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戦争映画の一方的評論
 
「ミッドウェイ」 評価★★ 日米両面から見たミッド ウェイ海戦戦記
MIDWAY
1976 アメリカ 監督:ジャック・スマイト
出演:
チャールド・ヘストン、ヘンリー・フォ ンダ、三船敏郎、ジェームス・コバーン、ジェームズ繁田ほか 
131分 カラー


  ミッドウェイ海戦とは、第二次世界大戦の昭和17年6月5日〜7日にミッドウェー諸島沖で起こった海戦で、真珠湾奇襲攻撃の成功で優位に立った日本海軍が 初めて致命的な敗北を喫し、日米戦のターニングポイントとなったものである。この戦いでアメリカは航空母艦1隻、日本海軍は航空母艦4隻を失った。この日 本の敗北の理由として、アメリカ軍の暗号解読成功や、日本海軍偵察機の無電故障などが挙げられるが、本作もそうした史実にそれなりに忠実な内容となってい る。
 全編を通して、ドキュメンタリータッチを取っているが、主役級の登場人物の中には架空のものもおり、ラブロマンスや家族ドラマと言ったヒューマンドラマ も盛り込まれている。折角の歴史史劇大作としては、果たして架空のラブロマンスなどが必要だったのかという疑問は残る。
 また、制作者、監督の意図としては、日米公平な視点となるよう日本人を賢く知的に描いた、とのことであるが、確かに日本人をそれまでの映画のように愚か で猿のような下等人種として描いてはいないが、日本兵役のほとんどに日系人を起用するなど違和感が強い。日本人は唯一山本五十六大将役の「世界の三船敏 郎」だけ。あとは、南雲中将役のジェームズ繁田、 友永大尉役のサブ・シモノ、山口少将役のジョン・フジオカ、草鹿参謀役のパット・モリタ(カラテキッドで著名)、源田中佐役のロバート・イトーなど、見た 事はある日系人役者。お色気ムムンの東洋美女佐倉春子役も日系人のクリスティーナ・コクボ。こうした中、唯一の日本人、三船は撮影にあたって、制服を自前 で調達したり、作戦用地図が間違っているのを指摘するなど、誤解や誤謬の訂正に活躍したそうだが、やはり日本軍の描写は戦史的にも映像的にもおかしい点は 多い。
 アメリカ的には、ハワイの日系人強制収容所という人種差別の汚点を白日のもとに晒したという点で評価されている。
 
 さて、本作はミッドウェイ海戦を日米の両視点から描いた作品として、内容、ボリュームともに大作なのだが、映像という点ではかなりの問題がある。という のも、本作は戦闘 シーンの撮影に用いるだけの資金がなく、戦闘シーンのほとんどを記録映像と他の映画作品からの流用で補っているのだ。従って、映像に真実みがなく、映画作 品として評価できるのかという疑問が生じるのだ。継ぎ接ぎだらけに色々な映像を用いたために、航空機や艦船の形状や色調に一貫性が無く、なんともおかしな ものになってしまっている。当時としては許されるのだろうが、今となってはこのような製作方法は許されないだろう。
 とはいえ、130分にわたり、これだけ多様な映像をつないで作り上げた根性には感服する。記録映像、流用映像にしても決してロングで引用はせず、こまめ に切ってつないでいるのだ。実に、綿密にシーンのつなぎを検証して編集しており、まさにパクリの天才だ。映画の映像がどこから転用され、どのように用いて いるかを考えるだけでも面白い。なお、本作の上映ヒットを受けてTV用に40分近い映像の追加がなされたらしい。その多くは主役のガース海軍少佐と婚約者 とのシーンである。

 本作で用いられている映像シーンについて。
 ミッドウェイ空襲でジープが壁に突っ込むシーンや飛行する九九式艦爆などは「トラ・トラ・トラ(1970)」から流用されている。出航する空母に手を振 る漁師や空母から発艦する九七式艦攻や零戦、翼から燃料が漏れる友永機などは「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐(1960)」からの流用。見た 事のあるシーンが細切れに上手に突っ込ま れている。中でも笑ったのは、艦橋に駆け上る海軍パイロットのシーンで、思い切り佐藤充や夏木陽介の顔が映っている。次のシーンには日系人役者にすり替 わっているが、ここだけは映っているのが主役級の役者だと気づかなかったのか(笑)。この他、ヨークタウンの艦橋に日本軍機が突入するのは「全艦発進せよ (1956)」のシーンだし、冒頭のB-25が空母から発進するのは「東京上空三十秒前(1945)」からだ。この他にもありそうなのだがわからない。
  登場する日本軍機は色々な映画からの流用のため、実に多彩。主に、零戦、九七式艦攻、九九式艦爆が登場するが、カラーリングがバラバラ。太平洋の翼か らの流用は 見れるが、変なのは濃緑色迷彩や翼上に旭日が描かれた攻撃機や銀色機体の零戦。どこからのパクリなのか。
 記録映像のシーンもかなり多い。米海軍の資料室から使えそうなものを探してきたとの事だが、都合の良い使い方なので、映画のシーンと実際の映像は全くリ ンクはしていない。派手なアクションを好むという点では、どうしても日本機の特攻シーンや撃墜シーンが多くなるのも仕方がないのだろう。また、さすがに米 軍機の映像は豊富なようで、F4F、F6F、アベンジャー、B-17、P-40など多くの米軍機の発着艦や飛行シーンが登場する。中でも圧巻なのはクラッ シュシーンで、ガース 大佐の息子が艦橋に激突するシーンに用いられたものと、ガース大佐が着艦に失敗して炎上したシーンに用いられたもの。炎上シーンは、よく見るとジェット戦 闘機で時代が合わないのだが、実際のも のだと思うとドキッとする。
 実際に撮影された兵器類は、他映画の流用やら記録映像が大部分のため、本作のオリジナルがどれなのか判然としない。その中で、映像のクリアーさなどから 明らかに 撮影されたと思われるのは、空母シーンとF4F、PBYカタリナ飛行艇。空母はレキシントンが用いられたということで、時には日本の空母に化けたりと大活 躍。

