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戦争映画の一方的評論
 
「マッカーサー」 評価★★☆ GHQ最高司令官マッ カー サーの半生記
MacARTHUR
1977 アメリカ 監督:ジョセフ・サージェ ント
出演:
グレゴリー・ペック、イバン・ボナー、 ニコラス・コスター、ダン・オハーリ ヒー、サンディ・ケニオン、ディック・オニールほか 
129分 カラー


 アメリカ陸軍極東軍司令官であり、進駐軍(GHQ)最高司令官マッカーサー元帥の半生記。ドキュメンタリータッチのドラマで、マッカーサー役をグレゴ リー・ペックが熱演する。
 マッカーサーは陸軍大将を退役後、余生をフィリピンの軍事顧問 として送っていたが、日本との開戦を目前に、ルーズベルト大統領から極東軍司令官の任を受ける。開戦後の日本軍の快進撃は凄まじく、フィリピンのコレヒ ドール島に司令部を構えていたマッカーサーは部下残してて脱出を余儀なくされる。部下からも日本軍からも嘲笑を買った彼は「私は必ず戻ってくる」との名言 を吐き、その通り1945年1月にフィリピンに戻ってくる。その後は強引で攻撃的な手腕で、硫黄島、沖縄攻略、広島と長崎に原爆を落として日本軍を敗戦に 追い込む。戦後は占領軍(GHQ)の最高司令官となり、一時は大統領に推されることもあったが、最高司令官に留まり、1950年朝鮮戦争の勃発とともに、 再び前線で指揮を執る事となる。朝鮮戦争では劣勢の国連軍を仁川上陸戦で一気に攻勢に転換する功績をあげるも、半島全域の統轄に固執したためトルーマン大 統領の逆鱗に触れて解任される。議会での退任演説で「老兵は死なず。ただ消えゆくのみ」との演説は著名である。
 
 マッカーサーという軍人は、父親も軍人であり、根っからの軍人であった。指揮官としての才能は功績を見ればわかるとおり、米軍内でも卓越したものであっ たが、その野心的で無鉄砲な手法は幾多の批判を買ったのも事実である。結果良ければ良しというのが戦争だが、いわばラッキーマンだったとも言え、名将であ りながら愚将と紙一重といったところであろうか。彼が仕えたルーズベルト大統領、トルーマン大統領をはじめ、各将軍と折り合いが悪かったことは良く知られ ているが、その反面部下や国民の信頼は厚かったようだ。本作はマッカーサーの半生記であるので、彼の勇猛果敢で温情豊かなシーン、エピソードが多く描かれ ており、彼のマイナス面や批判的な部分は思ったよりも抑えめに描かれている。従って、エピソード的にはいささか首をかしげざるを得ない箇所も少なくなく、 日本の描写も誤解が多く違和感がある。その辺りの史実についてはさほど綿密な調査や資料によったものとは思えない。マッカーサーという人物像を初めて知る 人にはちょうどいいかもしれないが、あまりに人格者マッカーサー像が出来すぎた感がある。グレゴリー・ペックが熱演しているから尚更なのだ。フィリピンに 莫大 な財産を持っていた事や、権益や権力への指向、さらにはあくなき戦功への欲望が描かれていないのは残念なところ。まあ、一つの美談として捉え、ドキュメン タリーとしては信用しないといった程度で見るのが良いだろう。

 129分と長編にわたって1941年から1951年までの10年余りを描いているが、各時代のエピソードはかなり駆け足。コレヒドール島の戦闘も、フィ リピン再上陸戦もお情け程度で、南方諸島戦、硫黄島、沖縄戦、広島原爆は記録映像で流す程度。朝鮮戦争に至っては戦史が追えないほど端折られてしまってい る。そもそも戦史を描いた作品ではないので、仕方がないとも言えるが、もう少しなんとかならなかったものか。マッカーサーが各戦場でどのような立場に立 ち、どのような考え方でいたかを把握するにはちょっと物足りない。反面、各大統領や海軍提督、陸軍将軍との関係については良く描かれている。誰と対立し、 誰と信頼関係にあったかが分かり易い。とはいえ、全体としてはかなり薄っぺらい印象はぬぐえないが。

