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戦争映画の一方的評論
 
グリーン・ドラゴン 評価★★ アメリカに移住したベトナム難 民の苦難
GREEN DRAGON
2001 アメリカ  監督:ティモシー・リン・プイ
出演者:パトリック・スウェイジ、フォレスト・ウィッテカー、ドン・ズオン、キャスリーン・ルオン
ほ か
115分 カラー 

 

 ベトナム戦争の最中から始まった南ベトナム人(自由主義陣営)難民を扱ったヒューマンドラマで、アメリカのペンドルトン難民一時キャ ンプが舞台となっている。アメリカ軍は共産北ベトナム軍の南 侵事態に介入し、南ベトナム軍の支援を行っていたが、1975年4月30日についに南ベトナムの首都サイゴンが陥落する。劣勢にまわった南ベトナムの人民 は早くからアメリカ等への外国に難民として脱出したが、その多くはアメリカ関係者と縁のあるものや富裕層だった。取り残された南ベトナム人の知識階級や富 裕階級の人々の多くが、無惨に惨殺された事は周知の事実だが、本作は命からがら逃げ出した難民の苦渋と不安の気持ちを如実に表現したものとなっている。そ の苦渋と不安の気持とは、国を見捨てて逃げ出した事への後悔、羞恥心のほか、失われた祖国への郷愁、そしてこれからアメリカで生きていかねばならない不安 なのである。

 監督はベトナム人であり、まさに彼らベトナム難民の気持ちを代弁するのにふさわしい人物である。しかし、作品として見た場合、余りに 感情移入しすぎているのか、行動等を理解するのにかなり難解な部分も多い。ベトナム人にしかわからない感情や、難民という独特の環境での感情は、いささか 刺々しい感じすらあ る。役者にはアメリカ人の名優も起用しており、ヒューマンドラマとしてのチープさはない。しかし、あくまでベトナム人中心のため、アメリカ人俳優の演技が 完全には生きていない感がある。また、人間関係の複雑なパズル的つながりや、複数設定された主題となる家族の多岐にわたる悲劇的トピックスや隠しネタ的ト ピックスなど、ドラマ部分の設定があまりに凝りすぎてい て疲れる。あれもこれも盛り込みすぎ。加えて、比喩的な表現まで用いるものだから、見ていて脱落する人も多いのでは。
 複雑に錯綜するヒューマンドラマの中で、良かったのはウィッテカー演じる黒人コックと母親を探し続けるベトナム人少年ミンの関係。言葉の通じない中、 ホットな関係は心温まるのだが、ここでも悲劇が用意されているのにはちょっと辟易。この他、キャンプ責任者でベトナム戦で弟を失ったランス一等軍曹、裕福 な夫婦とお妾さん、リトル・サイゴンを作ると希望を持つドゥク、戦死者の供養に没頭しながらもベトナム唐辛子を栽培する元将軍、親兄弟のため祖国に戻るといきり立つハイ、そし て主人公タイと恋仲になる将軍の娘トゥイ、など実に多彩な人物や関係が個性的に描かれているが、いずれも無駄に複雑で、その場面での必然性に乏しく、全体 的な盛り上がりに欠けてしまっている。
 先にも述べたが、本作は比喩表現や対比印象表現を多く用いている。叙情詩的な映画作品としての品格を形成する上で、効果的な役割を果たしているとは思う が、ただでさえ複雑で難解な人間関係を主題にしたドラマの場合逆効果のような気がする。ストレートに表現してくれない事にかなりのストレスを感じた。言っ てみれば謎解きヒューマンドラマといった感じか。
 
 アメリカ映画だけどベトナム映画的。アメリカ映画っぽいベトナム映画と言った方がいいかな。それだけ、洗練されているようなされていないような微妙な感 じ。海外映画評などでは、感動映画だという評もちらほら見かけるが、うーん、私には響かなかったなあ。どちらかというと、難民のエゴというものが目に付いてしまって共感でき ず。もっと身近な立場の人ならば感動できるのかもしれない。そう言う辺りが、ベトナム人向けの映画なのかなと思わせる。
 なお、完全に難民キャンプ中心の話なので、戦争映画の部類には入らないかもしれない。ただ、冒頭にベトナム戦記録映像が少量挿入されてはいる。


