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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「戦火の奇跡 ーユダヤを救った 男ー  評価★★★☆ 一世一代の大嘘でユダヤ人を救ったイタリア人
PERLASCA. UN EROE ITALIANO/PERLASCA: THE COURAGE OF A JUST MAN
2002  イタリア 監督:アルベルト・ネグリン
出演者:ルカ・ジンガレッティ、ジェローム・アンガー、アマンダ・ サンドレッリほか
200分(DVDは前後編) カラー 

 
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 第二次世界大戦時のハンガリーでナチスによるユダヤ人虐殺から多くの命を救ったイタリア人ジョルジョ・ペルラスカを描いたヒューマンドラマ。イタリア製 作のテレビムービーで、実話をもとにドラマ化したものののようだ。
 ハンガリーのブダペストに駐在していた商社マンのイタリア人ジョルジョ・ペルラスカは実在の人物で、訳あってスペイン領事になりすまして多くのユダヤ人 を保護したということだが、映画中のナレーションによれば1990年にTVで取り上げられるまではその存在が世に知られていなかったそうだ。1988年に ハンガリーのユダヤ人女性によって、パドヴァで暮らしているのが発見され、一躍脚光を浴びたのだそうだ。1992年に他界するが、イスラエルでは記念樹が 植えられている。「シンドラーのリスト」のオスカー・シンドラー、「日本のシンドラー杉原千畝物語 六千人の命のビザ」の杉原千畝と並ぶ、ユダヤ人救出劇のイタリア版ということだ。
 
 戦時下のハンガリーはドイツの圧迫を受けて枢軸国側につき、「矢十字党」という反ユダヤファシズムによってユダヤ人迫害が実行されていた。ドイツナチ党 のハーケンクロイツに似た矢十字のマークが印象的である。政権を取った矢十字党は、駐留するドイツ軍とともにソヴィエトを初めとする連合軍と戦い、 1944年12月にはソヴィエト軍による包囲「ブダペストの戦い」を迎えることとなる。映画中でも冷酷極まりない矢十字党は戦後戦犯として裁かれている。

 興味深いのは当時の国際情勢で、ハンガリーという国でドイツ人、イタリア人、スペイン人、ユダヤ人の置かれた環境の推移である。スペインは過去のスペイ ン内戦でドイツの支援を受けており、ファシズムという基盤によって友好関係を保っている。しかし中立的態度を保つスペインに対し、ドイツは次第にいらだち を際だたせていくのだ。イタリアは枢軸国であったが、本作の舞台となる1944年12月頃にはすでに連合国に下っており、ドイツ人にとって決して友好的で はない。実際に本作でもペルラスカは矢十字党によって指名手配されており、追われる立場なのだ。だが、ペルラスカはスペイン内戦時にフランコ軍に義勇兵と して参戦しており、スペインはこの時の功績から彼にスペイン市民権を与えることとなる。ユダヤ人はハンガリーにおいても矢十字党によってゲットー隔離、強 制労働を強いられるのだが、もともと矢十字党はさほど反ユダヤではなかったらしい。ナチ党による影響が強かったということだろう。
 ペルラスカはスペイン市民権を得て、スペイン大使館領事のふりをするのだが、ユダヤ人に保護証明書を発行してスペイン大使館領内に匿うことでユダヤ人の 命を救う。その根拠となるのが1924年にスペイン法律で可決されたリビエラ法によるセファルディ(スペイン系ユダヤ人)を国民と認めるというものであっ た。
 戦後ハンガリーはソヴィエトによって占領されるが、このように国の違いによって振り回される戦時下の人々が良く描かれている。

 ペルラスカは一世一代の大嘘で自身の身とユダヤ人の命を救っていくのだが、本作ではユダヤ人保護、2名の子供保護、ゲットー虐殺の回避などがエピソード として描かれており、どこまでが事実で脚色があるのかどうかはわからない。ただ、2名の子供を救出した場面で会った人物が悪名高きアイヒマンであったこと は事実のようだ。

 200分の作品でやや冗長ではあるけれど、これだけ多くのエピソードを盛り込であるのだから仕方ない。ストーリーも常に手に汗握る展開で最後まで飽きさ せない。終盤の展開が早く、やや浅い作りとなってしまい、感動がちょっと薄れてしまうのが残念だが、あえてヒーローに仕立て上げないという意図があったの だろうか。
 また、ペルラスカの大嘘つきシーンの設定がちょっと甘いのももったいない。テレビムービだから仕方ないのかも知れないが、ドイツ軍将校や矢十字党員をそ んなに簡単に騙せるのだろうか。もう少し捻りがあっても良かったかな。
 登場人物も多く、映像にもスケール感があったのは良い。

 全体にイタリア人気質ぽく、明るく脳天気に展開する作品だ。もちろん、明るく楽しめるような場面ばかりではなく、見るに堪えない場面も多いのだが、最終 的にはそう感じさせないのはさすがイタリアといったところだろうか。ペルラスカの決まり文句「あなたはハンガリーで一番美しい」はやっぱりイタリア人 (笑)。
 個人的には途中で保護した口のきけなくなった男の子ベンがとてもかわいかった。手の仕草や表情が実にかわいい。

