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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「北緯15°のデュオ - 日本初の神風特別攻撃隊の軌跡-  評価★☆ 神風特攻敷島隊の足跡を追う
1991  日本 監督:根本順善
出演者:川 谷拓三、阿部寿美子、烏丸せつこほか
105分 カラー 

 
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 日本最初の神風特別攻撃隊敷島隊の軌跡を、俳優の川谷拓三本人が実名で登場してフィリピンを旅する、ドキュメンタリー風ヒューマンドラマ。特別攻撃隊の 歴史を追いかけ、秘められたる彼らの人生を理解しようとする試みは素晴らしいが、正直言って映画レベルには至っていない。テレビの終戦記念特番レベルでし かなく、下手するとそれ以下かもしれない。
 敷島隊は海軍201飛行隊所属で、関大尉ら爆装の零式艦上戦闘機が昭和19年10月15日に初めて特別攻撃隊として出撃している。本作はその敷島隊の軌 跡を追うとしてはいるが、内容的にはあまり突っ込んでおらず、かなりさらりとした作りこみ。

 ストーリーはほとんどがフィリピン観光PR目的としか思えないような杜撰な組み立て。コレヒドール島の要塞を訪ねるシーンなどは、ミドルサイド兵舎、 ウェイ砲台(12インチ臼砲)、ギアリー砲台、ハーン砲台(2インチ長距離砲)、マイルロング兵舎、映画館跡など観光ツアーそのものの映像が続く。このほ か、クラーク基地、マニラ市街、レイテ島など観光案内に無理やりストーリーを合わせたかのように思える。背後に何やら大きな力が動いているのではと疑いた くなるほどで、何故このような映画を製作したのか、その真意を計りかねる。
 
 一応、敷島隊の出撃地を訪ね、彼らの生きた証を示していくというヒューマンドラマ構成となっているので、本来は感動と涙あふれる作品になるはずだったろ う。だが、そのヒューマンドラマの核となる主役の川谷拓三は名脇役として存在感のある俳優だが、主役として登場するにはあまりに大根演技。川谷と共にフィ リピンを旅する老婦人役の阿部寿美子もまたしか り。妙な明るさと場違いな雰囲気はかなり違和感を覚える。これでは感動できるものもできやしない。また、懐かしきセクシー女優烏丸せつこも登場するが、ラ ストのほんの少しだけ。とりあえず客寄せに出しとけといった感じで、烏丸せつこ全盛期であったことを髣髴とさせる(笑)。

 その烏丸せつこの登場もそうだが、冒頭の音楽などの雰囲気はまさにバブル全盛期を思い出させる。バブリーな時期に制作した映画だけに全般に軽々しくなっ てしまっているのかもしれない。金にまかせてとりあえず作っておけ的な雰囲気がプンプンするのだ。また、ラスト近くでは旅先のフィリピンで行う日本人の金 満主義を批判するシーンがあるが、このあたりもバブル期の日本人の行動を諌めようとする象徴的なシーンだった。当時のバブル期であったなら、こんな程度の 映画でも許されたのかもしれないが、今となっては許される範疇ではないだろう。

 唯一楽しめるのは観光PR風のフィリピン戦争史跡映像とクラーク米軍基地の軍用機映像くらいか。前述のコレヒドール島要塞のほか、敷島隊のいたクラーク 基地の旧飛行場跡、レイテ島のカンギポポット山、十字架山などの映像が出てくる。航空機では基地返還直前のクラーク米軍基地のF−5EタイガーII戦闘機 やイロコイが出てくる。
 このほか、気になったのはフィリピン人の描写。途中で川谷が川でおぼれる子供を救出するのだが、フィリピン人は皆傍観するのみで誰も助けに行こうとしな い。そんなフィリピン人を「フィリピン人は他人の災難には傍観者になる」と表現している。さらに日本人憎しのフィリピン人も多数登場。うーん、フィリピン 人描写としては正しいのだろうか。

 全般にやっつけ仕事的な雰囲気が強く、ヒューマンドラマともドキュメンタリーとも言い難い。あえて言うなら「川谷拓三のフィリピン珍道中」といった感じ か。しかし、何なんだろうねこの映画。

興奮度★
沈痛度★★

爽快度★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 フィリピンのマニラ空 港。空港に降り立った俳優の川谷拓三を見つけて老婦人が寄ってくる。半ば強引に老婦人は川谷拓三と行動を共にしようと誘いかけてくる。老婦人は第二次世界 大戦中フィリピンのクラーク基地で戦死した姉の息子の弔いのため、フィリピンを訪れたのだった。川谷は何の目的で訪れたかを明かそうとしないが、自由旅と いうことで老婦人の旅につきあうことに。

 まず、コレヒドール島の要塞観光に出かけ、そこで老婦人は歌を歌って涙す る。次に、姉の息子が戦死したというクラーク飛行場を訪ねるが、そこで川谷が次第に熱く語るようになる。当時の201飛行隊宿舎だった建物を訪れ、そこで 川谷は敷島隊の関大尉らがここでどのように特攻命令を聞き、どのように過ごしたかを探ろうとする。実は川谷は売れない役者時代に、近所の食堂のおやじさん に敷島隊の写真を見せられ、「あなたには無限の将来があるではないか」と励まされて以来、敷島隊のことを知りたくなっていたのだった。
 米軍のクラーク基地に頼みこんで入ることが でき、老婦人は飛行場跡で線香を手向けるのだった。そして川谷もまた敷島隊の隊員の思いにふける。
 続いて、川谷は敷島隊が突入した海を見たい と思い、老婦人を連れてレイテ島に渡る。そこで川で溺れる子供を見つける。傍観するばかりのフィリピン人を余所眼に川谷は泳いで救出する。フィリピン人は 他人の災難に傍観者になる性質なのだそうだ。その川谷のもとに母親と祖父が訪ねてくるが、兄弟を日本軍に殺された祖父はお礼は言わないとしてフルーツを置 いて帰っていく。川谷は複雑な心境になる。その後、突入の海上、マッカーサー上陸のパロ海岸を見学し、マニラに戻る。
 川谷と老婦人はフィリピン人の双子の子供を 見かけ、何かをあげようとするが何もなく、川谷が現金をあげようとする。しかし、そこに日本人の母親が現れ、怒り始める。日本人は勝手にフィリピンに来 て、フィリピン人を殺し、戦後は金を与えて優越感に浸る。もうやめてくれと言うのだ。川谷も老婦人も日本人の戦死者の陰でフィリピン人も多数犠牲になって いることを改めて痛感するのだった。そして老婦人に長生きしてくださいと言い、川谷は旅を終えるのだった。

(2009/08/3)