 音響は、最新技術の「センサラウンド」が用いられている。椅子にまで響く臨場感や迫真感が大評判だったとか。今ではごく普通になってしまっているが、爆 発シーンなどの地響き音はさぞかし圧倒した事だろう。 

 なお、本作自体の出来とは関係ないが、私の視聴したDVDの日本語字幕はひどかった。かなりの誤訳、誤字で、例をあげると、空母「竜虎→龍鳳?」、空母 「曽柳 →蒼龍」、「魚雷→攻撃機」、「爆弾→爆撃機」、「水平→水兵」など。もちろん、日本軍の階級もぐちゃぐちゃで中将なのに大将だったりする。

(参考)
ミッドウェイ海戦(wikipedia)

 興奮度★★★
 沈痛度★★★
 爽快度★★
 感涙度★

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  (以下あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 

 1942年4月18日、アメリカ軍は日本沿岸に忍び寄った空母からB-25のドーリットル隊 を発進させ、日本本土の空襲に成功する。真珠湾攻撃以降、絶対的優位を誇っていた日本にとってはショッキングな出来事であり、日本海軍山本五十六大将は、 日本に最も近いアメリカ軍基地ミッドウェー諸島の占領とアメリカ海軍空母部隊の壊滅作戦を実行に移す。アメリカ軍は真珠湾での痛手に続き、先の珊瑚海海戦 でも空母を失うなど、戦力的にも大きく劣っていた。
 海軍パイロットのガース大佐は、体力の面から地上勤務にまわされ、日本軍の動向を探っていたが、情報部のロシュフォール中佐から日本軍の暗号を解読しつ つあるとの情報を得る。このところA−Fという地点の暗号が増えており、そこが次の作戦拠点と判断されるのだ。ロシュフォール中佐はニミッツ大将に、囮情 報として「ミッドウェイの淡水装置が壊れた」との平電文を送ってもらう。日本軍はまんまとひっかかり、A−Fがミッドウェイである事が判明する。
 ガース大佐の息子トム少尉もまたパイロットだったが、ガース少佐のいるハワイに赴任してくる。トムは父に日系人佐倉春子と結婚したいと告白する。しか し、春子はFBIの調査で危険分子と判断され、日系人収容所に収容されていた。ガース大佐は春子と会ったり、友人の情報部員に頼むなどして春子の潔白を証 明しようとする。
 日本海軍は北方のアリューシャンで細萱中将の部隊が陽動作戦を行い、それに乗じて南雲中将の航空艦隊がミッドウェイ島の攻撃とおびき寄せた米航空母艦を 殲滅する作戦に出る。しかし、暗号を解読していたニミッツ提督も虎の子の空母3隻を駆使して対抗措置を講じる。病気のハルゼー中将に代わって指揮を執るス プールアンス少将率いる「エンタープライズ」「ホーネット」、損傷後応急処置で出航したフレッチャー少将の「ヨークタウン」の3隻の空母がミッドウェイ方 面に向かう。ガース大佐とトムもヨークタウンの乗り組となる。

 日本海軍は友永大尉を長とする攻撃隊をミッドウェイ島に出す。しかし、反撃も激しく友永大尉は「二次攻撃の要あり」と打電し、南雲艦隊は魚雷から爆弾へ の換装を決断する。ミッドウェー基地からのアメリカ軍攻撃隊は日本海軍に襲いかかるが、零戦隊の活躍で撃退される。しかし、これにより米航空艦隊の攻撃準 備が整い、スプールアンス少将は攻撃隊を発進させる。その中にはトムの姿もあった。
 一方、無電の故障から米空母の発見情報を知らなかった日本軍はようやく米空母を発見情報に接し、急遽爆弾から魚雷へ再換装を始める。しかし、これが致命 的となり、急襲した米軍機により空母「赤城」「蒼龍」「加賀」の3隻が失われた。トムは被弾して重傷のまま帰還する。
 残った日本空母「飛龍」の山口少将は、全機を発進させて米空母の攻撃に向かわせる。この結果空母ヨークタウンの破壊に成功する。一方、ガース大佐は空母 飛龍への再攻撃にパイロットとして出撃する。飛龍の撃沈に成功するが、ガース大佐機は被弾し、空母への着陸に失敗して戦死する。

 ハワイに帰還したヨークタウンをニミッツ提督や春子が出迎える。

(2007/02/01)

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