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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
ホワイト・バッジ−ファイナル−史上最大の作戦(ソウル奪 還大作戦 大反撃) 評価★★★★ 見応えのある朝鮮戦争緒戦戦記
証言
1974  韓国 監督:イ ム・グォンテク
出演:シン・イルリョンほか  
120分 カラー 
 
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 1950年に勃発した南北朝鮮戦争を背景に、分断された祖国を彷徨う男女の姿を描いたアクション系ヒューマンドラマ。ヒューマンドラマ仕立てではある が、かなり史実を盛り込んだヒストリーものとしても高く評価できる作品となっている。
 本作は、韓国映画振興公社が国策映画政策推進のため、初めて製作した戦争映画らしい。1968年の青瓦台事件(北朝鮮ゲリラが浸透して大統領官邸近くま で攻撃し た事件)があり、さらにちょうどこの映画の放映された1974年には北朝鮮の南進トンネルが発見されるという緊迫の時期でもあり、韓国の意気込みを感じさ せ るスケールだ。
 爆薬の使用量や兵器や兵士(エキストラ)の登場数もかなり多く、韓国に溢れるニ流の戦争映画とは一線を画する資金力を彷彿とさせる。イム・グォンテク監 督 の戦争映画の中では一番の佳作だろう。

 ストーリーは、1950年6月25日の北朝鮮南進から、韓国の女子大生スナと恋人のチャン少尉の、波乱の3ヶ月間を描くドラマと仕立てになっている。本 作では、主に女子大生スナの目を通した展開で進んでいくが、首都ソウル陥落、韓国軍の混乱と敗走劇、北朝鮮軍と共産党支持者によるソウル支配の恐怖、北朝 鮮軍による民間人虐殺、恐怖の北朝鮮支配地からの脱出など、次から次にエピソードが繰り広げられ、手に汗握る盛りだくさんの内容となっている。さらに、内 容が盛りだくさんではあるけれど、それぞれのエピソードが適度の長さなので、息をつかせぬ展開に飽きることなくついていけるのが良い。
 一方、チャン少尉は韓国軍に入隊したばかりの若い青年士官で、瞬く間に圧倒的な北朝鮮軍の戦火の波に飲まれていくのだ。

 この映画で特筆すべきなのは、朝鮮戦争勃発からの戦史をかなり正確に追っていることだ。冒頭のシーンで、ソヴィエト製ヤク戦闘機の3機編隊が飛行場を攻 撃する事実や、アメリカ軍支給の初期バズーカ砲ではソヴィエト製敵戦車に対抗できなかったこと、韓国軍内部で情報が錯綜し、軍司令部が前線部隊を見捨てて 退却したあげく、市民が乗ったままの漢江の橋を爆破するエピソード、北朝鮮支配下となったソウルでの共産党恐怖自治の実態、さらには北朝鮮による強制的な 少年兵の徴兵と、鎖に繋がれて逃げられない徴用兵など、これまであまり語られることのなかったエピソードがしっかりと盛り込まれているのが素晴らしい。
 また、興味深いのは、やはりベールに包まれた朝鮮戦争の実態=朝鮮人自身が朝鮮戦争をどう思ったか、が如実に描かれている点だ。我々日本人から見れば、 朝鮮内乱であり、米ソ、米中の代理戦争でしかないのだが、その時朝鮮人自身が何を考えていたのかを垣間見ることが出来るのは、実に興味深いのだ。加えて、 一般的に韓国映画では、勇敢で頑強な韓国兵を描きがちな中で、韓国軍の弱さや汚さを描いたのは評価できるだろう。もちろん、随所に死を恐れない勇敢な韓国 兵が登場するのはお決まりではあるけれど・・・。

