「君の帰る場所/アントワン・
フィッシャー」 評価★★★★☆ 海軍兵士の精神的成長
ANTWONE FISHER
2002 アメリカ 監督:デンゼル・ワシントン
出演:デンゼル・ワシントン、テレク・ルークほか
120分 カラー
戦争映画のジャンルよりは、ヒューマンドラマのジャンルに近いが、舞台が空母勤務の兵士という点で取り上げた。従って、ほとんどミリタリーらしさは出て
こないが、唯一空母が出てくること、一応艦内らしき映像が出る点がミリタリーらしさだ。これは、実話の映画化でソニーピクチャーズで警備員をしていたアン
トワンがプロデューサーに語った半生を自伝にしたものである。
ストーリーは、父親に死別、母親には刑務所で産み落とされそのまま捨てられたアントワン3等兵曹(のちに1等水兵に格下げ)の話だが、とにかく喧嘩ぱや
くすぐにカッとなる性格のため、軍の精神科医ダベンポート中佐に診療されることになる。しかし、最初は何も語りたがらないアントワンだが、次第に中佐にそ
の生い立ちを話し始める。養母の暴力、義理の姉の性虐待など。話すことによってアントワンは徐々に落ち着きを取り戻し、同じ水兵の彼女もできるようになっ
た。しかし、彼の深い傷はそれだけではなかっ
た。アントワンはダベンポート中佐なしには生きていけない状態なのだ。中佐は、自分の母親探しの旅に出ることを勧める。そして、彼女と共に母親と父親の家
族探しが始まる。
アントワンが精神的に変わっていく様がひとつの見所だが、ダベンポート中佐の家庭が修復されていったり、彼女の助けがどんなに効果的なのかなど、実にさ
まざまなエピソードが織り込まれており、その一つ一つが重要な意味を持っている。アメリカ映画に出てくるラブシーンもあることはあるが、この映画の場合は
そのシーンが極めて重要なポイントとなっている。前半のどうなるのだろうというハラハラ感から後半の感涙場面の転換は見事だ。特にラストのシーンはハンカ
チは必需品となる。
ちなみにこの映画の監督はダベンポート中佐役のデンゼル・ワシントンが行っている。主役のアントワンは新人のテレク。ワシントンの重厚な演技にテレクの
新鮮な演技が実にマッチしている。久しぶりに感動した。。。
なお、苦言を呈するならば、最後の方でアントワンがちょっといいこぶりっこ過ぎるかなという印象。
(2004/04/19)
興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★★
感涙度★★★★★
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