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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「パリの灯は遠く  評価★★☆ ユダヤ人に間違えられたフランス人
Monsieur Klein
1976
  フランス・イタリア 監督:ジョセフ・ロージー
出演者:アラン・ドロン、ジャンヌ・モロー、シュザンヌ・フロン、ミシェル・オーモン ほか
124分 カラー 

 
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 第二次世界大戦時のドイツ占領下フランスのパリ。ナチスドイツのユダヤ人差別政策を受け、パリでも行われたユダヤ人強制収容を背景に、フランス人の美術 商がユダヤ人に間違われて波乱に巻き込まれていくというサスペンスドラマ。ユダヤ人差別を正面から捉えたものではなく、もし自分が命に関わる人間違いに遭 遇 したら・・・という恐怖から人種差別の愚かさを改めて実感させるような、シュールで奥深いサスペンスとして高い完成度を誇る。
 監督はジョセフ・ロージーで、1950年代にハリウッドのアカ狩りに会い、イギリスに亡命したことでも知られる。重厚な作品が多いとされる監督だが、自 らが(思想)差別の憂き目にあっているからだろうか、こうした人種差別的な映画でもおどろおどろしい怨念のようなものを感じさせる。

 ストーリー自体は、フランス人の美術商ロベール・クラインが、同姓同名のユダヤ人と間違われることから始まっていく。ユダヤ人のロベール・クラインは姿 を 現さぬ謎の人物として描かれ、見る側の興味を惹き、様々な想像をかき立てていく効果を生む。一方、フランス人ロベール・クラインは、当初は身の潔白を証明 しようとするのだが、次第に謎の男の正体への興味に傾倒しはじめ、最後は自身の身を滅ぼしていく。彼の行動は恐怖心を煽るようでもあり、道化のようでもあ り、実に複雑な感想をもたらすのだ。
 演出としては、ショッキングなシーンをオブラートに包むこともなく、事も無げにぶつけてくるのが特徴的だ。冒頭のユダヤ人の骨格検査シーンが前ふりとし て強いインパクトを与える一方、ラストシーンの結末もまたショッキングだ。後味が悪いといえばそうなのだが、監督に強く突き放されたかのように茫然自失と なる自分があった。この年代のサスペンスものには良くありがちなテクニックではあるが、その中でもフランス人ロベール・クラインの目だけがギロギロするし ている本作のシーンは印象的だ。
 また、非説明的なのも本作の特徴である。謎の人物像をより浮だたせる演出でもあるのだろうが、随所に暗喩的な表現や抽象的表現が盛り込まれ、それらがほ とんど会話や言葉で説明されないのだ。視聴者側は様々な想像をかき立てることとなり、必然的に謎解きを堪能することとなる。ただし、その謎が全てすっきり と解消されるわけではないので、若干の消化不良感は残るが(笑)。

 全般に、非常に良く練られた脚本と、サスペンスフルなストーリー展開はさすが異色監督ジョセフ・ロージーだと唸らされる。だが、先にも述べたように説明 不足の映画のため、かなり難解な部類の映画であることは間違いない。加えて、登場人物が極めて限定的であることや、セットが大人しめで単調な映像が続くた め、途中で中ダレする感も否めない。
 そう言う意味で、すっきりと楽しめるかというと若干疑問で、もう少し映像的な膨らみ が欲しかったかな、と言う点でやや評価が低めとなった。
 なお、主役はアラン・ドロンで渋いフランス男を演じている。どう見てもユダヤ人には見えないのだが、フランス人の高慢さも見え隠れし、ユダヤ人との対比 という点でもなかなか興味深いものがある。

興奮度★★
沈痛度★★★★

爽快度★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1942年ドイツ占領下のパリ。フランス人 美術商ロベール・クラインは美女ジャニーヌを囲い、優雅な生活を送っている。一方、町ではユダヤ人選別のための骨格検査が行われている。
 ロベールのもとにユダヤ人が絵を売りに来 る。著名な作家の作品だが、ロベールはそれを安く買いたたく。彼を見送り玄関に出るとそこにユダヤ人新聞が届けられていた。フランス人のロベールは間違い ではないかと新聞社に行くと、新聞社では予約がされていると答える。誰かが、ロベールの名で予約を入れたのだ。ユダヤ人リストは警察にあるというので、ロ ベールはその足で警察署に行き、課長に確認を取ると同姓同名のユダヤ人がいるらしいことがわかる。
 聞き出した住所のアパートに向かうと、そこ は空き部屋となっており、管理人が警察の事情聴取を受けていた。どうやらユダヤ人のロベールは警察にも追われているらしい。その部屋でロベールは写真を見 つけ、現像にまわす。写真には女と犬の姿が映っていた。
 家に戻ったロベールだが、家には警察が事情 聴取に訪れていた。人違いだと説明するが、どうも釈然としない。さらに、見知らぬフローランスという女性から手紙が届き、イブリ・ラバターユに来てくれと あった。ロベールはそこに向かうと、迎えがあり大きな屋敷に通される。そこで人違いだと言うことが判明するが、ユダヤ人のロベールが何者なのか、何故迷惑 をかけるのかは判然としない。
 ロベールは弁護士のピエールの勧めで両祖父 母までの出生証明書を取り寄せることにする。母方のほうはアルジェリアですぐには書類が届かない。父方の方はルイ14世からフランス人だと言うが、ユダヤ 系の存在に父は口ごもる。
 ロベールは謎のユダヤ人の行方を追おうとす るが、イブリ・ラバターユの屋敷はもぬけの空になっていた。例のアパートを再度訪れたロベールに電話がかかってくる。イザベルという女でユダヤ人の知り合 いらしい。ロベールはその女の行方を追うことにし、娼婦街の聞き込みで爆薬工場に勤めていることが解る。しかし、そこでも何かを隠している女によって写真 を破られて捜査は頓挫する。
 フランス警察はロベールの家宅捜索と財産を 押収する。勝手に移動することも禁じられ、ロベールは新聞を買いに出ると、写真に写っていた犬がついてくる。ロベールは犬を飼い始めるが、ジャニーヌは家 を出て行ってしまう。さらに、ユダヤ人?らが爆薬を積んでゲシュタポに突っ込む事件が発生し、ユダヤ人に間違えられたロベールの身が危険になってきた。
 そこで、弁護士の手配でド・ギーニに化け、 マルセイユ経由で海外逃亡を図ることに。しかし、列車に乗り合わせた女性こそが写真の女だった。女はユダヤ人ロベールとアパートの管理人が出来ていること を話し、ロベールは列車を降りアパートに向かう。ユダヤ人ロベールはずっとアパートにいたのだ。しかし、危険だと感じた弁護士ピエールが警察に連絡し、先 にユダヤ人ロベールが逮捕される。
 さらに、ロベール自身も誤認逮捕でユダヤ人 らと一緒にゲットーに輸送されていく。途中で、新聞売りに弁護士に連絡を取るように頼み、弁護士ピエールは証明書を持って助けに来る。だが、その時、ロ ベールはロベール・クラインの名に手を挙げるユダヤ人の後ろ姿を発見。弁護士の救出を後回しにしてその後を追いかけていってしまう。姿を見失ったロベール はいつの間にか強制収容所行きの貨車の中に詰め込まれてしまっていたのだった。 

(2009/3/19)