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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「戦火の勇気 評価★★★★☆ 湾岸戦争での名誉勲章に 絡む疑惑
Courage under Fire
 1996 アメリカ 監督:エドワード・ズウィック
出演:デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン、マッ ト・デイモンほか  
117分 カラー 
 
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 1990年のイラクによるクウェート侵攻を端緒に勃発した「湾岸戦争」を題材にした、ミステリー系ヒューマンドラマ。ハリウッド映画にしては、良く練ら れたオチのある好作品で、戦争モノと してアクション性もあり、謎解きをすすめるミステリー要素も十分で、さらには主人公である黒人中佐と女性パイロットを巡るヒューマンドラマも加味された、 実に盛りだくさんの構成。にもかかわらず、過不足なくバランスの取れた内容で、最期までダレることなく引き込まれた。

 内容としては、戦車部隊指揮官として同僚戦車を誤射撃してしまった中佐の葛藤と、墜落したヘリクルーを救助に向かい、自らも墜落してしまった女性パイ ロット大尉の勇敢な 行動の真偽が主題となっている。
 サーリング中佐は、自らのミスで味方を誤射してしまうのだが、近代戦では戦死者のかなりの割合が味方からの誤爆・誤射によると言われる。湾岸戦争でも、 戦死者の半数近くは味方の誤爆、誤射であったとされ、近代戦 を語るには避けては通れない命題であるとも言える。
 戦闘時の極度に緊張し、昂揚した神経のもとでの任務だったとはいえ、非戦闘時となると人として味方を殺してしまったと言う強い自責の念に駆られていく。 本作では、中佐の苦しい葛藤が切々と描かれつつ、戦闘時と非戦闘時の心情の変化というのもがクローズアップされる。これは、ベトナ ム戦争などにおける帰還兵の神経疾病と相通じる物があるだろう。映画中で特に印象的だったのは、中佐が家庭で家族と食事中に、子供から「パパ」と呼ばれる が気づ かない。しかし、子供が「中佐」と呼ぶと我に返るのだ。軍にどっぷりと浸かった兵士に、普通の日常はないということなのか。
 また、中佐は前線勤務を解除され、ペンタゴン(国防省)勤務となり、女性大尉の名誉勲章授与のための調査を命じられるが、大尉の元部下の証言を得るにつ れて一つの謎が深まっていく。この謎解きは、同じ映像 を用いながらも、登場人物や台詞を変えることによって、異なったシチュエーションを作り上げる手法を用いているのが斬新で、ぐいぐいと映画に引き込まれて いく。
 これらの微妙な精神描写は、中佐を演じるデンゼル・ワシントンのいぶし 銀の演技によって、見事に際立たされている。デンゼル・ワシントンでなければこれほどの名作にはならなかったかもしれない。
 
 登場する兵器類は、湾岸戦争で一躍名を馳せたM1A1エイブラムス戦車やUH-1ヒューイヘリ、A-10サンダーボルトなど。特にエイブラムス戦車の夜 間戦闘シーンは圧巻だ。暗視サーマルを用いた近代戦術の様子と、逆にそれを故障で失った混乱が印象的だ。ヒューイヘリで の戦闘シーンは、まあそこそこ。
 なお、サーリング中佐の所属だが、パッチを見てもよくわからなかった。女性パイロットのウォールデン大尉は、第18空挺軍団第44医療旅 団と思われるパッチをつけている。ヘリクルーのイラリオ達も同じパッチなので、第82空挺師団と行動を共にする医療部隊であることがわかる。なお、ヘリに 同乗の射撃手モンフリーズ軍曹は「オールアメリカン」の第82空挺師団のパッチをつけている。射撃手として混成されたことがわかる。

 全般に、ストーリーが卓越した映画だといえるだろう。戦争映画としても、指揮系統や作戦実行時の様子がリアルに描かれているので、なかなか興味深い。こ れを演じた名優デンゼル・ワシントンによって完成度が高められた名作だ。

興奮度★★★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★
感涙度★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1991年に勃発した多国籍軍による、ク ウェート占領イラク軍に対する「湾岸戦争」の最中、M1A1エイブラムス戦車(第1機甲師団?)で戦車隊を指揮 するサーリング中佐(大隊長クラス?)は、イラク軍攻撃の最中に、「サーマル(暗視装置)」の故障で味方戦車を敵戦車と誤認して攻撃、部下のボイラー中尉 を戦死させてしまう。ワシントンに戻り、サーリング中佐は査問を受けるが、上司であるハーシュバーグ准将は、事件を表沙汰にせずもみ消すよう工作し、サー リング中佐には名誉挽回のため、ペンタゴンで名誉勲章授与者の調査任務につかせる。だが、中佐は悔悟の念から真実を語れない事態にいらだちを感じ、酒にお ぼれていく。
 名誉勲章授与候補者は女性救助ヘリパイロッ トのウォールデン大尉であり、部下の命を助けるために戦死した功績を称えられたものだった。
 ウォールデン大尉は救助ヘリ、ヒューイのパ イロットで、補給班ヘリが墜落し、イラク兵に囲まれているところへ救助へ向かう。イラク軍のT-54戦車を燃 料ポッドで破壊するが、敵弾を受けて自らも墜落。イラク兵の襲撃を撃退しながら一夜を明かし、翌日AH-1ヒューイコブラ、A-10サンダーボルトが救援 にやってくるが、部下を助けている最中に大尉は戦死したのだった。

 サーリング中佐は、ウォールデン大尉機のク ルーである、副操縦士レイディ、衛生兵イラリオ、第82空挺師団のモンフリーズ軍曹、アルタマイヤーの証言を 取る。レイディは負傷のため記憶がない。イラリオは大尉は勇敢であったと証言。しかし、モンフリーズ軍曹は大尉が恐怖で怯えていたと証言。さらに、補給班 が最期に聞いたM16ライフル銃の発射音を巡って疑惑が生まれる。准将やホワイトハウス広報官は、マスコミネタとして女性初の名誉勲章授与者誕生を急いで いるが、サーリング中佐は准将の制止を振り切って調査を続ける。
 調査の結果、浮かび上がってきた事実は、 ウォールデン大尉はモンフリーズ軍曹に撃たれた上、現場に残されてきたということだった。モンフリーズ軍曹は自 殺し、イラリオも重い口を開く。
 ウォールデン大尉は名誉勲章を受けるが、授 与式の場にサーリング中佐はいなかった。ボイラー中尉の両親に真実を打ち明けに行っていたのだ。

(2004/11/25 2010/6/4一部修正)