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戦争映画の一方的評論
 
「ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦」 評価★★★☆  圧倒的なソビエト軍に抵抗するフィンランド軍
WINTER WAR / TALVISOTA 
1989 フィンランド 監督:ペッカ・パリッカ  
出演:
タネリ・マケラ、ヴェサ・ヴェイエリッ コ、チモ・トリッカ、コンスタ・マケラほか 
125分(195分フィンランド版) カラー


 1939年11月にソビエトがフィンランドに侵略を開始した第一次ソ・フィン戦争を題材にしたフィンランド映画で、そのスケール感とリアル感はフィンラ ンド映画史上でも群を抜く出来らしい。フィンランド戦争映画は結構な数があるのだが、こうして日本でDVD化されたことは大変嬉しい事。しかも、そ れがあの彩プロさんからというのも何だか嬉しい(笑)。

 内容はフィンランド軍第23歩兵連隊の軍事日誌と記憶に基づいて製作されたもので、フィンランド軍予備役兵の農家の兄弟を中心に、ソ・フィン戦争の開始 から平和条約締結までを描いている。ソ・フィン戦争といえば、冬の戦争とも言われ、厳寒の最中に激しい塹壕戦、白兵戦を繰り広げたことで知られる。その戦 闘シーンの激しさやリアル感、さらに戦死体のグロさはかなりのもの。しかも、1989年製作と言えばあの名作「プライベート・ライアン(1989)」と同 じ年なのだから、この出来はかなり優れたものと言えるだろう。その戦闘シーンでは砲撃や戦闘で なぎ倒された木々が実に見事に再現されており、著しい自然破壊?と心配するほどである。後半部分では空爆シーンとともになぎ倒される木々のシーンはいささ かやりすぎの感もあるが。使用する火薬量も膨大で、実弾ではないかと思うほどリアルな夜間の 機銃弾道など迫力満点だ。また、ただ激しいだけでなく、本作は1対10程の人的、物的差に耐え抜いたフィンランド兵の苦闘と疲弊、そして絶望感を見事に描 いている。戦う意図を明確に見出せなかった予備役兵が容赦なく襲う兄弟や戦友の死と、繰り返される殺戮の嵐で次第に人間性を失っていく戦友の姿を、疲れ冷 めた目で見つめるのが印象的だ。
 難点としては登場人物が非常にわかりにくいこと、作戦・戦闘の背景が不明なところがある。フィンランド人の名前に馴染みがないこともあるが、家族関係や 部隊の階級 などわからないままストーリーが進んでしまう。また、ソビエトが不可侵条約を破棄して侵入してきたのはわかるが、部隊がどのあたりでどのような任務につい ているのかがわからない。フィンランド軍と言えば、雪林でのゲリラ戦というイメージなのだが、本作は塹壕での正面抗戦が描かれている。なおさら、部隊の動 きが気になるところ。この点はもしかもすると、DVD版が125分に短縮されたものであり、原版は195分ということなので、肝心な部分が大分カットされ ているためかもしれない。何とか原版を視聴してみたいものだ。
 なお、気になったと言えば、フィンランドの冬景色なのに、役者の吐く息があまり白くない事。映像が見にくくなることを避けたのか、フィンランドにしては 暖かい季節に撮影したのか、何か意図があったのだろうか。その点で、せっかくの冬の戦争なのだが、寒さという印象が薄い。
 また、さすが北欧の国だけあって性にはおおらか。男の珍にボカシが入ったり、熟女ヌードもわずかながらあり。
  
 登場する兵器類はかなりしっかりとした考証がなされているようで、ソビエト軍の戦車にはT−26戦車、OT−130火炎放射戦車が登場する。少なくとも 4,5台は実働しており実車なのだろうか。航空機では単発、双発の戦闘機が 爆撃及び機銃掃射するシーンが出てくるが、機影から単発はポリカポフI−16戦闘機、双発はイリューシンDB−3(IL−4)のようだ。多くは実機ぽい が、一部ミニチュア特撮の映像と思われるシーンもある。撮影はフィンランドだが、こうした兵器はどこから調達したのだろうか。また、軍装、銃器類もしっか りと考証をしているようで、M36野戦帽や制服が雰囲気を出している。

