戦争映画の一方的評論
 
「SSU 評価★★★☆ 韓国軍海難救助隊での友情と恋愛  
BLUE
  2002 韓国 監督:イ・ジョングク
出演:シン・ヒョンジュン、キム・ヨンホ、シン・ウンギョンほか  
109分 カラー
 
 韓国独特のハリウッド調お笑いシリアスヒューマンドラマ。いつもの韓国映画同様、登場人物の個性を前面に出した激情的展開であり、お笑いあり、シリアス ありのてんこ盛り状態である。しかし、本作に限って言えばラストシーンさえ除けば、かなり日本人にも理解しやすい展開であると言える。シリアス調の中のお 笑いはとかく軽薄さを強調するが、本作の場合もの悲しさを演出する程よい効果となっている。
 ヒュー マンドラマなので男女の恋愛、男の友情が前面に出されているのだが、役者の方はなかなかいい。相 変わらず女性が強くて激情的だが、主演のスジン少佐(女)は特に美人ではないが個性的。また、キム中尉(男)は3枚目な顔立ちで、韓国映画には珍しく、本 音を余り言わずに耐えるタイプなのがいい。そこが、日本的心につながる部分と言えなくもない(笑)。
 さて、公開時コピーで実在する世界最強の韓国海軍 海難救助隊“SSU”」と いうのはいただけないが、レアな題材をネタにしており、それだけでも興味深い(もちろんハリウッド映画にも「ザ・ダイバー」てのがあるんだけどね)。ただ し、登場する兵器類はほとんどがCGで、実写では米韓合同訓練のシーンが挿入的に入るだけ。あとは、シーキングなどのヘリが少し登場する程度。そういう意 味では金かかってない。
 全体的なバランスとしては良くできていると思う。最後のシーンは賛否両論あろうが、そこに至るまでは結構楽しんで見ることができる。

(以下ネタバレ注意)
 
 韓国海軍のSSU(海難救助隊)にイ・テヒョン中尉、キム・ジュン中尉、 カン・スジン中尉らが入隊する。テヒョンとジュンは幼なじみでいつでも一緒にいる腐れ縁だ。テヒョンは真面目タイプだが、ジュンは明るく脳天気で変な踊り が得意だ。ジュンは訓練でも常に好成績を残しており、厳しい訓練の最中次第にスジンと恋愛関係になっていく。訓練が終了し、ジュンはある日テヒョンの日記 を見てしまう。テヒョンもまたスジンに惚れていたのだ。
 その日を境にジュンはスジンから身を引く。そのため、スジンはイギリスへ派遣留学に行ってしまう。
 それから3年後、二人は大尉に昇任しているがそこにスジンが上官の少佐として戻ってくる。とまどうジュンだが、二人の中は復縁には至らない。そんな時、 出世しか顧みない副隊長のチェ中佐と部隊司令官の将軍が謀略して海底に沈んだソナーの回収作戦を発令する。しかし、ジュンは部下の命が余りに危険だとして チェ中佐を殴ってしまう。作戦は中止されたが、ジュンは軍刑務所に収監されてしまう。実はこの時、ジュンは潜水病に冒されておりすでに潜水ができない身に なっていた。このことを知ったスジンはジュンの面倒を見ることを決意する。一方、テヒョンはスジンが振り向いてくれない上に、いつまでも潜水技術でジュン に勝てない苛立ちを噴出し始める。
 米韓合同訓練「ミンク作戦」の最中、最新の「USM」装置を装備した潜水艦「韓半島」が水深50mに座礁着底してしまう。すぐさま、救出のためスジン、 テヒョンらが出動。DSRV(深海作業艇)をハッチに接続して乗組員を救出するが、2名分定員が足りない上、チェ中佐は「USM」装置とブラックボックス の回収を命じたため、スジン少佐とイ2曹が居残ることに。しかし、地面が崩れはじめ潜水艦は水深187mまで沈んでしまった。この深度での作業はもはや ジュンに頼るしかなくなった。刑務所から釈放されたジュンはテヒョンらと深海に潜り、なんとかスジンを救出するが、その脱出の際にジュンとテヒョンの送気 管がからまってしまう。司令官はジュンが潜水病で気を失っていることからもう持たないと判断し、テヒョンにジュンの管を切ることを命じる。そしてスジンが 見守る中1本の送気管が切断されるのだった・・・・
 
(2005/02/26)

興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★★
感涙度★★★

DVD検索「SSU」(楽天)