オンラインDVDレンタル ぽすれん

 
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!

かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「激動ヨーロッパ戦線 〜ファシズム、ムッソリーニの野望〜 評価★★★★ 国家の大義に翻弄されるイタリア人青年たちの友情
LA GUERRA E FINITA
2002 イタリア  監督:ロビドコ・ガスパリーニ
出演者:アレッサンドロ・ガスマン、トニ・ベルトレッリ、バーボラ・ボブラヴィ、ペッペ・フィオレオ
ほ か
200分 カラー 

 
DVD検索「激動ヨーロッパ戦線」を探す(楽天) 
  イタリア人青年の親友同士が、混乱する戦火の中、枢軸国ドイツ側と連合国レジスタンス側に別れて戦う羽目となるヒューマンドラマ。発売は彩プロで、表題はご覧の 通りだし、キャッチコピーは「ヨーロッパ戦線拡大を枢軸国側からリアルに描写」となっている。いかにも軍事的なリアル描写が期待できそうだが、毎度のこと だが騙されてはいけない(笑)。本作は確かにイタリア視点による第二次大戦なのだが、むしろドイツという強国に翻弄される弱小国のイタリアの悲劇を描いた ものであり、強者か弱者か、正義か悪かといった国家の大儀すらままならないまま、戦火に振り回されていくイタリア人の姿が切々と表現されている。イタリア と言えば、日独伊の枢軸国として参戦したことで知られるが、時の独裁者ファシスト党党首ムッソリーニの国内人気はさほど高くなかったのが実情であった。 従って、開戦当初から国内には反政府的組織も根強くあったし、士気の低いことで悪評高いイタリア軍にやる気がないのも致し方ない部分もあったのだ。

 本作はイタリアのテレビムービー。200分という長編ながら中ダレすることなく、開戦からドイツ敗戦までを、飽きさせないエピソードでしっかり描ききっ ている。長期間にわたる内容なので、ストーリーが若干飛ばし気味な傾向はあるが、時系列的に押さえてあるので理解しやすい。背景となる戦史もド イツ軍側、連合軍(レジスタンス)側ともに公平に描いてあるので、映画自体のバランスとしては結構良い出来といえる。
イタリア戦争物と言えば、どちらかというとドイツ軍に支配されたという、被害者意識的なものが多いのだが、本作は被害者的な一面を描きつつも、加害 者としての側面も描いているのが好感だ。イタリア人にも先鋒的なファシスト信者もいたし、反ナチス、共産主義者もいたことを描き、結局は国を愛すると言う ところに帰着するのは、どの国にも共通なことなのだと実感する。中でも、イタリア人によるユダヤ人狩り、レジスタンスによる暗殺、ナチ協力者の吊し上げなど、負の部分が描かれているのが良い。
 また、ヒューマンドラマながら も、ギリシャ戦線、ソヴィエト戦線の描写もあり、戦争映画として見た場合でもイタリア軍の置かれた状況をイタリア軍視点で見ることが出来るのが興味深い。欲を言えば、もう少しイタリア軍やレジスタンスの規範や構成体系などを説明してくれると有り難かったが。


 主役は男2人女1人の親友3人組。女性を巡る争奪愛と血の契りの友情が波乱とともに描かれるのだ が、男性はいかにもイタリアぽく女たらしの二枚目風。話し方や仕草からしてちょい悪風のイカス男だが、本当にイタリアにはそんなのしかいないのかとちょっ と妬ましくなる(笑)。ヒロイン役の美女はバーボラ・ボブラヴィで、やや性格きつめなのがイタリア女性らしく、セミヌードも披露しているのが見物。

 映像はビデオカメラによるものと思われ、鮮明な色合い。戦闘シーンのリアル感という点では今ひとつだが、自然風景や町中の風景としてはそれでも十分。戦闘シーンは潤沢な資金がなく、エキストラが雇えなかったと見え、ど んな場面でも敵も味方も小隊規模というのはいささか貧相。登場する兵器類にしても、ドン戦線でソヴィエト軍戦車としてシャーマン戦車が1台登場するのみ。 主人公エットレ中尉が手榴弾で爆破するのだが、戦車の炎上シーンは陳腐な合成。なお、エンドロールの協賛に「ニッサンイタリア」の名があったが、はて日産 車は出てきただろうか。クラシックカーは多数登場していたので、その供与でもしていたのかな。

