「ブラックホーク・ダウン」 評価★★★★★
ソマリア紛争に介入した米海兵隊の孤立
2001 アメリカ 監督:リドリー・スコット
出演:ジョシュ・ハーネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモアほか
145分 カラー
(2002/04 映画館で視聴)
全米大ベストセラーとなった話題作で、1993年10月3日、ソマリ
ア紛争に介入した米軍の失態を
描いた映画。武装組織アイディド派の幹部を拉致するためソマリアの首都モガディシュに米軍特殊部隊が空挺降下。一時間ほどで終わるはずだった作戦は、ハイ
テク装備のブラックホーク・ヘリ2機が墜落し、ひどく混乱する。孤立する米軍と迫り来るソマリア人。その回収と救援のためにやってくる車輌部隊もひどく攻
撃され、道を誤るなど混乱をきたし、負傷者は増え続ける。刻々と事態は悪化し、水や食料、弾薬の不足に苦しむ米軍は絶対数に勝るソマリア人に追いつめら
れ、必死の脱出を図る。
戦闘シーンは最初から最後まで息を飲むばかり。特に、近代戦ならでは
のハイテク機器の迫力はすさま
じい。ブラックホーク(攻撃ヘリ)のみならず、人に向けてソマリア民兵が放つロケットランチャーは身の毛もよだつ恐ろしさだ。いたるところにいるソマリア
兵に強者の特殊部隊も顔がこわばるのがよくわかる。戦闘シーンは極めてリアルに描かれ、ヒーロー映画などに特有の主人公は弾に当たらず、一発必殺的ないい
加減さはない。敵も味方も公平である。
近代兵器の象徴、ブラックホークはいとも簡単に墜落する。心強い味方であったヘリはパイ
ロットが取り囲ま
れ、孤立し逆にお荷物となる。
特に、車両部隊の戦闘シーンはリアルで手に汗握る。良くありがちな運転手は弾に当たりませ
んということは
なくて、しっかり当たる。装甲車内だって撃たれて死にます。建物の上から撃ってくる敵にどうすりゃいいんじゃい。どこに行っても蜂の巣をつついたように敵
が撃ってくる。手に取るように車両部隊の混乱がわかります。
映画内には数人のヒーロー候補はいます。しかし、勇気があるのであって神ではない。兵隊の
恐怖と苦悩がほ
んとに良く伝わってきます。早く国連軍が助けに来て欲しい。
結局翌日まで、味方は助けに来ません。しかも、一部の隊員は撤退時に車両に乗せてもらえ
ず、徒歩での撤退
です。夢の中でおばけに追いかけられて、足が思うように動かないのと同じようになんとももどかしいシーンです。
最後の最後まで見応えがあります。WW2やベトナム戦にはない近代戦の緻密さと冷酷さがあ
ります。人海戦
術はありません。根性論もありません。お涙シーンはありませんが、究極の場面での戦友だけが得る信頼関係はしっかりと描かれています。しばらくは椅子に
座って放心状態でした。これは見るべし。
(2002/12/09)
興奮度★★★★★特
沈痛度★★★
爽快度★★★
感涙度★
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