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戦争映画の一方的評論
 
「バトルライン 評価★★☆ 名誉の意味に翻弄される英軍士官
SWORD OF HONOUR
2001 イギリス  監督:ビル・アンダーソン
出演者:
ダニエル・クレイグ、ミーガン・ドッズ、リチャード・コイル、ロバート・パフほ か
192分 カラー 

 
 原作はイヴリン・ウォーの小説「SWORD OF HONOUR」で、約3時間のテレビムービーとして製作されたもの。原作は半自叙伝とも評されるもので、ある程度は史実に基づいているらしい。映画は、第 二次世界大戦時に35歳という兵士としては高齢にも関わらず志願した、イギリス士官クラウチバック大尉を主人公に、タイトル原題にもあるとおり、名誉とは 何かをメインテーマに進んでいく。ただ、純朴で勇敢なストーリーとはほど遠く、元妻である恋多き女性をはじめ、欲や悪に駆られた多くの兵士が多数登場し、 戦時における名誉や道徳といったものを深く考えさせる作りとなっている。シリアスでありながら、コメディ部分も多分に盛り込まれ、さらにはストーリー全体 としてはサスペンス的な謎解きまでも含む、複雑な展開をする。
 確かに一貫してクラウチバック大尉の持つ名誉感が映画の根底にあるのだが、あまりにも多彩で複雑な 人間関係は混乱をきたす。加えて、映画の舞台はクラウチバック大尉が入隊するところから始まり、西アフリカ、アイルランド、クレタ島、ユーゴスラビアと実にめまぐるしく移動するにもかかわらず、
時 系列、戦史的な解説はまるでないので、 何が起こっているのかわかりづらい。一つ一つのエピソードにしてもかなり端折られた編集で、展開としては唐突で突飛な印象が強い。早いテンポで断片的、ブツ切りに話しが進んでいくので、全体的なバランスはかなり悪い感じ。与えられたテーマやエピソード自体は面白い だけに、あれもこれも盛り込んでしまったというのはもったいない。オチだけはしっかりあるというのも、ちょっと寂しい。テレビムービーだから仕方ないの か。

 登場人物は実に個性的。唯一道徳的でシリアスなクラウチバック大尉とその家族を除き、他の登場人物はそれぞれ破天荒な欲に溺れていく。
中でも、複数の男 たちを翻弄する魅惑の女性ヴァージニア、怠惰でありながら英雄に祭り上げられていくトリマー(大尉から大佐に昇進)、謎多き小説家ルードヴィック(伍長か ら少佐に昇進)、最前線での戦闘に固執し突進してしまうリッチー=フック准将、腰抜け指揮官のハウンド少佐などは印象的。このほかにも多数の個性的人物が 登場し、ちょっと脚色しすぎではないかと思うくらいの個性派ぶりだが、それはそれで面白い。さらに、それらの人物が裏で密かにつながっていたりという、サ スペンス的な読みも楽しめる。ただ、ちょっと描き方が浅いのが残念だが。
 クラウチバックは敬虔なカソリックで、貴族の出身という設定。
まわりの人間が悪を利用し出世していく中、一人取り残される主人公の姿は道徳観の化身でもある。35歳で軍に志願するほどくそ真面目なわけだが、演じる役者のダニエル・クレイグはちょっと役不足か。もう少し貴族的なオーラが欲しかった。一方、元妻のヴァージニア役ミーガン・ドッズは、 お色気たっぷりだが超尻軽な設定。イギリス人女性といえば貞操硬そうなイメージがあるのだが(最近はダイアナ元妃の件もあるので崩れつつあるけど)、どの 映画でもアメリカ人以上に貞操感がなく描かれているのは、やっぱり英国貴族文化とはこういうものだということなのだろう。

 撮影はどこでされたのかわからないが、基本的には英国内なのであろう。大規模なセットを用いている様子もないが、それぞれの国の雰囲気を良く出している。テレビムービーにしてはかなり頑張っている方だ。
 登場する兵器類は多くはない。航空機では合成映像のスツーカ爆撃機のほか、実機のC−47スカイトレイン輸送機が出る程度。このあたりは金をかけていな い。興味深かったのはV1飛行爆弾が上空を飛ぶシーン。もちろんCG合成だろうが、独特の唸り音を響かせて飛んでいく様はレアだ。

 全体としては、描かれているエピソード自体と、根底に描かれた名誉の意義というテーマ性はかなり面白い部類。しかし、ストーリー展開があまりに早すぎて、じっくりと味わうことができないのが最大の難点。ちょっと消化不良感を感じる作品だ。