 全体に脚本も良く練られていたし、ハラハラドキドキ、悲喜こもごものストーリー展開も楽しめた作品だった。ムッソリーニは野望どころか、ほとんど登場しないし、単なる悪玉だったが、イタリア国民の立場や感情を垣間見ることができる秀作であった。

興奮度★★★★
沈痛度★★★★

爽快度★★
感涙度★★

映画見るなら ⇒スカパー!初期費用無料
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!
古本市場】激安古本・CD・DVD・ゲームソフト販売買取
新刊書籍・雑誌・DVDジェイブック
新品DVD・家電
い〜でじ!! 


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

  イタリアの男子大学生、クラウディオ、エットレと女性ジュリアの3人は、気の合う親友だった。1940年6月10日、ムッソリーニは英仏に宣戦布告し、ベ ネチア広場ではファシスト学生同盟(GUF)の入隊活動が行われていたが、3人はクラウディオの父の車で海に出かけ、帰りにガス欠のうえ車をぶつけてしま う。それでも、3人は楽しく幸せだった。
 クラウディオ、エットレともにジュリアのことが好きで、クラウディオはジュリアをボートに誘ってキスを迫るも、ジュリアはどちらかを選ぶことなど出来な かった。クラウディオはそのことをエットレに打ち明け、二人はお互いに抜け駆けをしないことを誓う。しかし、3人で映画を見に行こうと約束した晩、クラウ ディオがやってこない。帰り道に軍服姿のクラウディオが現れる。クラウディオの父親も軍人であり、クラウディオは軍に志願したのだ。ジュリアは3人が離れ ばなれになることを危惧し、絶対に一緒にいようと血で誓うが、クラウディオは士官学校に入隊していく。
 1940年10月、クラウディオは士官学校を卒業し、前線に向かうことになる。手紙をもらっていたジュリアはクラウディオに惹かれ始めており、一時帰省 したクラウディオと夜を共にする。それを目撃したエットレは怒り、クラウディオとジュリアに絶交を宣言する。さらに、ジュリアはクラウディオの子を妊娠し てしまい、エットレに相談するも冷たくあしらわれる。世間体を気にするジュリアの母親は、ジュリアを田舎に追いやり、ジュリアはそこで子供マウロを出産す る。
 クラウディオはギリシャ・アルバニア戦線に出動し、激しい前線にいた。ジュリアとの音信も途絶え、ソヴィエト軍の攻撃に部隊は壊滅状態となる。クラウ ディオも瀕死の重傷を負い、病院に収容されるが、部下を失ったショックから記憶をなくしてしまう。とにかく、前線に戻りたいクラウディオは死体から軍識標 を盗み、ティレリ中隊長に化けて前線に戻る。ティレリ中隊長の遺品の中には妻と娘の写真が入っており、娘はジュリアと言った。1941年10月、ロシア戦 線で対峙するソヴィエト軍に対し、クラウディオはレコードとウオッカを交換する。
 ついにエットレも召集される。1942年10月、ドン戦線で中尉となったエットレはクラウディオを目撃するが、記憶のないクラウディオは行ってしまう。 そのエットレはソヴィエト軍の戦車と戦闘し、部下1名を残して全滅する。負傷したエットレは部下ジャーニを連れてドイツ軍の車両に助けを求めるが無視さ れ、部下は死亡する。
 クラウディオの部隊も退却を始め、途中の民家に立ち寄るが、そこで部下の1人が死亡する。その死を見たクラウディオはショックから記憶を取り戻す。「兵番0984554 戦闘区域第16区ガルビアッチ隊所属 ヴァルチ・クラウディオ」。