 登場する兵器類としては、陸上ではフィリピン攻防戦でM4A3E8イージーエイト戦車、朝鮮戦争でM48パットン戦車が登場する。どちらも実車のよう だ。航空機では記録映像と思われるものとしてF4Uコルセア艦上戦闘機、F6Fヘルキャット艦上戦闘機が見えるほか、実機のB−17爆撃機、C−54スカ イマスター輸送機などが出てくる。海軍艦艇ではマッカーサーがオーストラリア退却に用いた際にPTボート(魚雷艇)のほか、LVT、戦車揚陸艦 (LST)、戦艦ミズーリ(BB−63)が見える。ミズーリは実物でワシントンのモスボールで保管中の物を撮影している。このほか、記録映像で艦砲射撃を する戦艦、巡洋艦群の映像が多数出てくる。微妙に実車が登場はするが、戦闘シーンもお粗末で、本気でリアリティを追求する気はなさそうだ。また、随所に見 られる記録映像も決して内容と一致しているものとも思えず、雰囲気で使っている感がある。そう言った意味で資料価値には乏しい映画だ。なお、ほんの一瞬だ が朝鮮戦争仁川上陸戦の所で記録映像としてF−4ファントムがナパーム弾を落としていくシーンがある。この時期F−4ファントムは飛んでいないのでおかし いとの指摘がある。

 10年にわたる伝記を時系列に並べていくため、どうしても走り気味の内容となってしまい、ややわかりづらい所もあった。それでいて、悠長なシーンもあっ ていささかダレ気味になることも。マッカーサーって誰?という疑問で観るならば価値があるだろうが、普通に映画としての価値を求めるにはちょっとお勧めで きない。
 余談だが、マッカーサー役のグレゴリー・ペックの脳天が円形禿げに再現されているのには笑った。しかし、そこまで力を入れた彼の熱演ぶりは見事だった。 魂が乗り移ったかのような演技はラストのウエスト・ポイントでの演説シーンに集約される。グレゴリー・ペックの演技の中でも最高のものと言えるのではない だろうか。演説を聴いているだけでウエスト・ポイントに憧れを感じるほどで、それを目的に見るだけでも十分かも知れない。

本作で登場する米軍関係者
ダグラス・マッカーサー大将(極東軍司令官、GHQ最高司令官)、ウェインライト少将(のち中将)、リチャード・K・スターランド中将、マーシャル大将、 シドニー・ハフ大佐(副官)、ディーラー大佐(副官)、トルーマン大統領、ルーズベルト大統領、ホイットニー大佐(参謀)、チェスター・ニミッツ提督(大 将)(元帥)、サンプソン大将、エイシェルベルガー中将、ハスレー提督(大将)、ウォーカー中将、マーカット少将(スタッフ)、ウイリアム・クルーガー中 将(第6軍司令官)、フォーレスト・ハーディング准将(第32師団長)、シェパード中将(USMC)、ドイル少将(RADM)、ウイリアム・リーヒ提督 (元帥)、ジョージ・ケニー大将(第5空軍司令官)、ジョージ・ブラミー大将(南西太平洋方面軍司令官)、コリンズ大将、アーネスト・キング提督(元 帥)、デレヴィヤンコ中将(ソヴィエト軍)、ブラッドリー大将(のち元帥)、フォレスト・シャーマン少将(RADM)、バークレイ大尉(第3魚雷艇隊長)

 興奮度★★
 沈痛度★★
 爽快度★★★
 感涙度★

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  (以下あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 

