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「友情の翼」 評価★★ アイルランドが舞台とネタはい いのだがなあ
THE BRYLCREEM BOYS
1996 イギリス 監督：テレンス・ライアン
出演：ビル・キャンベル、ガブリエル・バーン、ジーン・バトラーほか
１０７分 カラー
この映画の珍しさは第二次世界大戦ものだが、アイルランドが舞台となっている点だ。アイルランドはご存じの通りイギリスの北方にあって、第二次世界大戦 中は中立を保っていた国。我々から見ると、イギリス人もアイルランド人も見分けがつかないのだが、彼らの間には９００年来の長い憎悪の歴史があるのだ。イ ギリスの支配とアイルランド独立戦争、そして近年までの北アイルランド紛争と落ち着くことのない地域なのだ。「マイケル・コリンズ」や「ナッシング・パー ソナル」などアイルランド系の映画はあるが、第二次世界対戦を対象にしたのはこの作品だけだ。
さて、映画はイギリス空軍に志願したカナダ人パイロットとドイツ軍パイロットがともにアイルランド国内で不時着し、捕虜収容所に入るところから展開す る。アイルランドは中立を保つために、連合国側も枢軸国側も同様に捕虜として扱うことにしていたのだ。しかも、同じ収容所に収容するという公平さ。加え て、捕虜収容所とはいえ、本国からは給与も支給される上、日帰りの外出も自由となっている。
この両国の捕虜達は反目しあい、事あるごとに対立するが、カナダ人パイロット（マイルス）とドイツ軍パイロット（ルドルフ）も例に漏れない。そのうち、 連合国側捕虜は脱走を図る。その頃には二人のパイロットの間に不思議な友情が芽生えてくる。
と言った感じなのだが、出てくる人間性に難があるため、どうも見ていてすっきりしない。まず、カナダ人パイロットのマイルスはとにかく性格悪い。あまり に子供じみた性格に辟易とする。対するドイツ人パイロットのルドルフは伯爵格であり極めて礼儀正しく人情派なのだ。あまりの両者の出来の違いは極端過ぎや しないかな。見ている側がかなり贔屓目になってしまうので、ストーリー展開にちょっと影響してくる。また、こういう映画はすぐに女性をからめてくるのだ が、本作品もご多分に漏れず、アイルランド娘？マティの争奪戦を二人が繰り広げる。というか、ルドルフは端から参戦していないのにマイルスが勝手にいきり 立っているのだが。これはこれでいいが、すぐに寝てしまうのは理解しがたいな。マティなぞは下着一枚になって要は誘っているとしか思えない行動が目に付 く。こういった尻軽さは映画を軽薄に仕立て上げる原因だと思うんだがなあ。欧米人にはこれでいいのか。
という訳で、題材はいいのに全体のストーリーにややまとまりが欠けているという評価。エンドの展開もあんまり面白くないなあ。ＤＶＤ未発売なのも何とな くわかる。
(2004/04/05)
興奮度★★
沈痛度★★
爽快度★★
感涙度★
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