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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「天と地  評価★★☆ アメリカに渡ったベトナム女性の半生記
HEAVEN&EARTH
1993
  アメリカ 監督:オリヴァー・ストーン
出演者:ヘップ・ティー・リー、トミー・リー・ジョーンズ、ジョアン・チェン、ハイン・S・ニョールほか
141分 カラー 

 
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 実在のベトナム人女性レ・リー・ヘイスリップの自伝を元に制作された半世記で、「プラトーン」「7月4日に生まれて」などヴェトナム戦争もので知られる オリヴァー・ストーンが監督した作品。ベトナム戦争の勃発とともに、ベトコンとアメリカ軍の間で振り回され、生きるために性を売り物にしながらも、米兵と 結婚しアメリカで成功するなど、たくましく生きていく姿を描く。だが、単にサクセスストーリーというのではなく、彼女の家族の苦悩をはじめ、米兵やベトミ ンの苦悩など、ベトナム戦争が生み出した功罪について深く描いている。
 レ・リー・ヘイスリップはベトナム中部の小さな村キーラに生まれ、ベトコンとして戦闘に参加したこともあるという。ベトナム中部の村は、昼は米軍(南政 府軍)、夜はベトコンに支配されるという非常に苦難の生活を強いられたことで知られ、男には死、女には性の奴隷という道が待っているのだ。ベトナムは古く は中国、フランス、日本と戦い、アメリカの後は再び中国との戦いを強いられている。

 オリヴァー・ストーンの作品は嫌いではない。だが、彼の性格なのだろう、主人公にかなり思い入れてしまう傾向があり、映画作品としては佳作か駄作か思い 切り別れてしまいがち。本作は主人公であるレ・リーを演じたヘップ・ティー・リーの存在感がいま一つ薄いことと、アメリカ海兵隊一等軍曹の夫役のトミー・ リー・ジョー ンズが濃すぎたためか、正直言ってバランスが悪すぎる。ただでさえ、波乱万丈の人生を描いた141分と言う長尺映画なので、バランスの悪さは致命的だ。
 ま た、クライマックス的な箇所が途中に幾度もあり、何度も盛り上がっては冷めを繰り返すといい加減集中できなくなる。さらに原作がそうなのかもしれないが、 題名にある「天と地」のような哲学的な表現が多く、なかなか難解。もう少し、コンパクトにまとめ上げた方 が良かったのでは。

 ヘップ・ティー・リーはベトナム生まれの女優で本作が映画デビュー作のようだ。ヌードも披露し、東洋人独特のチャーミングさに魅かれるが、アメリカに 渡ってからのボンバーヘッドにはやや引いた(笑)。トミー・リー・ジョーンズはなかなか難しい役柄を好演してはいたが、何せ缶コーヒーのCMでの宇宙人役 のイメージが強すぎて(笑)・・・。このほか、レ・リー・ヘイスリップ本人が宝石商の役で登場しているらしい。
 
 オリヴァー・ストーンだけあって、映像のスケール感と細かい描写はなかなかのもの。タイでロケされたようだが、東南アジアらしい農村風景が美しく、影や 太陽を有効に利用した映像美が光る。また、上空からの俯瞰映像が秀逸で、平穏な農村に登場する兵器が良く似合う。音楽も美しく、かなり上出来。

 登場する兵器類には定番のUH−1イロコ イのほかに、F−80シューティングスター、トランザールC−160A輸送機?などの姿が出てくる。陸上兵器ではM−113装甲兵員輸送車やM41ウォー カー・ブルドック軽戦車が登場する。
 また、少女たちへの拷問シーンは足に蜂蜜を塗って蟻をたからせたり、胸元に蛇を入れたりと、なんともエロえぐい。

 一生懸命作ったという努力感は伝わってくるが、全体の完成度には疑問が残る作品だった。決して駄作とは言いたくはないが、どこか制作者側と観客側の気持 ちがすれ違ったような印象が強く残った。

興奮度★★★★
沈痛度★★★

爽快度★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1949 年にベトナム中部の農村キーラで、小作農民のプング夫婦のもとに女の子レ・リーが 生まれた。かつてフランスの支配下にあった村はレ・リーが10歳になったとき、今度はアメリカとの戦争が勃発する。村にやってきたベトコンに影響され二人 の兄はベトコン兵士となる。大好きだった次兄サオがいなくなったことに悲しむレ・リーだったが、次第にベトコンのスパイとして活動を始める。村は昼は政府 軍、 夜はベトコンによって支配されていたのだ。
 だが、ある日レ・リーはスパイ容疑で南政府軍に捕らえら れ、厳しい拷問を受ける。レ・リーは口を割ることなく耐え、父親の用意した保釈金で釈放される。 しかし、今度はベトコン側にスパイ容疑を掛けられ、兵士によってレイプされてしまう。レ・リーの身を案じた母親はサイゴンに移って暮らすことにする。二人 は金持ちのベトナム人の使用人として働くが、妻帯者の主と恋に落ち、子供を身ごもってしまう。妻のマダムリンに家を追い出されたレ・リーはダナンの闇市で 生計を立て、子供ハン(ジミー)を出産する。しかし、生活は苦しく娼婦をする姉キムにすがって生きるしかない。そして、ついにレ・リーも体を売ることにな る。キーラ村に残っていた父は体を悪くして死んでしまう。
 そんな時にアメリカ軍海兵隊一等軍曹のスティーブ・バト ラーと出会う。離婚歴のあるバトラーの強い求愛にレ・リーも折れ、ついに結婚することに。3年がたち、バトラーとの間に子供トミーも出来 た頃、サイゴンにベトコンが攻め入ってくる。撤退するバトラーとともにレ・リーは二人の子供を連れてアメリカのサンディエゴに移り住むことに。母も誘う が、母は父の残した土地を守るためにベトナムに残る。
 アメリカでは優しい母親たちに迎え入れられるが、習慣の 違いなどからなかなか馴染むことが出来ない。それでも、優しいバトラーに支えられ生活していた が、バトラーが戦争後遺症によりおかしくなってくる。すれ違いと喧嘩のあげく、二人は離婚を決意する。だが、バトラーはそれに耐えられなくなり自殺。レ・ リーは子供たちを育てながらも事業を成功させていく。
 1986年になり、アメリカで成功したレ・リーは息子達 を連れてベトナムに里帰りする。長男を実父に会わせ、ベトナムの母親や生き残った長兄とも再会す る。しかし、没落した元主人や老いた母や姉ハイ、やつれた長兄ボンの姿は見る影もなく、ベトナム戦争の残した陰がレ・リーに重くのしかかるのだった。南 北、東西に翻弄されてきたレ・リーは天と地の間に生きる宿命だったのだ。

 
(2009/01/10)