 欠点といえば、やはり国策映画と言うだけあって、いかにも韓国軍が単独で頑張っているように見える所。特に、北朝鮮侵攻から2、3ヶ月後に反撃する頃 は、実際にはアメリカ軍が相当頑張って戦っているのだが、韓国軍だけの力で盛り返したような雰囲気となっているのが腑に落ちない。また、この映画では最初 の3ヶ月だけを描いているのだが、この後の数ヶ年が本当の朝鮮戦争の泥沼であったことには触れられていない。このあたりを戦史的にきちんと押さえた続編も しくは、別の映画が欲しい所ではある。
 また、国策映画なので、韓国軍の全面協力を得ているはずなのだが、その割には登場する兵器類がいささかしょぼい。北朝鮮軍のT−34戦車は思い切り米軍 のM47パットン戦車だし、戦闘機などはミ ニチュアの特撮で、撮影技術力が乏しいのが気になる。まあ、映画技術・技法としては三流だが、レアな内容を描いた映画という点で評価はしておくけれど (笑)。

 ちなみに、この映画の邦題は当初「ホワイト・バッジ ファイナル」としてビデオ化された。ベトナム戦争を描いた「ホ ワイト・バッジ大殺戮外人部隊((1992)」やその前の「ホワイト・バッジ2(1990)」「ホワイト・バッジ3(1991)」とは何の関係も ない。かなりいい加減な邦題だ。DVD版になって「ソウル奪還大 作戦 大反撃」という題名がつけられた。
 韓国戦争映画では私の一番のお勧めだ。

興奮度★★★★
沈痛度★★★★★

爽快度★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1950年の北朝鮮南進の日の平和な 韓国ソウル。北朝鮮のヤク戦闘機3機が京城の飛行場を空爆し、地上からは戦車隊が侵入す る。北朝鮮の南侵を 受けて、チャンは部隊に戻る。北朝鮮軍のソ連製Tー34戦車(映画中ではM47パットンを使用)に対して韓国軍はバズーカ砲も利かず、火炎瓶と手榴弾だけ で肉弾攻撃するが、北朝鮮軍の進撃を止めることは出来ない。チャン少尉は再編成された部隊を率いて前線に陣取る。
 一方、スナは、ソウル市内の混乱に巻き込ま れたうえ、混乱し弱腰になった韓国軍司令部が、前線の主力部隊を残したままソウルを退却し、漢江の橋を爆破し たことによって、ソウル市内に取り残されてしまう。北朝鮮軍に支配されたソウル市内は、共産党シンパが幅を利かせ、恐怖の密告が始まる。少年達は義勇軍と して強制的に徴兵される。スナも、スナに恋心を抱いていた「アカ」の男に、振られた腹いせで密告されてしまう。スパイとして次々と市民が銃殺されていく 中、スナはすんでのところで逃げる。途中、かつてのチャンの部下と出会いともに逃亡するが、北朝鮮兵に見つかり部下はスナを逃がすために死ぬ。スナは一人 で南下していくが、途中にも虐殺された韓国人の死体を多数目撃する。スナは再び、北朝鮮兵に捕まってしまう。共産主義を信奉しているかのように振る舞う が、鋭い党員に見破られ銃殺に回される。しかし、ここでも偶然命拾いし、さらに南下していく。途中で、避難民を盾にして前進する北朝鮮の戦車部隊に遭遇す る。戦車部隊は抵抗した避難民を全員射殺してしまう。その北朝鮮軍兵士の中の一人が、自軍のやっている非人道的な行動に疑問を持ち、スナとともに南へ逃亡 することを決意する。その兵士の助けで北朝鮮軍の将校に化けたスナは、いよいよ南北対峙の場所、洛東江へたどり着く。そこには、北に徴兵された韓国人の少 年兵が多数いた。彼らは逃げれば銃殺されるため、前進するしかなかったのだ。母の名を呼び死んでいく少年兵。中には、逃亡できぬよう鎖でつながれたまま銃 座につかされている兵士もいた。スナらは国連軍の空爆の隙に、洛東江を渡河する。
 渡河したスナらだが、追っ手の北朝鮮軍に同 行の兵が殺されてしまう。ただ一人となったスナは韓国軍に合流しようとするが、それは韓国軍に変装した北朝鮮 軍だった。2回目に遭遇した本物の韓国軍に保護され、やっと韓国支配地内にたどりつくが、スパイ容疑をかけられてしまう。

(2004/05/11、2004/09/03追記 2009/3/4修正)。