予定であったが、実 際は一年余りの教育の後実戦に派遣されていった。その結果、年少兵の戦死者は5,020名にも及び、うち硫黄島で3,000名あまりが戦死している。

 ストーリーは各々の事情によって年少兵に応募した少年たちが横須賀に入団するところから始まる。厳しい訓練の中、純真だった少年の心が、次第に軍人の心 に変わっていく様が描かれるが、その教官役には個性的な三名が配される。一人は学問教官の東大出の吉永中尉(佐々木)で、体罰を嫌い愛情を持って生徒に接 しようとするが、これに対し精神、肉体訓練担当の教班長工藤上曹(地井)は厳しく生徒に接していく。この二人の対立を冷ややかに見つめるのが山中中尉で、 年少兵制度そのものに懐疑的なのだ。
 一見、厳しいだけのように見える工藤上曹だったが、実は年少兵の貧しい家庭 環境にも理解を示す愛情の裏返しでもあった。特に、出来の悪い林(中村まなぶ)には暖かい目で見守っており、陛下から賜った帯剣をなくしてしまった林の代 わりに、帯剣を必死に探す姿に兄貴分の後ろ姿を感じる。
 ストーリーの後半は一転して硫黄島に転ずる。年少兵の多くは硫黄島に派遣され、命を落としている。本作でも硫黄島に派遣された年少兵の命を救おうと、元 の教官達が工作するも、軍人魂だけは大人になった年少兵たちは玉砕を選ぶ。

 とにかく暗く重い題材を扱っており、今ならば中学生の年代の子供たちが命を落としていくシーンは鬱になる。それに加え、今井監督なだけあって、恣意的な 反戦設定が火に油を注いでいる。年少兵の父親が「アカ」のレッテルを貼られて虐げられていたり、年少兵の姉が売春婦で脱走 兵と駆け落ちしたり、年少兵の父親の教師が子供を軍に入隊させるのを苦に職を辞するなど、貧困と弱者が主役となっている。良くあり がちな、貧しい出身者が騙されて軍に入隊したという構図を描きたかったのだろうが、実際は志願制でかなりの倍率だったそうだから、いささかやりすぎの感 も。これらの設定が普通であったならば、もっと骨太で心に染みる作品になったであろう。逆に気分を削がれてしまった。
 それでも、途中の訓練シーンなどで明るく仕立て上げようとする努力も見られる。しかし、全体に脚色のバランスが悪く、シーンの配分が良くないため、与え る感動が肩すかしをくらったような感じ。
 役者では、木訥とした東北の年少兵林の与える柔らかい印象がいい。ただ、その年少兵をさっさと殺してしまっては・・・。また、鬼軍曹役の地井もそこそこ の味を出しているが、年少兵の演技とのバランスはやや悪い印象。やはり妙な反戦的シーンを無理に入れすぎたためにバランスを崩してしまっているようだ。無 理に入れずとも、内容から十分に反戦的なのだが。
 映像は1970年代の割に、暗く劣悪なのが気になる。

興奮度★★
沈痛度★★
★★
爽快度★
感涙度★★★

映画見るなら ⇒スカパー!初期費用無料
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!
古本市場】激安古本・CD・DVD・ゲームソフト販売買取
新刊書籍・雑誌・DVDジェイブック
新品DVD・家電
い〜でじ!! 

(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 昭和18年6月、横須賀武山海兵団に14歳 の少年達が入団した。彼らは海軍特別年少兵と呼ばれ、海軍軍人の一員となったのである。年少兵のほとんどは貧 しい家庭の出であり、酒飲み、アカなど親のため、兄弟のため、また家から逃れるためなど様々な理由で志願してきたものばかりである。
 学問の教官は東大出の吉永中尉ほか優秀 な士官だが、精神、肉体の訓練は教班長である工藤上曹が担当する。優しく愛の教育を説く吉永中尉と異なり、工藤上曹は精神と肉体の鍛錬のため厳しい課題を 与え続ける。しかし、年少兵の貧しい家庭 環境にも理解を示す愛情の裏返しでもあった。特に、出来の悪い林には暖かい目で見守っていた。
 ある演習の時、林が帯剣を紛失してしまう。 班員、工藤上曹ともに探すが、なかなか見つからない。結局工藤上曹が見つけるのだが、林は首をくくってしまう。工藤上曹は虚しさを覚え、前線へ転属してい く。
 そして、彼らは硫黄島守備隊に配属され、米 軍の激しい上陸作戦のもと壊滅状態となる。元教官であった吉永大尉(中隊長)の温情で、最後の突撃から4人の 年少兵がはずされるが、彼らの心は少年ではなく軍人そのものだった。彼らもまた玉砕突撃の道を選んだ。

(2004/06/25 2009/3/2修正)