興奮度★★★
沈痛度★★★

爽快度★★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

  イタリアにいたイギリス人のガイ・クラウチバックは、戦局の悪化をみて軍に入隊して祖国に尽くすことが名誉と考え、本国の有力軍人に手紙を送る。しかし、 35歳という年齢から芳しい返事はもらえずにいたが、知人の将軍の紹介で新しく結成された旅団のハルバルディア連隊に入隊することが出来た。新士官として 訓練を受けるクラウチバックだったが、トリマー、アンソープら他の兵士たちはまるでやる気がなく、トリマーは除隊処分にされる始末だった。
 クラウチバックには元妻のヴァージニアがおり、ヴァージニアはその後友人のトム・ブラックハウス大佐の妻となり、現在はトロイの妻だった。クラウチバックはヴァージニアと再会し、性急に体を求めるが冷たくあしらわれる。
 いよいよ訓練期間が終わり、大尉となったクラウチバックはいかにも軍人らしい豪快なリッチー・フック准将に認められ西アフリカの特殊作戦に実戦参加す る。その隠密上陸偵察作戦でリッチー准将の無謀な突撃によりクラウチバックは責任を取らされて本国に送還されてしまう。その際、病気に冒されたアプソープ に酒を渡したことでアプソープは死亡してしまう。
 しかし、特殊任務での功績を認められ、クラウチバックはスコットランドのマグ島に駐在するブラックハウス大佐の特別奇襲隊への転属命令が出る。そこに は、あのトリマーがマクダヴィッシュと名を変えてスコットランド連隊の砲兵指揮官として潜り込んでいた。広報担当のイアンは庶民兵士の英雄を求めており、 クラウチバックは適当にトリマーを推薦する。そのトリマーは豆鉄砲作戦の指揮官としてポーツマス上陸作戦を行うが、誤ってフランスに上陸し、図らずも鉄道 爆破という功績をあげる。その結果、トリマーはイアンによって英雄に仕立て上げられていき、旧知だったヴァージニアに熱を上げ始める。また、連隊にはアイ ヴァー・クレア少尉という狡賢な男がおり、将軍の妻の愛人でもあった。
 旅団はクレタ島上陸作戦に参加することとなり、特別奇襲隊は本隊の支援にあたることとなっていたが、ブラックハウス大佐が負傷し、急遽副官のハウンド少 佐が指揮官となる。ハウンド少佐は欲の固まりのような男で、かつ小心物だった。上陸後も的確な判断ができず、クラウチバックが事実上の指揮をとっていた。 クレタ島のイギリス軍はドイツ軍の反撃を受け、撤退を余儀なくされる。特別奇襲隊はハルバルディア連隊とともに後衛を命じられる。クラウチバックが小説家 のルードヴィック伍長とともに前線の状況把握している間にハウンド少佐は勝手に撤退し、ルードヴィック伍長も姿を消す。ルードヴィック伍長はハウンド少佐と同じ理由で戦線を離脱したのだが、脱出船乗船の便宜を図ってもらえなかったことから少佐を射殺してしまう。
 クラウチバックらの特別奇襲隊は海軍の艦船が先に撤退してしまうことから、ドイツ軍に投降するよう命令書を受ける。しかし、クラウチバックは海岸でボー トでの脱出を決意し、海岸で合流したルードヴィックら数名の兵とともにアフリカを目指して出発する。炎天下のもとクラウチバックは意識朦朧となるが、ルー ドヴィック伍長は仲間を次々と殺害し、ボートには二人きりになっていた。ルードヴィック伍長はアフリカにクラウチバックを上陸させ、再び姿を消す。カイロ の病院に入院したクラウチバックは、クレタの海岸に残ったはずのアイヴァー少尉が帰還したことを知る。どうやって脱出したのか、訝しがるクラウチバック だったが、愛人の将軍の妻がそれをもみ消す。
 本国ではトリマーが大佐に昇進し、ヴァージニアと交際していた。ヴァージニアはトリマーが好きになれずにいたが、生活の安定のために仕方なくつきあっており、妊娠までしてしまう。思い悩むヴァージニアはアメリカに移住しようと言うトリマーから離れることを決心する。
 傷の癒えたクラウチバックは本国に戻り、再び特別奇襲隊に所属するが、その司令官はなんと少佐に昇進したルードヴィックだった。「死の願望」という小説 を書いていたルードヴィックはクラウチバックに会うことを極度に恐れていた。そのクラウチバックは降下訓練で足を負傷してしまう。さらに父親が死去し、莫 大な財産を受け継ぐこととなる。そんなクラウチバックのもとにヴァージニアが訪れる。ヴァージニアがトリマーの子を妊娠していることや、財産目当てである ことを知りながらもクラウチバックは結婚を承諾する。
 クラウチバックはユーゴスラビアのベゴイに飛び、共産主義者であるユーゴパルチザンへの支援任務につく。パルチザンの国務大臣は実に横柄であったが、連 合軍の勝利のためには協力を得る必要があった。そんな中、イタリアの収容所にいたユダヤ人が送られてくる。ユダヤ人をイタリアに戻すよう働きかけるクラウ チバックだったが、国務大臣はユダヤ人の電気技術者夫妻を利用するため許諾しない。さらにアメリカ軍スピッツ将軍がパルチザン支援可否のための視察に訪れ る。随行者の中には広報官イアンやリッチー准将の姿もあった。ドイツ軍小要塞の攻撃作戦でリッチー准将はパルチザンに先駆けて単身攻撃粉砕するも戦死す る。その勇敢な姿をパルチザンと誤解したスピッツ将軍は支援を決定するが、事実を知っているクラウチバックは何も語らなかった。
 本国ではドイツ軍のV1飛行爆弾がロンドンを襲っていた。ヴァージニアは相変わらず優雅な生活を送っていたが、子供も生まれ、クラウチバック家の嫁として認められつつあった。しかし、ヴァージニアとクラウチバックの叔父は爆撃で即死してしまう。
 転属したクラウチバックは国務大臣にユダヤ人を帰すよう電報を打ち続け、ようやく解放される。しかし、絶対に帰すと約束した電気技術者夫妻は反逆罪で投 獄されたと聞き怒りを覚える。そのカイーニ夫人が語った「善人も人殺しを好む」という言葉をかみしめながら、名誉とは何かを悟るのだった。
 戦後本国に戻ったクラウチバックはヴァージニアの残した息子を抱きしめるのだった。


(2007/05/09)

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