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戦争映画の一方的評論
 
「セイヴィア」 評価★★★★ ボスニア紛争における人 間性の喪失
SAVIOR
1998アメリカ 監督:ピーター・アントニエビッチ 
主演: デニス・クエイド 
103分 カラー
(2002/12 スカパーAXNチャンネルで視聴)

 1993年のボスニアが舞台。旧ユーゴスラビア連邦の一部、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国は独立したが、内部はクロアチア人、ムス リム人、セルビア人の3民族が対峙する結果となっている状況である。フランスに駐留していたアメリカ兵(ギイ)がイスラム過激派に妻子を爆死され、復讐? のため、精神が壊れたのか、フランス国内のモスク内のアラブ人を皆殺しにしたあげく、フランス外人部隊に入り、ボスニア紛争に参戦する。イスラム派(クロ アチア人)と対峙するセルビア軍側につき、冷血のスナイパーとして子供でも容赦なく殺害する。(ただし、史実ではアメリカや国連は本来セルビア人を非難し ている)
 その後、ひょんなことから敵側(ムスリムと呼んでいる)の子を生んだセルビア人の女(ヴェラ)と逃避行をすることとなり、赤ん坊を救うという使命から段 々と人間らしさを取り戻すというストーリー。ウエルカム・トゥ・サラエボとも似てると言えば似ている。
 まず、この作品はかなり重い題材を扱っている。内戦、宗教戦争、虐殺、レイプ、人種差別。紛争当事者のどちらが悪いということは関係ない。家族を殺され た恨みから出る狂気の非人間性が全面に出ている。人間が虫けらのように殺されていく。ユーゴ出身の監督だけあって、このへんをいとも簡単に淡々と描いてい く。平和ぼけした日本人の倫理観からは到底理解し得ない絵柄である。
 最近になってようやく紛争の虐殺やレイプがあったことが報道されるようになっているが、実際もひどい状態であたことが予想される。特に、かけややハン マーで頭を粉砕する虐殺シーンなどは、実際の報道でも見聞きしたことがあり、映像化されると身震いしてしまう。救いはレイプシーンがないこと。
 このような中、殺戮に没頭していた主人公が、民族の面汚しと家族から家を追われたうえ、産み落とした子供の面倒を見ない母親ヴェラを引き連れ、子供の世 話をしながら、わずかな人間性を取り戻していくのだ。母親役の女優はばりばりの地元人で美人というか、独特の顔立ちである。個人的には白いタイツが暖かそ うでとても印象的なのでした。授乳シーンで、何回か乳を露にするのですが、本当の授乳シーンは違う人でしたね(爆)。ただ、せっかく子育てする気になった のに、あっと言う間に殺されてしまうのは余りに無惨。開いた口がふさがりませんでした。このあたり、勧善懲悪ものではないリアリティがあります。
 あとは、赤ちゃんがいい演技してます。残虐性の中に新しい命が育つ希望が見えます。ちなみに、赤ちゃんは4人が分身の術を使っていたらしいです。
 とにかく、見た目の「エグさ」はさほどでもありませんが、ストーリー性の残虐性がいやというほど味あわされる映画です。途中で出てくるクロアチア人とセ ルビア人の老夫婦が言う「もとはひとつだったのに。意味のない戦いだ」的な言葉がとても印象深いものです。
 できれば、背景のボスニア紛争などを学習しておくとわかりやすいかも。

(2003/02/07)

 興奮度★★
 沈痛度★★★★★
 爽快度★
 感涙度★★

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