「ファ
ントム・ソルジャー」
評価★★☆ ベトナム戦に現れた謎のガスマスク集団
PHANTOM
SOLDIERS
1987
イタリア 監督:テディ・ページ(アーヴィン・ジョンソン)
出演者:
マックス・セイヤー、ジャック・イエーツ、コーウィン・スエリーほか
96分 カラー
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ベトナム戦争の最中、北ベトナム国境で謎のガスマスク集団、ファントム・ソルジャー部隊が出没。失踪したグリーンベレー隊員の弟を探してベトナム入りし
たテキサスレンジャーが、ファントム・ソルジャーに遭遇し、その謎を解いていくという、サスペンスアクション。ファントム・ソルジャーは一体何者なのか。
CIAか北ベトナム軍か。意外な展開が面白い。
監督はどうやらフィリピン系アメリカ人らしく、フィリピン映画やテレビを多く手がけているようだ。ビデオパッケージにはイタリア製作となっているが、ど
う見てもアメリカ映画なのだが??。
なんとも奇抜な設定でわかるとおり、典型的なB級映画で、ふざけているのか、シリアスなのか判断できない。結果からみるとシリアスのつもりなんだろう
が、やっぱり設定は笑ってしまう。大体、ガスマスクに黒戦闘服、機関銃弾帯をたすきがけ、ドイツ軍風ヘルメットなんて変だぞ。ストーリーも、奇抜な発想で
意表つく展開は結構面白いのだが、筋の連続性や必然性、個々の設定という点でちょっとお粗末。
ところが、使用されている火薬量、兵器類、エキストラ数はB級にしては法外に多い。アクションシーンの倒れる動作は、学芸会並のチープさだが、かなり長
まわしの銃撃戦、爆破シーンはド派手でかなりのインパクト。これぞ戦争映画といった感がある。エキストラの演技指導さえもう少ししっかりやっていれば、か
なり良いものになっただろうに。
このように、完成度はちょっと低いのだが、なんだかんだで最後まで興味深く見てしまう、何とも迷作なのだ。雰囲気的には、B級版ランボーとも言えるかも
しれない。
ロケ地はフィリピンらしい。カメラワークや編集がお粗末なのでもったいないのだが、ロケに使用している土地やセットは結構立派だ。
登場する兵器類はなかなか豊富。ヘリではUH−1ヒューイ、OH−6?、AFVではV−150装甲兵員輸送車、M113装甲兵員輸送車、スコーピオン装
甲偵察車(FV101)が登場する。このほか、数隻の揚陸艦、81ミリ砲、迫撃砲などもある。これらは多分フィリピン軍か在比米軍のものと思われるが、か
なりの軍の協力があったことが窺われる。
まあ、わざわざ見たいという内容の作品ではないが、迷作という意味では特筆できる作品かもしれない。
興奮度★★★★
沈痛度★★
爽快度★★★★
感涙度★
(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
北ベトナム国境のベトコンの拠点村。そ
こに、ガスマスク
と黒一色の戦闘服に身を包んだ謎の部隊が急襲。ベトコンのみならず、婦女子老人までを皆殺しにする。容赦なく機関銃を撃ちこみ、手りゅう弾で村を爆破しま
くる。さらに、海岸に逃げた女子供らを毒ガス攻撃で殺害し、額に印のついたドクロを置いて行く。
ベトナムのグリーンベレーマイケル・カ
スター中尉の部隊
が虐殺されたベトコンの村を発見する。またもや、ファントム・ソルジャーの仕業だ。使用された武器はアメリカ製だが、そこで行動している部隊はいない。
CIAか反共産ゲリラの仕業か。中尉の小隊はファントムソルジャーの追跡を開始する。先頭を歩いていたレッドレッグスが、ガスマスク黒戦闘服の何者かを発
見し銃撃する。しかし、手ごたえはなかった。部隊の大尉は深追いするなと命じる。
次の偵察で、再びファントムソルジャー
を発見。味方か敵
かもわからないが、マイケル中尉は銃撃して追跡。ファントムソルジャーは逃げていくが、一人が負傷し血の痕が残る。その痕をたどっていくと、そこは北ベト
ナム地域であった。そこで謎のファントム・ソルジャーと遭遇。両者は対峙するが、そこでファントム・ソルジャーが実はアメリカのシークレット部隊であると
名乗る。マイケル中尉らはファントム・ソルジャーについていくが、実は罠であり、中尉と二名を残して全滅する。中尉らも包囲され、捕虜となる。
一方、アメリカテキサス州では、マイケ
ル中尉の兄、テキ
サスレンジャーのダニエルがヤクの密売人を追跡、一毛打尽にする大活躍。そこに軍から弟が行方不明になったとの報が入る。落胆するダニエルだが、どうもお
かしいと感じ、旧友のダンにベトナム行きを頼む。しかし、断られダニエルは勝手に大佐を名乗り、ベトナム入りをする。
北ベトナム政府は村民虐殺をグリーンベ
レーの仕業だと
し、アメリカはそれを否定。泥仕合の様相を呈する。
ダニエルは北ベトナム軍に急襲されるて
いる最中のコ・ド
ン特殊部隊基地に到着する。ダニエルは神がかり的な活躍で壊滅寸前の基地を救う。そこで、捕まえたベトナム兵からファントムソルジャーの存在を知る。
ダニエルは北ベトナム地域に潜入するた
め、海軍の旧友ト
ンプソンを訊ね手助けを求める。しかし、海軍基地もベトナム兵の襲撃を受け、仕方なくダニエルは歓楽街に行き、金と力で一緒に行く荒くれどもを探すが失
敗。次に特殊部隊基地に捉えられているベトナム兵捕虜を勝手に連れ出し、道案内をさせることにする。
ベトナム兵は英語ができないふりをする
が、実はインテリ
で、次第にダニエルに協力的になる。北ベトナムに潜入したダニエルだが、すぐにファントムソルジャーに捕まってしまう。
ファントムソルジャーは米軍の特殊部隊
と名乗り、任務は
監視と墜落飛行士の救出だと言う。司令官はハマー中佐だ。ダニエルは国防省の調査でファントム・ソルジャーの調査に来たと言うが、ハマー中佐はしらをき
る。基地の外部は地雷原で脱出場所は1箇所しかない。いかにもアメリカ軍の風だが、そこでダニエルは弟のつけていたテキサスレンジャーバッジを見つける。
マーフィー准尉はマイケル中尉と一緒に行動したが行方不明になったと言う。ダニエルは彼らがCIAではないかと疑う。ところが、ある瞬間コックのウインチ
が、指を切ってロシア語を話すのを聞く。ダニエルはファントム・ソルジャーがロシア兵だと気付く。
ファントムソルジャーは世界世論工作任
務が完了し、撤収
に入る。マーフィー准尉はダニエル大佐を殺害すべきだと言うが、ハマー司令官は生かして帰すと言う。そこに、ウインチがロシア語を聞かれたと報告しに来、
様子をみることにする。
一方、ダニエルはマイケル中尉らが拘束
されている水中牢
を見つける。密かに接近し、マイケルらを解放する。脱走に気付いたファントム・ソルジャーが追跡を開始。レッド・レッグスが撃たれる。レッド・レッグスは
一人残り戦死する。ファントムソルジャーはロケット砲、ヘリを使用して追跡。ダニエルとマイケルは協力して敵を全滅させる。
ダニエルが言う。「法は超えられない
だれもな」
(2008/03/03)
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