 全体に戦争映画としてはよく出来ていると言えよう。装備も兵器も極端に不足していたフィンランド軍の実態と、その対ソビエト抗戦の絶望感を、リアルな戦 闘シーンと莫大な火薬量で描ききっており、短い映画の中でかなりの長期間を戦い尽くした気がする。退廃的でリアリズムな描き方は、ソビエト芸術記録映画に も似たところがあり、「レ ニングラード攻防戦(1974,1977ソ)」「バ トル・ フォー・ スターリングラード(前・後編)(1975ソ)」「ス ターリングラード(1993独米)」に類する出来と言えるだろう。もったいないのはやはり英語版のカットで、70分ものカットはいったいどうやっ たらそんなにカットできるのだろうか。

 興奮度★★★★
 沈痛度★★★★★
 爽快度★★
 感涙度★★

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  (以下あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1939年秋、ソビエトはドイツ軍からのレニングラード防衛のため、カレリア地峡の割 譲をフィンランドに迫っていた。すでに、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国はソビエトに侵略されており、この要求をフィンランドが断る事は、 即戦争を意味していた。
 1939年10月13日、フィンランド農家のハカラ兄弟、兄マルティと弟パーヴォは予備役兵として召集される。支給品は帽子の記章と下着だけという貧し い軍備の中、基礎的な軍事教練を受けて彼らは国境線近くに送られた。
 マルティは母親にパーヴォのことを頼むと言われおり、上官に頼んで同じ班にしてもらっていた。しばらくは外交交渉が行われ、国境線も平穏とした雰囲気 で、現地の女性と交流を持ったりもしていたが、ついに、ソビエトが不可侵条約を破棄。ソビエト軍が国境を越え始める。
 ソビエト軍の砲撃の中、すぐに歴戦の老兵イリが戦死。その姿を見て、マルティらは戦争が始まったという事実を改めて認識する。マルティンらの部隊はコル ペラ曹長の指揮のもと、タイパル川をはさんでソビエト軍と対峙する。ソビエト軍の激しい砲撃と、戦車を使った人海戦術に、フィンランド軍の塹壕線はしばし ば突破される。喪失する兵士と消耗する弾薬に苦しめられるフィンランド軍だが、必死の抗戦を続けるが、そんな中パーヴォが負傷する。
 パーヴォは治療のため後方に下がり、実家に戻るが、「戦場からは生きて戻れない」と呟く。それほど、前線はひどい状態だったのだ。そのパーヴォは再び戦 場に戻るが、兄マルティの目の前で敵砲弾にまっぷたつにされてしまう。
 フィンランド兵はソビエト軍戦車に対し、モトロフの火炎瓶で対抗し、次第に兵士も人間性を失ってくる。コルペラ曹長は陣地を退却したことで上官に叱責さ れ、部下を連れて奪回に向かう。なんとか奪回を果たすが、大勢の死者を出す。
 マルティは休暇で実家に戻るが、弟パーヴォの最後を聞かれるが答えられない。妻との別れを惜しみながら再び戦場に戻る。
 第4中隊はエイパラ山を越えてソビエト軍の進軍を阻止することとなる。激戦の末、勇敢な男ペンティ・サリ軍曹、エリキ・ソンピが戦死。さらに、敵の砲撃 でユッシ・カントラも戦死し、残った少数の兵でソビエト軍の渡河を阻止する事になる。ソビエト軍の凄まじい人海戦術に押され、一進一退の攻防を続ける。
 そして、1940年3月13日、停戦協定が結ばれ、105日間の冬戦争が終わりを告げる。喜ぶフィンランド兵だが、マルティの表情は冴えない。

(2006/12/17)

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