興奮度★★
沈痛度★★★

爽快度★
感涙度★

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 (以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1975年4月、アメリカのペンドルトン難 民キャンプに、南ベトナムを脱出してきた難民が収容される。その中に、母と別れ別れになった少年ミンと妹のアインがいた。ミンは母が探し回るが見つからな い。そんな姿を叔父のタイは寂しげに見守る。友人のドゥクはお調子者で、すでに黒人コックのアディと知り合いになっており、物資の調達にいそしんでいる。 将来はアメリカにリトル・サイゴンの街を作るのだと張り切っている。
 南ベトナム軍と米軍は日に日に劣勢に陥っており、カンボジアではクメール・ルージュの虐殺が開始された。ベトナムに親兄弟を残してきたクワン・ハイはベ トナムに戻って戦うといきり立つ。
 ベトナムで裕福だったある夫婦は今や何も残されていなかった。しかし、夫は連れてきた妾と夜な夜な逢い引きを繰り返し、夫人は怒りまくっていた。その妾 は田舎の出身で、実はドゥクの元恋人だった。再会したドゥクは一緒になろうと声をかけるが、彼女は首を振らない。
 少年ミンはコックのアディと仲良くなる。言葉は通じないが、マイティ・マウスの漫画を通じて心を通わせていく。アディもまた孤独の身であり、二人は壁に 絵を描くようになる。
 キャンプには南ベトナム軍の元将軍がおり、元部下から吊し上げを受けている。それでも黙々と戦没者の供養をしながら、植物に水をあげて育てている。その 娘トゥイは縫い物をしているが、タイはトゥイに想いを寄せ始める。タイは将軍から義兄(ミンの父親)のクオン大尉がスアンロックの戦いで戦死した事を聞く が、ミンに伝える事が出来ない。
 タイは英語が出来る事からキャンプの責任者ジム・ランス一等軍曹から管理人を任せられ、キャンプで英語を教えていた。
 1975年4月30日、ついに北ベトナム軍がサイゴンに無血入城を果たし、元将軍は自殺を図る。悲しみにくれるトゥイに求婚するタイだが、トゥイは首を 縦に振らない。また、トゥイに父が死んだのはアメリカが裏切ったせいだと詰め寄られたランス一等軍曹は、タイにベトナム戦争で死んだ弟の話をする。彼もま たベトナム戦争の傷を負っていたのだ。
 ミンは将軍の亡き後も植物に水をあげ続ける。その植物はアメリカにはないベトナムの唐辛子だった。しかし、仲の良かったアディは病気で死んでしまう。
 ドゥクは身元引受人が見つかり、キャンプを出る事になる。元恋人の妾を連れて行こうとするが彼女はついて行かない。さらに、タイは身元引受人が現れても キャンプを出ようとしない老婆をランス一等軍曹が強制的に退出させたのを機に、管理人を辞する。殺伐とした雰囲気になる中、ランス一等軍曹はタイを外部の 街に連れ出す。そこには大きな家と高級外車が走り回る風景があり、タイはキャンプでそのことを伝え、次第にアメリカ社会に出ようと言う気運がキャンプにみ なぎってくる。そしてトゥイがついにタイの求婚に応じ、二人は結婚する。そこにタイの弟が難民ボートで脱出してきて、姉(ミンの母親)が ボート脱出中に死んだことを伝える。タイはミンにそのことを伝える事ができなかったが、キャンプを出る事を決意する。夢と希望に満ちたタイらがキャンプを 出た後、ランス一等軍曹はタイの乗っていた自転車にまたがって走っていく。

(2007/02/20)

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