  1941年12月の真珠湾攻撃から3ヶ月後、日本陸軍はフィリピンのコレヒドール島に迫っ ていた。コレヒドール島要塞には極東軍司令官マッカーサー大将が籠城していた。物資支援を要求するマッカーサーだったが、本国では「マッカーサーは誤解し ている。日本海軍の海上封鎖を軽く見ている」と批判する。ルーズベルト大統領はマッカーサーにオーストラリアへの後退命令を下す。部下を残して後退するこ とに抵抗するマッカーサーだったが、結局妻子を連れて後退する。ただし、危険を顧みず潜水艦ではなくPT(魚雷艇)での移動だった。
 日本軍、部下からも嘲笑を浴びたマッカーサーだったが「私は必ず戻ってくる」と明言し、オーストラリアで再起の軍備増強を図る。しかし、コレヒドール島 に残ったウェインライト少将は耐え切れなくなって日本軍に降伏。マッカーサーは死守する約束だと激怒する。
 1944年、マッカーサーは空軍のケニー将軍の協力も得てフィリピン再上陸作戦を計画し、攻撃に移る。日本軍の激しい抵抗にも会うが、マッカーサーは次 第に日本軍を撃退していく。次なる攻略として、本国の大統領はニミッツ提督の推す台湾攻略を進めようとしたが、マッカーサーのフィリピンとの約束を反故に できないという強い要望で、10月にはレイテ島レイテ湾に上陸、翌年にはマニラに進軍し、ついにフィリピン全土を掌握するに至る。その勇猛ぶりに本国の国 民は英雄として熱狂した。マッカーサーは元帥に昇進する。
 マッカーサーは陸軍による日本本土上陸戦を計画したが、大統領の意向で広島、長崎に原爆が落とされ、1945年8月日本は降伏する。東京湾の戦艦ミズー リ号上で降伏調印式が行われ、マッカーサーはGHQの最高司令官に就任する。日本人を力で押さえつけようとする幹部に、マッカーサーは日本人の心と文化を 理解し、米兵の横暴を厳しく監視するよう命じる。さらに、天皇に正面から権威を示すべきでないと尊重し、農地改革によって小作解放、極右資本家の抹殺、労 働運動の奨励などの独自の施策を展開していく。また、日本の幣原首相の申し出により、武力の永久放棄を憲法に盛り込む事を承認する。ルーズベルトの死後、 新しく大統領となったトルーマン大統領は、マッカーサーの独善が気に入らなかったが押さえきる事が出来ずにいた。マッカーサーは新大統領になることを決意 するが、予備選で落選してしまう。
 1950年、突然北朝鮮が38度線を越えて南朝鮮に侵入。トルーマンはすぐさま警察行動として派兵を決断する。マッカーサーは前線指揮官として指揮を執 るが、勝手に台湾の蒋介石と軍事同盟を結ぼうとした事がばれて大統領に叱責される。さらに、情勢を一気に打開するため仁川上陸戦を計画するが、大統領や一 部の軍幹部は諸手をあげては賛同しない。困難な作戦だけに弱気なマッカーサーだったが、仁川上陸戦は大成功をおさめ、情勢が逆転する。
 マッカーサーは一気に中国国境線まで北朝鮮軍を追い込み、場合によっては中国領内の攻撃も辞さないつもりであったが、中国軍、ソ連軍の介入を怖れたト ルーマン大統領は自らウェーキ島まで行き、マッカーサーと会談して抑制する。こうした宥和政策に不快感を表すマッカーサーだったが、ついに中国軍が介入し てくる。人的圧倒を誇る中国軍に追い込まれた国連軍だったが、第8軍のリッジウェイの奮戦でソウルを奪還する。さらに攻勢をかけようという矢先に、トルー マンからマッカーサー解任の命令が出る。これ以上、勝手な行動を許さないためだった。
 本国に凱旋したマッカーサーは国民の圧倒的支持を受ける。しかし、彼の戦争はこれで終わりだった。議会での退任挨拶で彼は「老兵は死なず。ただ消え去る のみ」との名言を残して去っていく。


(2007/01/09)

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