 田舎でひっそりとマウロと暮らすジュリアの隣人に大きな音声で反政府ラジオを聞く政治学者チェッキ教授がいた。反政府的な言動に反発するジュリアだった が、次第にムッソリーニ政府が間違っていることや、イタリア軍が敗退していることを理解し始める。何故、もっと政府の暴走を止めなかったのかと詰問する ジュリアに、チェッキは後悔の念を強くする。そのチェッキのもとにファシスト党の手が伸び、逮捕される。逮捕の間際、チェッキはジュリアに、妻とレジスタ ンス頭領のアルフレードへの手紙を託す。しかし、教授の妻はユダヤ人であり、手紙を届ける前に惨殺される。さらに、レジスタンスのアルフレードのもとに手 紙を届け、チェッキ教授が処刑されたことを知る。ジュリアは父母の反対を押し切ってレジスタンスに参加することを決意する。
 1943年9月9日、イタリアはアイゼンハワーに休戦を申し入れる。怒ったドイツはイタリア駐留を強め、レジスタンスによるゲリラ戦が市街地で頻繁に起 こるようになる。エットレの母親もまた市街戦で命を落とすが、そこでエットレとジュリアが再会する。レジスタンス参加を勧めるジュリアだが、エットレはそ れを断る。しかし、追われたジュリアを匿ったことから、エットレもまたファシスト党に目を付けられることとなり、レジスタンスに参加することを決意する。 二人はアルフレードの指示によりファシスト党員ジェラルカの暗殺支援を命じられる。ジェラルカとは実はクラウディオの父でありマウロの祖父で、ジュリアは 寸前に暗殺を止めさせようとするが、クラウディオの父は暗殺されてしまう。マウロの祖父を殺した罪に落ち込むジュリアをエットレは慰め、二人は次第に恋に 落ち、結婚する。
 クラウディオは、名誉のために戦うことを決意し、ドイツ軍側に所属するミラノのデチマ・マス師団「MAS」に参加する。クラウディオはドイツ軍にレジスタンス掃討を命じられるが、レジスタンスとMASの協定で干渉し合わないことになっており、それを拒否する。
 1944年4月、エットレとジュリアはロンバルディア州の山地に潜伏する。レジスタンスの一人ブレスキは個人的恨みから、協定を破ってMASの兵隊を殺 害してしまう。MASはレジスタンスへの報復を開始し、MASのモスケッティ隊長は民間人やレジスタンスを殺害し始める。クラウディオは嫌気がさして自殺 を試みるが、同棲しているアリーダに止められる。いよいよ連合軍がイタリアに上陸しはじめる。ジュリアとエットレはミラノに移動するが、その際の検問でク ラウディオが二人を目撃する。しかし、クラウディオは無言で二人を行かせる。
 1945年4月28日、連合軍がイタリアを解放。クラウディオと部下のドナーティは、軍服を脱いで逃げる。しかし、同棲していたアリーダはファシスト協 力者として髪の毛を切られて吊るし上げに会う。実家に戻ったクラウディオは父親がレジスタンスに殺され、母親も失意のま死亡したことを知る。秘密結社カル ボナリにアルフレードが黒幕であることを知らされたクラウディオは復讐を期するが、クラウディオ自身が警察から追われる身であった。
 ジュリアはエットレの子を妊娠し、出産する。クラウディオはエットレと再会し、ジュリアがクラウディオの子マウロを生んだことを知る。マウロに会わせろ というクラウディオに、エットレとジュリアは家庭を壊すなと抵抗する。クラウディオの剣幕に恐れたエットレはアルフレードに密告してしまう。ジュリアは検 問で命を救ってくれたのはクラウディオだと諭し、エットレも昔の友情を思い出し始める。しかし、アルフレードはエットレの部下ドナーティを殺害してしま う。追われたクラウディオはエットレの家に匿われ、クラウディオは「俺は裏切ったりしない、俺を撃て」と迫る。ジュリアは「憎しみを忘れて前を向くの」と 諭す。エットレはクラウディオを海外に逃がす手はずを整え、船に乗せる日マウロを連れてくる。「パパ」と呼んでくれるマウロに目を潤ませるクラウディオ。いつか3人でまた会う日を夢見てクラウディオを見送るのだった。


(2007/05/22)