「友よ、風に抱かれて」 評価★★★ ベトナム戦を背景にした儀仗
隊ヒューマンドラマ
GARDENS OF STONE
1987 アメリカ 監督:
フランシス・フォード・コッポラ
出演:ジェームズ・カーン、D.Bスウィニー、ジェー
ムズ・アール・ジョーンズ、アンジェリカ・ヒューストンほか
111分 カラー
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ベトナム戦争の後半期になる1968〜69年頃の米軍兵士たちを題材にしたヒューマンドラマ。ベトナム戦争を背景舞台にしているとはいえ、戦場シーンは
全くな
く、実写フィルムが少量織り込まれているだけである。映像的にはお手軽で、資金はさほどかかっていない映画のようだが、決して映像的にチープには見えな
い。
映画を始めて見た時驚いたが、監督はあの「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」を作ったコッポラ。コッポラらしい刺激臭はあまりしなかったが(笑)、メ
リハリの利いた
人物像などは、なるほどコッポラがヒューマンドラマを作るとこうなるのか、という不思議な印象。もしかもすると、「地獄の黙示録」の後の作品で大失敗して
いるだけに、
安定路線に出た?のかもしれない。
ストーリーは極めて単純で、主人公は朝鮮戦争からの歴戦の勇士ハザード一等軍曹。ワシントン軍管区の第3歩兵連隊の儀仗隊に所属している。儀仗隊とは軍
の祭礼儀式を執り行う部隊で、軍隊の中で最も規律正しい立ち振る舞いを要求される部隊でもある。戦死者の葬儀を行うことも多く、実際の映像でも合衆国国旗
で覆った棺を担いだり、空砲を撃つシーンに登場するアレである。終始緊張感を伴う重要な任務ではあるが、反面華やかな前線に出ることはなく忌み嫌う兵もい
るのだとか。
本作ではハザード一等軍曹のほか、ネルソン最先任曹長、新兵ウイローが主たる登場人物で、ウイローはハザード一等軍曹のかつての戦友の息子であり、戦功
にあせるウイローをハザードが見守る過程が描かれる。したがって、彼らと彼らの妻や恋人たちの会話だけで成り立っており、かなりお手軽なストーリー展開で
構成されている。戦場シーンもないし、反戦的シーンもほとんど盛り込まれていないので、ひどく単調になりそうなものだが、意外にも飽きず、物足りなさも感
じないのはコッポラの腕なのだろうか。
映画の技術的には、冒頭に時系列の最後を出して、フラッシュバックさせているが、これが単調な展開を打破する意味でなかなか効いている。意味深でもある
し、ずっと心のどこかに残っているものがあるのだ。
ハザード
軍曹の恋人サマンサ役にアンジェリカ・ヒューストンを起用しているが、お世辞にも美人とは言えない。私的には「おかま」にしか見えないのだが(汗)、逆に
美人
を使わなかったのがリアル感を生んでいるかも知れない。
また、会話がわかりやすく人間像も理解しやすいので、さらっと映画に入っていくことができた。大泣
きするほどではないが、多少はほろっとするシーンもあり、派手な盛り上がりや複雑性は期待できないものの、こういうサッパリ系もたまにはいいかなと思う。
儀仗隊だけあって制服や行進がとても格好良い。それだけでも見る価値はあるかもしれない。
余談だが、新兵のウイローはあっという間に軍曹になり、さらに士官学校へ行って士官になってしまうのだが、そ
んなに簡単なものなのかねえ。父親の年代のハザード軍曹たちより偉くなってしまうあたり、何だかちょっと複雑な気分がした。
(参考)
MILITARY
DISTRICT OF
WASHINGTON (ワシントン軍管区HP)
3d
United
States Infantry Regiment(The Old Guard) (第3歩兵連隊HP)
興奮度★★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★★★★
(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
主人公はハザード一等軍曹で、朝鮮戦争から
の歴戦の勇士だが今はワシントン
軍管区の第3歩兵連隊に、やはり勇士で友人のネルソン最先任曹長と
ともに所属している。この第3歩兵連隊はアメリカ合衆国の国旗を守り、戦死者の葬儀を行う儀仗隊で前線に出ることはない。ハザードはこれまでの経験からベ
トナム戦争を失敗だと考えている。そのうち、彼らの中隊に、新兵のウイローが赴任してくるが、ウイローはかつての戦友の息子だった。ハザードらはウイロー
に目をかけるが、ウイローは士官を目指し、ベトナムの前線に行きたがる。ハザードらの推薦でウイローは半年で3等軍曹に、そして士官学校へ行くことになり
少尉となる。昔なじみの娘と結婚したウイローは間もなくベトナムの前線へ赴く。ウイローの身を案ずるハザードたちだが・・・
(2004/6/19 2009/2/24一部修正)
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