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戦争映画の一方的評論
 
「裂けた鈎十字(ローマの虐殺)」 評価★★★☆ アルデァティーナの虐殺 
MASSACRE IN ROME
1973
イタリア・フランス  監督:ジョルジ・パン・コスマトス
出演:リチャード・バートン、マルチェロ・マストロヤンニほか
107分 カラー

 
 イタリアは枢軸国側でありながら、その実態はドイツ軍の傀儡下にあった。そのことを示す「アルデァティーナの悲劇」と呼ばれるイタリア人虐殺事件を題材 にしたレアな作品。虐殺の引き金となったレジスタンスのドイツ兵襲撃テロ「ラセッラ通り襲撃」事件やこのローマの虐殺事件については多くを知らないのだ が、それなりに史実に沿って作られているらしい。登場人物もほとんどが実在していた人々だ。
 また、劇中に批判的に登場する当時のローマ教皇はピウス12世であり、ナチスのユダヤ人虐殺にもこのローマ虐殺にも沈黙を続け、虐殺行為を止めるべき立 場にありながら、暗に虐殺に加担したと批判される人物でもある。その背景には無宗教のソビエト共産党に対してヒトラーが事実上の防波堤となっていたこと や、キリスト教のユダヤ人蔑視があったらしい。
 映画はサスペンス仕立てで、イタリア人神父とドイツ軍大佐の駆け引きが見物だが、そのストーリの面白さもさることながら、虐殺事件に関与していく神父と ドイツ軍大佐の心の葛藤が痛々しい。先に述べた宗教や人種差別の重みと、誤って投げられたサイは元には戻らないという歴史的繰り返しの事実が、実に重くの しかかってくる。個性豊かな役者と、映画としての娯楽性も併せ持っているため、前半部は決して暗いものではないが、後半になるに連れて事の重大さに気づか される。ショッキングなエンディングには、久しぶりに息を飲んだ。
 映像的には技術的にも決して高度ではない。だが、こうした映画にはこの程度が一番マッチしているのかも知れない。登場人物の顔のアップを多用したこの映 画では、是非役者の顔の表情を堪能してもらいたい。
 戦闘シーンはほとんど出てこない。キューベルワーゲンが登場する程度。もう少し、この事件の事を知れば細かいところにもっと面白さが潜んでいるかも知れ ない。

興奮度★★★
沈痛度★
★★★★
爽快度★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意)

 1944年3月22日、絵画の修復を担当し ているアントネッリ司祭のもとに、ドイツ軍のカプラー大佐がやってくる。修復させた絵が偽物にすり替わっていたのだ。本来なら即逮捕のところだが、カプ ラー大佐はムッソリーニ救出作戦の立案もした有能な大佐であり、温情で本物を差し出すことで許すのだった。
 ローマのドイツ軍指揮官はクルト将軍で、翌日のファシスト党パレードの計画を立てていた。しかし、非武装中立都市とされていたローマだが、レジスタンス 組織が活発化していることを理由にカプラー大佐はそれをやめるよう進言していた。
 3月23日、イタリアレジスタンスは行進するドイツ軍中隊に対して、ラセッラ通りで爆薬を仕掛ける。このテロでドイツ兵32名が死亡する。怒り狂ったク ルト将軍はヒトラーにイタリア人の処刑を進言する。すでにドイツ軍の敗色を悟っていたカプラー大佐は、戦後の戦犯問題も考慮に入れ、報復処刑は好ましくな いとクルト将軍に進言するが、結局ヒトラーの命令という形で320名の処刑が命じられる。しかし、どのドイツ将校も処刑を拒否し、結局処刑執行担当はカプ ラー大佐に回ってくる。もはや拒否できないと悟ったカプラー大佐は死刑囚を中心に処刑名簿を作成するが、どう考えても足りない。そこで、ローマ警察本部長 のカルーゾにも50名の犯罪者リストを提出するよう命じる。誰からも嫌われていたカルーゾだが、死刑に値しない人物の名簿を作ることは苦しみであった。カ プラー大佐も同様で、何度も考え直してようやく人数を揃えるのだった。
 報復処刑を知ったアントネッリ司祭は、報復をやめさせようと司祭長に掛け合い、さらにローマ教皇に仲介を要請するが、結局ローマ教皇は動かなかった。ド イツが共産主義者の防波堤になっているための保身である。アントネッリ司祭はさらにカプラー大佐にも掛け合うが、カプラー大佐はもはや流れは止められない と呟き、アントネッリにも関わるなと忠告する。
 処刑はドイツ軍士官全員で行う事になった。誰もが処刑などしたくはないからだ。処刑は人目に触れないアルデァティーナ洞窟で実施された。連行された 320名余りは軽犯罪者や政治犯も含み、老人から子供までの男子であった。拳銃で次々に銃殺されていく。そんな中、一人のss士官が処刑を拒否した。カプ ラー大佐は自ら士官を説得し、目の前の処刑者の後頭部に銃を突きつける。振り向いた処刑者は・・・・なんと紛れ込んだアントネッリ司祭であった。一瞬躊躇 したカプラー大佐だったが、アントネッリ司祭の頭部を撃ち抜く。

 戦後談
 カールゾ警察本部長・・・死刑
 クルト・メルツァー将軍・・・1946年死刑判決されるが後に刑の取り消し。獄中死。
 カプラー大佐・・・1948終身刑。1973年当時服役中。その後、脱獄し故郷で病死。

(2006/04/19)

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