興奮度★★
沈痛度★★★★

爽快度★★★★
感涙度★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1944年のハンガリー、ブダペスト。牛の輸入をてがけるイタリア人ジョル ジョ・ペルラスカは裏切り者と してハンガリーの政権矢十字党から追われる立場だった。イタリアに残してきた妻子のもとに帰るため列車に乗り込もうとするが、軍の少佐に見つかってしま う。少佐に金を渡して見逃して貰おうとするが、任務に忠実な少佐は認めない。だが、その時に空襲が始まりペルラスカは逃げ延びる。
 ペルラスカは偽造した帰国許可証を貰うため、ドブリッチ将軍のパーティーに赴く。だ がそこにドイツ軍のブライマーSS大尉がやってきて裏切り者を逮捕し ていく。ドブリッチ将軍も自殺する。ペルラスカはハンガリー人の伯爵夫人によって急場を助けられる。
 伯爵夫人の紹介でパヨル病院のバラシュ医師を訪ねたペルラスカは伝染隔離病棟に案内 される。そこには匿われた多くのユダヤ人がいた。だが、病院にもブラ イマーSS大尉が捜索に訪れ、危機を感じたペルラスカとユダヤ人は病院からの逃亡を図る。しかし、それはブライマー大尉の策略で、多くのユダヤ人が殺さ れ、逮捕される。ペルラスカはユダヤ人女性マグダとその娘リリーと建物に潜む。ペルラスカは思いついて自身の会社の友人に鞄を持ってきてもらう。そこには 彼がかつてスペイン内戦に参加した際のフランコ将軍からの感謝状が入っていた。
 ペルラスカはスペイン大使館に赴き、大使に保護を申し出る。感謝状を見た大使はペル ラスカにスペイン市民権を与え、ユダヤ人のマグダとリリーの保護も了 承する。実は、大使館の弁護士も事務員も皆ユダヤ人で、大使館所有の建物内にはすでに多くのユダヤ人が保護されていたのだ。同様にスウェーデン、ポルトガ ル、スイスの大使館もユダヤ人を保護していた。
 スペイン大使館所有家屋には多くのユダヤ人がいたが不良少年もおり、ペルラスカはそ れを退治する。だが、目を離した隙に矢十字党が侵入し、ユダヤ人を連 行してしまう。リリーだけが残されていた。ペルラスカはすぐに貨物駅に赴き、担当のドイツ軍SS中尉と金を積んで交渉する。その結果、リストに掲載された ユダヤ人を取り戻すことに成功し、さらにリスト外のユダヤ人もできるだけ連れ出すことに成功する。しかし、リリーの母親マグダの姿がなかった。ゲットーに も赴き救出するがそこにもいない。結局強制労働収容所イシュトバンコートにいることが判明し、そこでも会社の金をはたいてマグダらの救出に成功する。しか し、すでに何人ものユダヤ人が殺されていた。
 再び大使館に戻ったユダヤ人たちだったが、スペイン政府は大使館の閉鎖を決定。大使 はスイスに移転することとなる。残されたユダヤ人を守るため、ペルラ スカは勝手に信任状を作成し、スペイン領事になりすます。矢十字党はユダヤ人を連行しにくるが、ペルラスカはそれを追い返す。しかし、矢十字党の司令官パ イナと面会している最中にユダヤ人は強制連行されてしまう。ペルラスカはパイナに取り入って、なんとかセファルディ(スペイン系ユダヤ人)の保護の約束を 取り付け、再びユダヤ人はスペイン大使館に戻ることが出来る。
 ペルラスカはスウェーデン大使館から連行されるユダヤ人の子供の列に出会う。そこ で、強引に二人の子供を救出するが、そこで出会った男はアイヒマンだっ た。
 ペルラスカはさらにユダヤ人を救うため保護証明書を5,000通も作成する。そこに スイスに移転したスペイン大使からペルラスカの通行許可証が届く。帰 国に揺れ動くペルラスカだったが、結局ハンガリーに残ることを決心する。
 戦局が悪化し、ブダペストはソヴィエト軍に包囲される。ペルラスカは6,000人の ユダヤ人をスイスに逃がすことを計画。伯爵夫人の所有する列車を借り ようとするが、すでに撤退しようとするブライマーSS大尉によって接収されていた。その頃、矢十字党員が大挙してスペイン大使館の家屋に潜入し、マグダや リリーら数名だけはなんとか逃げることに成功するが、残る全員を連行してしまう。ペルラスカは軍の少佐に助けを求めようとするが、途中の空襲で運転手の少 年が大怪我を負う。ようやく少佐を連れてくるが、連行された大人たちは皆銃殺されてしまったあとだった。唯一エバだけが助かった。さらに少佐から矢十字党 がゲットーユダヤ人の焼き討ちを計画していることを知らされる。
 ペルラスカはゲットーのラビに蜂起を促したうえで、矢十字党のパイナ司令官と敗色強 いハンガリーからの逃亡用通行許可証と引き換えにゲットー虐殺計画の 撤回を取り付ける。スイスのスペイン大使もペルラスカの嘘に口裏を合わせてくれる。
 ゲットーの虐殺は撤回され7万人のユダヤ人の命が救われる。ブダペストにはソヴィエ ト軍が侵入し、ブライマーSS大尉をはじめ矢十字党のメンバーが絞首 刑にさらされる。ユダヤ人は元の家に戻り、ペルラスカはスペイン大使館を閉鎖しイタリア人に戻る。だが、生き残った罪の意識にさいなまれるユダヤ人弁護士 だけは大使館に居残り、ソヴィエト兵に殺されてしまう。
 ペルラスカは貨物列車に乗って帰国しようとするが、そこでまた軍の少佐に見つかって しまう。だが、今度は快く見逃してくれるのだった。そして彼に助けら れたユダヤ人が見送りに来る。

(2008/05/29)