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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「フルメタル・ジャケット  評価★★★★ ベトナムにおける海兵隊員の精神崩壊 
FULL METAL JACKET
 1987 アメリカ 監督:スタンリー・キューブリック
出演:マシュー・モディーン、アダム・ボールドウィンほか  
116分 カラー

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 ベトナム戦争真っ盛りのアメリカ軍海兵隊新兵を主人公に、異常なまでの海兵隊精神教育、ベトナム 戦争の狂気を描いた社会派のアクション&ヒューマンドラマ。G・ハスフォードの原作をスタンリー・キューブリックが監督した作品で、スタンリー・キューブ リックと言えば、「博士の異常な愛情」など、緻密な精神変化を得 意としたサスペンス監督というイメージが強いが、本作は特に健常な精神の持ち主がいかに異常な精神に破壊されていくかをとことん追求した完成度の高い映画 となっている。
 ベトナム戦争物と言えば、プラトーンなど精神的異常性もさることながら、激しい戦闘シーンなどアクション性が高いイメージがあるが、本作は密林や沼地な どの環境的リアリティをほとんど用いずに、戦闘という非日常がもたらす兵士の精神崩壊を前面に出すことで、ベトナム戦争を描いている。精神崩壊する過程 を、特に前半部分で は海兵隊特有の壮絶で卑猥な軍隊隠語(字幕の日本語も理解不能なほどひどいものだ)を多用して描いているため、強烈なインパクトで、見る人によってはかな りの嫌悪感を覚えるかも知れない。これだけ強烈な強迫観念を植え 付ける戦争映画はそうはないだろう。

 何だかんだと言っても、本作の魅力?はやっぱり海兵隊の軍隊隠語で(笑)、冒頭から新兵養成所での教官軍曹の発する言葉(字幕)は「こ のスキン小僧」「まるでそびえ立つクソ」「オフェラ豚」「おまん娘」など、良くもまあ考えたものだと驚くくらいの連射である。また、主役級の一人はデブで にやついた顔つきから「ほほえみ豚」と名付けられるなど、愛着とまではいかないが、何だか微笑ましい。
 ただし、これらはジョークやお笑いネタとしてあるのではなく、実際の海兵隊では近いものがあるらしい。アメリカ軍の中でも海兵隊は特に結束力が強いこと で知られ、肉体的にも精神的にもタフ=冷徹になっていくことが求められるのだ。それをクリアした者たちだけが共有できる「仲間」意識こそが最強の軍隊を形 成しうるのだ。
 だが、その強靱な殺戮マシーンを形成する背景には、人間性の崩壊、欠落、排除といったマイナスの部分も存在する。本作はその部分を強烈に追求している。

 その精神的苦悩を表現するのは先にあげた「ほほえみ豚」のパイルと報道班員となるジョーカーだ。劣等生だったパイルは強烈なしごきの上で強靱な殺人マ シーンと化すが、精神はそれを超越して殺人鬼に達してしまう。一方、ジョーカーは胸 にはピース(平和)バッジ、ヘルメットには「BORN TO KILL」の文字を刻むなど、海兵隊員としては不可思議な出で立ちだが、敵兵を殺すという勇敢で強靱な精神を持ちつつ、戦争に懐疑的な部分も残す、といっ た精神の葛藤を表現している。
 また本作では、戦場における兵士の殺人とはどんな思いなのか、ということを痛烈に考えさせる。殺人に喜びを感じているのか、戦友を救うための義務感か。 どちらも多少はあるのだろうが、明確な答えはないのだろう。戦場とは窮鼠のようなものであり、本能的な怒りによって強く支配されているものであり、戦って い る本人達自身がそれをわかっていないし、明確な答えがないから常 にその葛藤に苦しんでいる。だからこそ、精神的な崩壊をきたすのだ。
 本作は、戦争を肯定も否定もしていない(と思う)。戦闘は狂気であり、狂気でな ければ戦闘はできない。「クソ地獄だ!」兵士の言葉が耳に響く。

 映画に登場する兵器類は海兵隊のヘリコプター(シコルスキー H-34)と戦車(M41軽戦車ウォーカー・ブルドック)。エンディングの音楽はローリングストーンズの「PAINT IT BLACK」が用いられている。同時期制作のTVドラマ「グッ ドラック・サイゴン(tour of duty)」 を彷彿とさせる。

