オンラインDVDレンタル ぽすれん

 
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!

かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「U・ボート」 評価★★★★★ Uボート映画の最高傑作、迫真の緊張感に息をのむ
DAS BOOT
1981 ドイツ 監督:ウォルフガング・ペーターゼン
主演:ユルゲン・プロホノフ / ヘルベルト・グレーネマイヤー / クラウス・ベンネマン  
135分 209分 313分 カラー
  DVD検索「U・ボート」を探す(楽天) 

 潜水艦映画ものとして、前にも後ろにもこれ以上のものはないと言われる名作。従軍記者だったロータル=ギュンター・ブーフハイムによる原作を映画化したもので、第 二次世界大戦のドイツ海軍潜水艦「Uボート」の過酷な任務をリアルに描いたシリアスアクション映画である。潜水艦は水中に潜み、じっと獲物を待つ地味な兵 器であり、その勤務は想像を絶するほど過酷なものである。いったん水中に潜ってしまえば、完全なる盲目状態となり、浸水、耐圧、敵の爆雷攻撃などの恐怖に ひたすら耐え続けなければならないのだ。一回の出撃は数ヶ月にも及び、その損耗率は非常に高かったため、死の棺桶とも呼ばれる。だが、それだけに輝かしい 戦果を得た暁には、潜水艦乗りの栄誉と誇りは最高潮に達するのだ。潜水艦映画が格好良いのも、全てはこの抑圧された極限の裏返しなのだろう。

 この映画は、もとはドイツのテレビムービーとして制作されたもので、各約50分の6話で計313分版となっていた。テレビ版 の放映(1985)前にこれを1本の映画として編集し直したのが135分又は149分版で、日本でも劇場公開されたものである。その後、デレクターカット 版として5.1ch対応にリメイクされたものがDVDの209分版として発売されている。また、アメリカでは各クレジットをカットし画面上下をカットした 293分のビスタ・サイズ版DVDが存在する。現在、いずれのバージョンもDVDとして入手可能となっている。
 135分の劇場版はコンパクトな短縮版だが、良い所取りでテンポ良く緊迫感を堪能することが出来る。より緊張感を長く、深く堪能したい場合にはディレク ターズカット版がお勧めだ。TV版は6話に分割されているので、ゆっくりと楽しみたい場合や、本作の裏までしゃぶり尽くしたい人が見るといい。

 本作の魅力は何と言っても、潜水艦の活動シーンだ。波を切る潜水艦の迫力ある航行シーン映像も格好良いし、爆雷攻撃に耐える 潜水艦内部の映像も良い。主役の潜水艦はVIIC型潜水艦だが、稼働する現存艦などないために原寸大の模型が作られたのだそうだ。設計図をもとに詳細に作 り込まれただけあって、実にリアルな潜水艦を演出してくれている。もちろん、内部の作り込みも多作ではあり得ないほど細かく作られており、映画中でも船首 から船尾までくまなく映し出されている。しかも本作が多大な評価を受けた一つの要因に、時系列と共に汚れやつれていく乗員の描写がある。数ヶ月にも及ぶ航 海を、見ている側も一緒に体験しているかのような錯覚を呼び起こすのだ。そして、いつしか狭い艦内の乗員たちが家族のように思えてくる。
 また、この潜水艦シーンに観客を痺れさせる効果として、やはり音楽の存在は欠かせない。Uボートのテーマ曲とでも言うべき壮大な音楽は、獲物を求めてさまよい歩くUボートの、勇壮でありながらも哀愁漂う雰囲気を良く著している。

  演じる役者たちも実に渋いリアルな演技をしている。監督もそうだが、役者たちは当時ほとんど無名で、それが素直なリアル感に つながっているようだ。見たことのない役者の演技は、当時の記録フィルムを見ているかのような錯覚を起こさせるのだ。艦長以下、機関長、第一当直士官、第 二当直士官など役名すらろくろく登場しない徹底ぶりで、もはや誰でもいいという緊迫感の中に包み込まれていく。特に艦長のユルゲン・プロホノフの演技は、 ナチスのやり方に批判的でありながらも、勤務には忠実な典型的ドイツ人ぶりを好演し、超渋くて格好良い。このドイツ人像というものは、以降の映画等にも多 大な影響を与えていると思われる。ちなみに、本作の艦はU−96とするのが大勢の見解だそうで、艦長は実在の同艦艦長ハインリヒ=レーマン・ヴィレンブ ロックと目されている。そのほか、幽霊ヨハンも好演だった。

 ラストシーンは賛否両論ある、衝撃的な幕切れ。幾多の困難と迫り来る恐怖を乗り越え、無事に帰港した時には本当にホッとする。だが、ハッピーには終わらないのが戦争の現実だ。沈み行く U−96の姿、艦長は最後に何を言いたかったのか。実に、厭戦的なメッセージでもある。本物の戦争は勧善懲悪じゃない。ハッピーエンドはドラマの中だけ ということを切実に語っている。
 なお、ラストの潜水艦空爆シーンに登場するHe-111の映像は「空軍大戦略(1969)」からの流用らしい。

 とにかく、どのバージョンを見ても潜水艦を堪能できる傑作だ。戦争映画において、飾り気のないリアル感がいかに重要であるかを立証した作品でもある。無心で作り上げた結果なのか、これ以上の作品が登場する日は来るのだろうか。

お勧めのUボート関連書籍
       

興奮度★★★★★
沈痛度★★★★★

爽快度★★★
感涙度★★

映画見るなら ⇒スカパー!初期費用無料
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!
古本市場】激安古本・CD・DVD・ゲームソフト販売買取
新刊書籍・雑誌・DVDジェイブック
新品DVD・家電
い〜でじ!! 


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1941年ドイツ海軍の潜水艦(Uボート)、U−96の艦長ら40名余りの乗組員が出撃前の大騒ぎをしている。艦長はナチ党や司令部のやり方に不満を 持ってはいるが、潜水艦乗りとしてのプライドを持つ根っからのドイツ士官だ。今回の出撃には報道班員のヴェルナー少尉を乗せて出撃することとなり、英国の輸送船団を 求めて出航する。Uボートのかつての栄光とは裏腹に、この時期には英国海軍のソナー技術も向上し、そう簡単には輸送船を撃沈できなくなっている。獲物はな かなか見つからない上、敵駆逐艦や航空機の襲撃に会い、しばしば爆雷攻撃に耐えなくてはならなかった。老練な艦長と航海長によって数々のピンチを切り抜け るものの、プレッシャーと恐怖に機関員の精神も壊れかける始末だ。
 ようやく敵船団を発見し、魚雷攻撃で撃沈する。しかし、喜びも束の間新たな指令が出る。ジブラルタル海峡を越え、フランスのラ・ロルシュ港へ寄港すると いうのだ。ジブラルタルは狭い上に、敵国の哨戒圏内であり、自殺行為にも等しかった。艦長は、限界に近づいている機関長と報道班員の少尉を途中で降ろすこ とを願い出るが、司令部から却下される。航海長と少尉を乗せたままU−96は霧のジブラルタル海峡を進む。しかし、ついに敵駆逐艦に発見され、艦はひどい ダメージを負う。浸水と破損により沈下が止まらない。耐限界水深を超え、280mに達した時、着底する。もはや駄目と観念するが、艦長は望みを捨てない。 機関長と機関員の決死の作業によって、10数時間後ようやく艦は浮上を始める。ついに、生きて生還を果たしたU−96はフランスのラ・ロルシュ港に入港す る。が、そこに連合軍機の空襲が・・・

( 2003/02/03、2004/11/12、2009/2/24 加筆)