戦争映画の一方的評論
 
「シーウルフ 評価★★☆ ドイツ軍Uボート攻撃を阻止する老兵たち
The Sea Wolves
  1980 アメリカ 監督:アンドリュー・V.マクラグレン
出演:グレゴリー・ペック、ロジャー・ムーア、デイヴィッド・ニーブン、トレヴァー・ハワードほか  
120分 カラー


 グレゴリー・ペック、デイヴィッド・ニーブンなど往年のスターが登場。メンバーを見て「ナ バロンの要塞」の再来かと思うくらいの豪華メンバー。しかし、みんな歳食ってる(笑)。
 この話はどうも実話を元にしているようで、印度洋で連合軍商船がUボートに撃沈されまくっている危機を、イギリス植民地インドにおけるイギリス人民兵組 織(カルカッタ軽騎兵隊)が活躍して阻止をする姿を描いたもの。
 キャストは豪華だが、何分にも皆ご老体ばかり(ペック60歳代、ニーブン70歳代)でペックもニーブンも格好いいアクションがあるわけでなく、アクショ ン性には期待できない。かつ、ストーリー的には今ひとつピリッとしたものがないために、戦争映画と言うよりは大衆娯楽と言った仕上がりとなっている。た だ、実話に基づいたドイツ軍通信網の破壊作戦は、ある意味奇想天外で、話の展開が読めない分期待できる。また、ロジャー・ムーア扮する色男役は、ドイツの 女スパイと一騒動あるのだが、騒動の割には作戦そのものにほとんど関係がない。どんな映画であれ、とりあえず女性とのラブシーンを入れとけ的アメリカ映画 である。
 娯楽アクションとはいえ、看過できないシーンもある。ドイツ商船を爆破する際に、ドイツ人船員を船に鎖で繋いだまま爆破してしまうのだ。ドイツ正規兵だ としてもジュネーブ条約上まずいだろうに、(多分)一般船員を爆殺するのはちょっと非道だわな。また、イギリス植民地インドの描き方も人種差別的な臭いを 強く感じるのがやや不快。
 登場する兵器は少ない。U−53と書かれたUボートが登場する他はなし。冒頭とエンディングには実写と思われる船団の映像が挿入される。
 なお、エンディングのテーマ音楽がなんだかいい。戦争映画ぽくないんだが、この時代とアメリカ的な匂いがマッチしている感じ。
 
(以下ネタバレ注意)
 1942年、イギリス領植民地インドの沿岸では連合国軍の輸送船や商船がドイツ軍Uボートの攻撃を受け、多くが撃沈されていた。どうやら、強力なドイツ 軍スパイ網があり、Uボートに情報を流しているようなのだ。その発信器は中立国ポルトガル領ゴア港に寄港している3隻のドイツ商船のうちどれかに搭載され ていると推定された。
 デリーのイギリス軍司令部のSOE(特別任務委員会)はルイス中佐(ペック)とキャビン大尉(ムーア)に潜入調査させるが、無線機がドイツ商船エーレン フェルス号にあることまでは突き止めたが、敵スパイの殺害など不手際も多く、破壊工作までには至らなかった。しかも、キャビン大尉は敵の女スパイクロムウ エル夫人に恋する始末である。
 中立国内のゴアのために、直接的な武力攻撃も出来ないため、SOEでは苦肉の策として、インド在住の退役兵、民間人からなるボランティア民兵組織「カル カッタ軽騎兵隊(カルカッタ・ライト・ホース)」に破壊任務をさせることとした。軽騎兵隊とはいえ、老人ばかりのボランティア集団である。結局18名が特 別任務に選ばれ、ルイス中佐、ビル中佐(ニーブン)らが指揮を取ることとなった。
 作戦は盗んだ川船でドイツ商船に接近、船に機雷を取り付けた上、酔ったフリをして乗船して通信機を爆破し、最期は船もろとも爆破するという物。あくまで も、民間人としての作戦だ。
 盗んだ川船はあまりにオンボロでしばしばエンジンが止まる始末。騎兵隊員は船酔いに苦しみながらもゴア港に向けて航海を続ける。一方、ゴアの街に潜入し たキャビン大尉と老兵ジャックは、作戦決行時に港中の船員を集めてパーティーと花火を開催する陽動作戦のために工作を続ける。しかし、キャビン大尉は相変 わらず女スパイ クロムウエル夫人との逢い引きにうつつをぬかしており、ジャックが殺され、キャビン大尉もあやうく殺されそうになる。
 川船は夜闇に紛れてエーレンフェルス号に接舷し、船内に突入する。無線機を発見し破壊に成功するが、敵に発見され負傷者を出す。なんとか、負傷者を回収 し川船で脱出しようとするが、オンボロのためエンジンがかからない。が、なんとか、エンジンをかけて脱出したとき、3隻のドイツ船は仕掛けられた機雷の爆 発で轟沈していくのだった。(鎖でつながれた船員もろともに・・・)

(2005/02/24)

興奮度★★★
沈痛度★
爽快度★★★
感涙度★★

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