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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「カジュアリティーズ 評価★★★ ベトナム戦での戦闘と道徳のせめぎあい 
CASUALTIES OF WAR
1989 アメリカ 監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:マイケル・J・フォックス、ショーン・ペンほか  
114分 カラー
 
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 ベトナム戦争を舞台にアメリカ兵の婦女暴行殺人事件の顛末を映画化したもの。完全なるノンフィクションではないが、1969年にThe New Yorker紙の記者が取材した実話をもとにしているそうで、反戦家のブライアン・デ・パルマ監督が、他の監督がベトナム戦争中に製作し上映禁止となった同名映画を念頭に して制作したものという。
 従って、本作品にはベトナム戦批判と反戦の色合いが強いが、J・フォックスとショーン・ペンという大物を起用したことが裏目と なって、俳優の個性重視で反戦色は中途半端な出来となっている。また、脚本上ではもっと暗いエンディングだったらしいが、監督が将来性を考慮したものに変 更したおかげで、これまた陳腐なものになっている。「アンタッチャブル」「ミッション・インポシブル」を手がけた名監督だが、徴兵逃れをしていたという監督だけに、リア ル戦争物は・・・・ちょっと無理があるのかもしれない。
 なお、本作で米兵の婦女暴行殺人を取り上げ、社会的警鐘を鳴らしたにもかかわらず、近年のイラク戦争では再び同様の事件が起こったことを嘆き、「リダ クテッド 真実の 価値(2007米)」 という作品を製作している。

  内容は、ベトナム戦争に従軍中の米陸軍第23歩兵師団の分隊に配属となった一等兵が、分隊指揮官の三等軍曹が起こす婦女暴行事件を告発するが、軍特有の隠 蔽体質により蓋をされてしまうといったものである。軍法会議は不透明で、軍としては貴重な兵を処罰するよりも前線で従事させた方が良いという、ご都合主義 なのである。
 その描写はかなりえげつないものがあり、ショッキングな作品となっている。婦女暴行殺人という重い罪をえぐり出すように描き、視聴者に正義感を持たせな がら、軍組織の腐った体質に反感を持たせるような意図がみられる。これらの事件は氷山の一角で、戦場にはもっと多くの不条理と腐敗があるのだと。
  だが、反戦映画としてはやや失敗している感もある。婦女暴行殺人の犯人であるミザーブ軍曹だが、ショーン・ペンが男気溢れる素晴らしい演技をかましてし まったために(笑)、犯罪者であることを忘れてミザーブらに対して温情の念すら感じてしまったのだ。ひたすら悪玉に仕立て上げておけば良いものを、ベトナ ム戦争経験者への配慮な のか、ストーリーに深みを持たせるためなのか、中途半端な感じになってしまっている。告発者である一等兵のエリクソンに関しても、仲間を売るという行為ば かりが強調されてしまっ て、あまり感情移入できなかった。
 また、ラストシーンをハッピーエンドにしたのも大失敗であろう。当初はエリクソンが出所後のミザーブ軍曹らに付け狙われると言う最悪のパター ンらしかったが、そうした方が観客はいろいろと考えることができたのではないか。

 まあ、構成や脚色に残念な部分はあるが、ショーン・ペンの素晴らしい感情移入した演技は見るべきものがある。相当入れ込んで役作りしたようだから、それだけで もベトナム戦争というものを垣間見ることができるだろう。
 このほか、川べりのベトコン武器庫を米軍武装ヘリが急襲するシーンで、付近に接近してきた米軍のガンシップ(船)が誘爆を受け、乗員の米兵が飛び散るシーンが一瞬出てくる。劇中 のストーリーでは何ら説明がなく、ベトコンの間違いではないかと何度か見直したが、やはり米国旗を付けていた。監督のコメントでは「こうした誤爆も戦争ではあ りがちなこと」と言っていたが、このシーンはなかなか奥が深いのだ。


(参考)
23nd infantry division(第23歩兵師団Hp) 

興奮度★★★★
沈痛度★★★★★

爽快度★★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1966年のベトナム。第23歩兵師団に所属するとある分隊は、ミザーブ三等軍曹(ショーン)とブラウン三等軍曹に率いられていた。ミザーブ軍曹はリー ダ性に長けている上、戦場では経験豊かな頼れる男だ。この分隊に来てまだ3週間のエリクソン(フォックス)一等兵(映画中の字幕は上等兵と言っているが) は偵察中にベトコンにあやうく殺されかけるところを、ミザーブ軍曹に助けて貰う。しかし、間もなくベトコンの潜む村で、村人達に騙されて除隊間近のブラウ ン軍曹が殺されてしまう。冷静ながらもベトナム人への憎悪を強めていくミザーブ軍曹。追い打ちをかけるように、娼婦街でのベトコン活動が活発になったため か、休暇での外出が禁止される。道徳心を失ったミザーブ軍曹は、偵察任務先の村で女の現地調達を計画する。実際にミザーブ軍曹らは少女を誘拐し暴行に及 ぶ。新たに補充されたばかりのディアズ一等兵は、はじめは暴行に批判的だったが、ミザーブ軍曹の脅しに負けて暴行に加わる。エリクソンだけがミザーブ軍曹 らに反対するが、次第に分隊内で孤立していく。ベトコンの武器庫を発見したミザーブの分隊は邪魔になった少女を殺害する。
 エリクソンはこれを犯罪行為だとして告発することにし、小隊長の少尉(映画字幕では中尉となっている)に相談するもあしらわれ、ついに中隊長の大尉に報 告するが、ここでも事件の露見を恐れて反対に脅しを受ける。戦時下でのこうした行為は良くあることだし、軍法会議などは甘いものだ。仮に受刑しても出所後 のお礼参りが怖いぞと。さらに、エリクソンは彼らに暗殺されかかるなど命の危険も感じ始める。たまたま同席した従軍牧師の大尉へ話したことから、軍警察の 捜査が始まり、ミザーブらは軍法会議にかけられるが・・・

(2004/06/20 2009/2/24修正)