興奮度★★★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★
感涙度★

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(以下ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 ベトナム戦争の最中のアメリカ海兵隊新兵養成所。ジョーカー、パイル、カウボーイと いった新兵が入隊する。冒頭から新兵の髪の毛をバリカンで剃り続ける シーンで早くも圧倒される。教官は冷徹で厳しいハートマン軍曹。とにかく、厳しく口汚く、言っていることは理不尽きわまりない。しかし、戦場では冷徹で強 靱な精神力が求められることも確かであり、軍曹は現場で「使える」兵士の育成に忠実なだけなのである。
 ジョーカーは健常な精神の持ち主で、最初は軍曹に反抗するが、逆に信念を曲げないということで班長に抜擢されていく。カウボーイはテキサス出身でジョー カーと仲がよい。パイルは「ローレンス」という名前だが、兵士にしては太っており、にやついた顔つきから「ほほえみ豚」と名付けられる。
 新兵らは厳しい訓練を積んで、徐々に兵士らしくなっていくが、それは精神的にもタフ=冷徹になっていくことでもあった。そんな中、パイルだけは常に失敗 ばかりしており、ジョーカーがその補佐、教育係を務める。パイルはそんなジョーカーに信頼を置くが、小隊の仲間たちはパイルの連帯責任をかぶることに嫌気 がさしていた。ついに、ある晩小隊の仲間達はパイルをボコボコに殴りつける。ジョーカーもそれに加わっていた。
 仲間からの非情な仕打ちを受け、ジョーカーにまで裏切られたパイルは、精神の琴線が切れてしまう。すっかり人格の変わったパイルは射撃に才能を認められ るものの、銃に愛称をつけて話しかけるなど異常性がみられるようになった。そして、卒業の時が来た。それぞれの配属先が言い渡される。パイルとカウボーイ は歩兵部隊に配属され、ジョーカーは報道班に配属された。
 その晩、夜警に立ったジョーカーは、便所で銃を持っているパイルに出くわす。パイルは実弾を装填し、大声で叫び出す。すでに精神が崩壊していたのだっ た。騒ぎを聞いて駆けつけた軍曹だが説得むなしく撃たれて死亡する。さらにパイルは自分の頭を撃ち抜いて死んだ。殺人マシーンを作り上げようとしていた軍 曹だが、パイルは殺人マシーンを越えて殺人鬼になってしまっていたのだ。孤独と恐怖と怒りは強靱な精神を作り上げるが、それは自制が効かないという反面性 を垣間見た気がする。

 1968年1月ジョーカーは海兵隊の報道班員としてベトナムにいた。すでに軍曹になっていたジョーカーだが、前線での歩兵勤務は経験していなかった。胸 にはピース(平和)バッジ、ヘルメットには「BORN TO KILL」の文字を刻むなど、不可思議な出で立ちだが、敵兵を殺すという勇敢で強靱な精神を持ちつつ、戦争に懐疑的な部分も残しているといった精神の葛藤 状態を垣間見ることができる。
 部下のカメラマンとともに前線に赴くことになったジョーカーは、そこでかつての仲間カウボーイと再会する。カウボーイも歴戦をくぐり抜け猛者になってい るが、前線の歩兵小隊は荒くれものばかりだ。彼らの小隊はフエ市内の敵掃討作戦に赴く。小隊長、先任下士官が戦死し、小隊の指揮はカウボーイに委ねられ た。その時、先頭を歩いていた兵士が狙撃される。助けに行った衛生兵も撃たれる。恐怖心に駆られたカウボーイは小隊の撤退を決意する。しかし、小隊の機関 銃手は仲間を置き去りにできないとして、救出に行き、敵狙撃兵が一人であることをつきとめる。カウボーイは思い直して狙撃兵の始末に行くが、壁をすり抜け た狙撃銃弾に倒れる。ジョーカーは狙撃兵の潜む建物に侵入し、ベトコンの女狙撃兵を発見するが弾が出ない。窮地を部下のカメラマンが救う。カメラマンは初 めての敵殺害に歓喜するが、死にきれない女兵士を見てジョーカーは思いをめぐらす。置き去りにするか、連れて行って手当てすべきか。その時、女兵士が言 う。「キル・ミー」。ジョーカーは考えたあげくに女兵士を撃つ。

(2004/10/08 2009/1/06修正)